発想×奇天烈×大仰天
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室内は沈黙が続く。こうしている間にも時間だけは迫ってくる。それを感じたか、レオリオは腕時計を見て時間を確認して息を呑んだ。

「……もう45分を切っている。×しかねぇ」

「いやだ!」

レオリオの言葉にゴンは即否定する。
参ったな……もし×なら俺は辞退すると言ったがゴンが×を否定する理由を増やしてしまったんだ。

「お前、この後に及んでまだ!」

「絶対、良い手がある筈なんだ!」

その何かが思いつかないんだよな。45時間もかかる長い道なんて、残り45分でなんてクリアできる筈がない。
こんな事ならペナルティ時間帳消しで手を打っておけばよかった。

「ゴン!一体他にどんな手があるってんだ!もう×の道しかねぇんだぞ!」

「いや!他に何かあるよ!こんな所で同士討ちは嫌だ!」

「馬鹿野郎!忘れたのか、二択の町でのことを!今がその二択の時なんだよ!」

「違うよ!生きる死ぬの問題じゃないじゃないか!考えれば必ず道はあるよ!!」

ゴンとレオリオは言い合うが解決の余地はなさそうだ。でも、この状況…圧倒的に○が有利な条件なんだよね。だって、腕時計についてる○×ボタンを押さなきゃ良いだけだしさ。

もう、いっそ全員ここでリタイヤで良いよ。関係を崩したくなかったら、それが一番安全な方法で平和だ。

「良い加減にしないか2人とも!こうしている間にも確実に時間は過ぎているんだ!それにこれは多数決の道だ。決まった以上は従うしかない」

「じゃあ、それじゃあ……」

「もちろん私も従うつもりだし、戦うしかないのなら戦う」

やはり最終的には多数決だから争うことからは逃れられないと言う訳か。もし……ゴンに何かあれば俺は抑えきれるだろうか……?

「ただし!同士討ちを期待して、その隙に乗じ様としても無駄だ。つまり、漁夫の利を得ようだなんて作戦は通じない。少なくとも、そんな事は私が許さない!」

クラピカの視線の先はトンパに向かっていた。……やはり、こいつ何か細工していたか?
あからさまに偽りの念が目に映っていたからな。

「なっ、何言っんだよクラピカ?」

「やっぱテメェ細工してたのか?」

「常識知らずのロウにすらバレかけてるぜおっさん。そんな下手くそな芝居じゃさ」

常識知らずってのは引っかかる言い方だけど細工してたのは確かなのか。いちいち胡散臭いやろーだ。

「どういう意味だぁ!?」

「ちゃんと、手錠嵌めなよ」

キルアはトンパの手錠を指で指すとそう言った。

そうか、成る程。手錠に細工か。だとすれば目的は……みんなが疲れ果てたところを狙い倒すってのがトンパの作戦だった訳か。俺の予想よりも遥かなにゲス野郎だった訳だ。

「手錠を嵌めたフリをして、我々の争いを誘い戦いの果てに傷ついた者を襲って自分は合格する……。そんな、考えは捨てる事だ!」

クラピカがトンパに向かって言い放てば、虫の居所が悪くなったトンパは手錠を勢いよく振りほどいた。すると、すぐさま近くの斧を手に取り、俺たちに向かう。

「こうなったら仕方ねぇ!」

「ふざけやがって相手になるぜ!」

レオリオはすぐにナイフを取り出しトンパの相手となる。レオリオはトンパに対して相当イラついてたみたいだし、止めないでおこう。

トンパはレオリオに向かっていくと勢いよく斧を振り落とす。それは地面を叩き割りコンクリートが足元に飛び散る。

それを交わしたレオリオはトンパの背後からナイフを突き刺そうとするが、地面に刺さった斧をトンパはレオリオに向かって振り上げる。

その斧はレオリオの手にしていたナイフにぶつかりナイフは宙を舞った。

「中々やるじゃねぇか万年落第生!」

「伊達に35回出てんじゃねぇぜ!」

トンパとレオリオの戦いは、地面や壁を砕いて部屋をボロボロにしていった。途中、落ちたナイフを手に戻したレオリオはトンパに向かい合う。

まぁ、もう十分ストレス発散になっただろう。これ以上は危険だから、そろそろ二人を止めるか。

「2人共もう止めろよ」

「悪いがロウ!俺は我慢できねぇ!」

「お、おい……」

俺の言う事なんちゃ聞きやしねぇな。まだまだ、やりたりねぇって面だ。ゴンにも説得してもらおうか。

「おいゴン……って、どした床なんて見て?」

隣にいるゴンは砕けた地面をジーッと眺める。一体、砕けた地面なんて見てどうしたんだろうか。

「ねぇ、ロウ」

「どうした?」

ゴンは扉の方に指をさす。一瞬、何をしたいのか分からなかったが、ゴンが砕けた地面を眺めていた事から俺にも理解できた。

「よく、考えついたな」

「ロウなら、あのくらい出来るよね」

その問いに俺は頷いた。あの怪盗との闘いで、壁を崩したりしたからな。
その力を使えば、ここの壁くらいわけなく壊せるよねって言うゴンからのサインだろう。

「どんな手を使ってでも通過してみせるぜ!」

「上等!!」

レオリオとトンパが向かい合った状態で駆け出した所でゴンは叫んだ。

「たんまぁぁあああ!!!」

正直、その発想に至ったのは賞賛に値するぜ。まさか、○の道からでも3分コースでゴールまで行けるんだからな。

「どけゴン!さもないとお前も!」

「合格したい気持ちは皆同じなんだ!だったら皆で一緒に行こう?」

「うるせえ!もう餓鬼の戯言は沢山だぁ!」

「まぁ、聞いてみろよトンパ。ゴンの発想には度肝を抜かれると思うぜ」

俺は斧を振りかざそうとするトンパに、そう言って見せればトンパは顰めた表情で斧をゆっくりとおろした。

「俺、全員で通過できる方法を思いついたんだ!トンパさんも合格したいなら俺を信じて」

このゴンの自信あって安心させる表情で、信じてなんて言われたら信じるしかないよな。あんな真っ直ぐな眼差しを向けられたら断る事なんて誰にも出来ない。たとえ、トンパの様な奴でもさ。

「ホントに大丈夫なんだろうな……」

「うん」

これによって多数決の道は○が5人となり、○の扉が開いた。残り時間は30分を切っていて、全員の視線がゴンに向く。

「どうするんだ?」

「トンパさんが斧で地面を砕いた時に気付いたんだ。この壁を崩せば良いんだって」

「まぁ、そう言う点ではトンパのお陰だな」

俺がゴンに続いてトンパに向かって言う。こんな形とは言え感謝はしてるよ。

「なるほど。その手があったのか!!」

パァっと明るい表情を浮かべるクラピカに俺も共感する。あの時、ゴンからのサインを送られて気づいた時の俺の表情も今のクラピカの様だっただろう。

「さて、離れてくれよ。爆発に巻き込まれたいなら別だが」

壁に向かって手をかざしてみる。手先にエネルギーを集中させてエネルギー弾を放つ!!

放てば壁は勢いよく崩れ、向こう側の通路が見える様になった。初めからこうすれば良かったのに、なぜ思いつかなかったんだろ……。

「ありがとうロウ!これで、みんなでゴール出来るんだ!」

「ま、まさか……こんな手が……」

最悪は真下にエネルギー弾放って1階まで直通で穴開けることも出来たんだけどね。それは少しリスキーだったから避けていたけれど。

俺たちは、その穴を抜けて短くて簡単な道を進むことができた。念のために急いで行ったが、リミットは20分以上余り、笑顔でゴールを迎えることが出来た。

「しっかしゴン、良くやったよ!!」

俺はゴンの頭をワシャワシャと撫でまくる。あんな感じに常識の壁を壊すなんて、褒めても褒めても足りないくらいだ。

「えへへロウやめてよぉ」

「おらおらおら、誰が止めるかぁ〜!」

「あははは恥ずかしいから、もう良いって〜!」

こういう事を成し遂げちゃう素質があるからゴンに惹かれてるのかもしれない。

「よし、俺も撫ぜるぜ!」

「あ、レオリオには撫でさせないよ?」

「はぁ!?いいじゃねぇか!減るもんじゃねぇしよ!!」

「オヤジは駄目」

「俺はまだ10代だっつーの!」

やっぱり独占欲って奴なのかな?好き奴は、他の誰にも渡したくないよね。さて、次の試験は争いが無ければいいな。
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