対立×選択×多数決
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ペナルティの50時間を過ごせば、合図と共に俺たちは部屋を後にした。残り11時間というリミットなので急いでいるんだろう。
限られたリミットの中で、俺たちはゴールまで突き進んでいく。中にはくだらないクイズや、妙な場所を渡らされた。

とうとう最後の設問に辿り着いた。その辿り着いた場所には扉が二つあり、大きく○と×とが書かれていた。

『準備はいいですか?』

二つの扉の間に壁から上半身を出している不気味な女性の像が俺たちに問いただす。
とは言っても、俺はただの付き添いで○×には参加できないんだけどね。

結果は○が4人で×が1人という結果。もちろん、この×の1人はトンパである。それにレオリオはキレそうになるが、クラピカが止めた。

『それでは扉を選んでください。道は2つ…。6人で行けるが長くて困難な道……。3人しか行けないが短くて簡単な道』

なるほどな。今の残り時間から考えて嫌な選択肢だ。これは争いが起こる気がしてならない。

『ちなみに長くて困難な道は、どんなに早くても攻略に45時間はかかります。短くて簡単な道は、およそ3分ほどでゴールに着きます』

みんなの表情を見てみれば、神妙な顔つきだ。それもそうだろう。誰かが合格することを狙って短い道を選んだら戦闘は免れない。だからと言って長い道を選べば全員不合格だ。

『長く困難な道なら○。短く簡単な道なら×を押してください。また、追加された受験生406番は短くて困難な道の場合、手錠につくという選択肢もあります』

困ったな。これは確実に割れるぞ?だが、仲間を蹴落としてまで俺はハンターになりたくない。まぁ、強い思いがないから、頑固たる意志のある者の気持ちは所詮わからん。

「……さて先に言っておくぜ。俺は×を押す。そして、ここに残される側になる気もねぇ。どんな方法であろうと3人の中に残るつもりだ」

ただの我儘でもない。レオリオは恐らくキルアやクラピカの強さは知ってる。なんとしてもって意思だな。

「試験官も準備のいいこったぜ。古今東西ありとあらゆる武器を揃えれくれやがる」

確かに壁には多くの武器が置いてあるな。だが、こんな物を使って勝敗を決めたら死人が出てしまうじゃないか。
もし、ゴンに攻撃を加えるものがあれば俺はいかなる相手だろうと容赦しない。

「俺は○を押すよ」

(ゴンならそう言うと思ったよ)

その選択肢なら試験がダメでも俺たちの関係が崩れることはない。但し、誰1人として合格はしない。まぁ、一番平和な選択肢である。仲間同士の殺し合いなど悲しいからな。

「せっかくここまで来たんだから6人で通過したい」

「おいおい、残り時間は1時間もないんだぜ。短い道を選ぶしかねぇだろフツー」

ゴンの言葉にキルアは現実的な言葉をぶつける。ごもっともだが、そこまでして、俺は絶対に合格はしたくない。

「あとは、どうやって3人を決めるかだけど、俺はゲームを辞めるつもりは無いし、誰も降りないなら戦うしかないね」

「でも、キルア……」

やっぱりダメだろうな。現実的に考えたら、×派が優勢だしな。まぁ、キルアもゴンを気に入ってるし仮に×が選ばれてもゴンを攻撃する真似はしないはず。

「でも待てよ。これは罠かもしれないぜ?考えてもみろよ。短く簡単な道だなんて、いかにも嘘クセェじゃねぇか。よく言うだろ?甘い言葉には裏があるってな」

「それは自己紹介か?」

「なんだとう?」

トンパの言葉に騙されてきた奴は多い。今更、お前の言葉なんて信用する馬鹿なんていないんだ。

「へっ、テメェの考えは見え見えだぜ。×を選んで3人取り残されるとすれば、まず1人はお前で確定だからな。それだけは避けたいんだろ」

「ケッ……じゃあ、あと2人は誰になるんだろうな?」

レオリオの言葉に表情を悪くするトンパは思いついたように続けて言う。挑発するようにレオリオの顔を見て言えば、レオリオは顔を曇らせる。

「確かに戦いになれば勝ち目はねぇ。残されるのも俺だろ。だが、もう2人は誰だ?ゴンか?クラピカか?キルアか?ロウか?」

こいつ、もしかして長い道でも短い道でも、本当はどっちでもよくて合格することより俺たち受験生が争い合うことに爽快感を得ているんじゃないか……?

「確かゴンとクラピカとは試験以前からの仲間だから、外すとすればキルアやロウか?でも、そう上手く行くかな?なにしろキルアはゾルディック家の……っ」

そこまで言うとレオリオはトンパの胸ぐらを掴みあげた。確かに、俺でもキレるかもしれない。問いただし方がえげつないな。

「懲りねぇ奴だな。その口使えねぇようにしてやろうかぁ?」

「駄目だよ!!」

「ゴン!なんで庇うんだこんな奴!」

それは、ゴンがまだ○の選択肢を諦めてはいないから……という事だろうな。この段階で戦闘が勃発すらば×の選択肢を選んだも同然だしな。

「どうしてもみんなで通過したい!だから1人でも欠けたら駄目なんだ!」

「俺も同感だ。正直、ハンターになるために仲間を犠牲にする事はしたくない」

ゴンに続けて○の選択肢選ぶ意見を俺は言う。取得すれば、それまでのハンター証が仲間を売って手に入れたなんて事になれば誰だって後悔するはずだ。

「まだ、そんなこと言ってるのかよ!他にどんな道があるっていうんだ!」

「だから、みんなでそれを考えようよ!」

取り敢えず、ここまでではゴンが○にしようとしていて、レオリオとキルアが×を選ぼうとしているわけか。じゃあ、クラピカとトンパに委ねられるんだな。まぁ、クラピカの結果はなんとなく予想がつくが。

「私は○だ。ゴンの言う通り、他に手があるかもしれない」

やっぱりクラピカなら、そう言うと思ったよ。仲間内での争いはどんな理由があっても好まなそうだしな。

「そうか。となると俺とキルアが×で、ゴンとクラピカが○。二対三で○……」

「ちょっと待ってくれ。俺、降りるわ。で、×を押させて貰うぜ。これで短い道に決まりだな」

こいつ……そもそも合格というものよりも、別のものを見に来ていると言う事だな……。
胡散臭い嫌な臭いは初めからしていたが、ここまでとはな。新人潰しとは、こう言った事をするから付けられた名前なんだろう。今なら納得だな。

トンパは×を宣言すると自ら手錠を付けに行った。これから、俺たちが争うのを見ようって気だな。

「一体、何を考えてやがる。最初の口ぶりは○だった癖によぉ、どういう裏があるんだ!」

「裏も表もねぇよ。単純に、損得感情ってやつさ。残り時間から言って、○は選べない。だが、×を選べば間違いなく俺が残される。
つまり、どっちにしたって俺のハンター試験はここでお終いさ。だったら、わざわざ痛い思いはしたくないからな。じゃあな、来年会おうぜ」

しかし、気になるな……。トンパの目からは偽の光が漂ってる様にみえる。何かを俺たちに偽っていると言うな。この俺に嘘が通用すると思うなよ。

「もし、このまま×になってしまうなら俺は、ここに残ることにする」

「えっ、ロウまで何言ってるんだよ!?」

俺の言葉にゴンは驚いた素振りで俺の方へ振り返る。まぁ、ハンター試験に受かりたい動機もコエンマに言われたからだしな。

多分、キルアの次にハンター試験を受験する意思が薄いと思うし。トンパに関しては論外な。

「生憎、俺はハンターになるのに仲間を蹴落としたくない。そんな事をしたら一生後悔するかもしれないからな」

「それは私もだ。だからこそ、別の方法を探したいんだがな……」

それからというもの沈黙が続いた。俺の言葉がレオリオの決意を止めてしまったという自覚はあるが、何より俺はこんなことで皆に後悔はしてほしくないんだ。

レオリオは良い奴だから……もし×の選択肢を選んで仮にハンターになったら一生後悔してる姿が安易に想像できる。
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