軍艦×第二波×切り抜けろ!
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第二波が来るまで20時間を切ってしまった。それ以上ここにいれば待っているのは死だけ。だからと言って、この孤島からゼビル島に行けるほどの船などない。昨夜の事件を思い出せば少し大きめのクルーザーでも飲まれてしまった。

「一体何に乗ってゼビル島に行けば……」

「でっかい船ならあるじゃん!」

俺が呟いた言葉がゴンには聞こえていたらしくみんなに聞こえる様にゴンは言った。

「この船があるじゃない!」

ゴンは軍艦の上から俺たちに言った。まさかのまさかだと思うけど、この軍艦を使おうとでも言うのか?

「馬鹿言ってんじゃねぇぞゴン!こんなもんただの鉄の塊じゃねぇか!」

いや、待てよ。たしかこの軍艦のエンジンは未だに生きている。そう考えれば少しの修理で再び航海のできる船に戻るという事も考えられるな。

「レオリオ!この軍艦のエンジンはまだ生きてる!もしかしたら可能かもしれない!」

「それは、本当なのか?」

「あぁ。とりあえず軍艦の操縦室に行こう」

俺の言葉で全員が軍艦の操縦室に向かう。燃料さえあれば大丈夫かもしれないんだ。操縦室に着けば全員が辺りを見渡す。

「本当にこんなもんが動くって言うのか?」

「俺に分かる訳ねーじゃん」

レオリオの問いにキルアは分からないと返すがクラピカは前に出てくる。

「いや可能性はある。浮力さえついて、この岩場から離れられれば」

「発想の転換って奴だな。城から逃げるんじゃなくて城ごと移動する。間違いない、これがこの試験の答えって気がするぜ」

ハンゾーの言葉ってやけに説得力があるんだよな。特別理論的な事言っている訳じゃないのに。理論的な事を言うクラピカの説得力に、ハンゾーの頼もしさがあるから、俺たち全員をまとめれてるんだな。

「問題は第二波まで、その作業を完了させられるかだ。全員で今からこの船の状態を調べるんだ。1時間後に改めてブリッジに集まろう」



各々の分野で船内に問題がないかを調べていく。とは言っても俺自身は船の知識など皆無だから何を見ていいかが分からないが。1時間後にブリッジに集まると全員が集まった。

「軍艦の見取り図を見つけたのか」

「あぁマニュアル付きでな。」

流石は忍者だな。これで大体のことが把握できる様になる筈。

「よし、まず問題点を整理しよう」

「第一にどうやって、この岩礁から脱出するかだが。側面部と島の切り離しは、それほど難しくない」

なるほど、やっと俺の出番ですか。この手の爆発は得意分野だからな。

「俺がやろうか?」

「お前は?」

「ロウだ。トリックタワーにいた時、一時期やたら揺れたと思うが、あれをやったのは俺だ」

とりあえず、これ言っておけば信頼はしてくれるかな?一応目の前で見せたほうが良いだろうか?

「どうやったんだ?」

「教えられないが俺は高エネルギー体を作り出すことが出来る。今やってやろうか?」

「成る程。でも、それは後で良い」

今の話だけで信頼してくれるのか。おそらく俺の目を見たな。動揺も偽りも無かったのを眼から判断できる人間なんだ。

「しかし問題は監視部だ。完全に島にめり込んでしまっている。あの岩を破壊するのは並大抵の火力じゃ無理だ」

確かに一歩間違えれば船ごと吹き飛ぶかもしれんな。そんなことになったら俺が皆を殺したも同然になっちまうな。

「それには、この船そのものの大砲を使うしかないだろう。40センチ砲4門による連続射撃……。それしかない」

「それには動揺を砲にまで伝達する必要がある。それに砲弾はあんのか?」

確かにこの艦内になければ探すのは困難だな。そもそも時間が限られているから作戦に取り言えるのは良い策とは言えない。

「おぉ、それなら俺が知ってる。お宝を探した時見つけたぜ」

レオリオはそう言った。あの時の黒い玉が、ここで役に立つという訳か。よく出来た試験だな。

「あの前方の岩を大砲で吹っ飛ばせば亀裂が、この船の下まで一気に走るはずだ」

「成る程、海水が亀裂に乱入する勢いで、船を岩場から浮き上がらせるのか」

やっぱりハンター目指すものは頭が凄く良いんだな。こんな事ほいほい考えつくなんてさ。だが、理論は理解できた。

その後も軍艦を動かすための話し合いは続く。各々出来ることをやる事になり、俺やゴンにキルアはスクリューを動かせる様にする事になった。

「間に合うか……。二派までに。」

「やるしかない。ここにいる28人が力を合わせ、この難関をクリアするんだ。それ以外ゼビル島に行く術はない」

「よし、わかった。みんなぁ!行くぞ!」

レオリオの掛け声とともにブリッジから出て全員が持ち場に向かっていく。やっぱり、霊界に逃げるよりはみんなでゼビル島に行きたい。



「よし着いたな」

俺がそう言うと、3人一斉に海の中にダイブする。スクリューまで泳いで行けば、海藻が絡まりついていて、取り外さなければ起動は難しそうだ。

でかいスクリューに絡まる海藻を取り除き終わる頃には日が暮れ始めていた。俺は一足先に船上に戻り側面部と島の切り離しに取り掛かる。

「けっこう、幅が広いんだな……」

だが、不可能じゃない。そのためには側面部と癒着している部位の大きさを図らないと軍艦まで傷つけてしまうな。ここは慎重にやらなければ。

「こんなもんかな?」

右手に妖気を纏ってエネルギーボールを形成する。俺の感覚的にはバランスボールサイズで、無駄なく切り離せるはず。よし、これ以上ためらっても時間も無駄だからいい加減に放つか。

「……うっしゃ!切り離しに成功だ」

あと、俺が手伝える事はないかな。どうせバカみたいな身体能力があるんだ。使わなきゃ宝の持ち腐れだぜ。さて、みんなの進行度合いは如何なものか。

「オイオイ……なんだこの海は!?」

まずい、竜巻が発生し始めてやがる……。そういや、ゴン達の姿が見えねぇ。もう時間ねぇのにどこ行きやがったんだ!

とりあえず俺の出来る事はないのかな?他の受験者達が優秀すぎて、あんまり出番がない。海の状態を確認するため遠くを眺めていると、トンパが海面に向かって懐中電灯で光を当てているのが目に入った。

「おいトンパ!そこで何やってんだ?」

「レオリオが砲弾を取りに行ったきり戻ってこねぇんだ!それで、ゴンの奴がレオリオを引き上げに行ったがゴンも……。っておい!!」

ゴンが海の中だと!?真面目言ってんのか!?俺が行かなきゃ誰が行く!待ってろゴン!お前もレオリオも二人揃えて引き上げてやるからよ!



俺は荒れる海に飛び込めば、砲弾があったとされる場所まで泳いでいく。やっぱり妖怪という事もあり多少酸素がなくても問題はない。

泳いで向かえば、岩が崩れていている。これじゃゴン達が何処にいるか分からねぇ。どうする俺。考えろ考えるんだ。必ずゴン達を見つけ出す方法がある筈…。

目で分からねぇなら妖気で感じ取るしかねぇ……!!
集中しろ…俺の妖気を広げていくんだ。この人間の姿じゃ妖気の放出量が足りねぇな…。仕方ない。あまり気は進まないが今は後先考えてる暇はない。あの姿に戻るか。

「はぁっ!」

全身から妖気が溢れ出る。これなら、妖気を使いゴン達の居場所を特定できる。めいっぱい広がれ俺の妖気!

(……見つけた!)

あの岩の下敷きになってるのか。生体エネルギーを感じる事から死んではいない。俺は泳いでいき、その岩を退かす。その下には潜水服を着たレオリオと、意識を失ったゴンの姿が見えあった。

(よし、担いで上まで行こう)

俺は二人とも担ぐと、軍艦に戻る様に泳いでいく。流石に二人担ぎながらじゃ泳ぎにくいものだな。さて、あとは軍艦に戻るだけ。

(……?)

一瞬だけゴンの腕に掴まれた気がするが気のせいか?多分、海流が荒れてるから俺の勘違いか。しかし息が辛い。呼吸できない状態でフォルムチェンジとか妖気を使うんじゃなかった。でもトンパの光のお陰で何処に向かって泳ぐべきか簡単にわかる。恩にきるぜ。

「ぷはぁー!」

俺は海面から顔を出すと二人を船上に投げる。流石に息が持たないかと思った。いや、それよりも妖気を用いてゴンを見つけた俺は天才じゃないか?こんな事誰も考えた事ないはずだぜ。

「おっ、お前。その姿……」

「あ?なんだ?」

やけに驚いているトンパに俺は今の自分の姿を思い出してしまった。そういや必死すぎてフォルム戻してねぇや。

「今元通りになるな……」

自分の肉体を操作して、いつもの人間フォルムに姿を戻す。しかし迂闊だったな。まさかトンパに俺の姿を見られてしまうとは。

「なぁトンパ。この事は誰にも言わないでくれよ」

「あ、あぁ」

やっぱり驚くよな。言い方悪いが化け物だからな。妖怪は妖怪でも地球外生物の妖怪だから救い様がねぇよ。

「……やっぱりフォルムチェンジは疲れる。二人を寝かせられる場所はあるか?」

「おぅ、知ってるぜ!ついてこい!」

トンパはレオリオを担ぐと先に進む。俺はゴンを担ぎ、その後ろに付いていった。その先は艦内の休憩室。布を床にひいて二人を寝かせる。トンパはレオリオとゴンが引き上げられた事をクラピカに連絡する。

それを受けてからか軍艦の砲台が発射させ岩石部との密着した部位が壊され軍艦が動き出した。

「なぁトンパ、この軍艦……もしかしてだが傾いてねぇか!?」

「あ、あぁ……!一体何が起こってやがるんだ!」

不安に駆られていると再び軍艦の砲台が発射され軍艦の傾きが直っていく。一体何が起きているんだろうか。状況が全く掴めねぇ。


「……大丈夫そうだな」

「ちと、俺は確認しに回ってくるぜ」

「そうか。トンパありがとうな」

部屋から出ようとするトンパに礼を言うとトンパは早足で部屋を出て行ってしまった。俺は彼の事を少し誤解してたんだな。

「んっ……。あれ?」

「お、目覚めるの早いな」

これなら俺が助けなくても自力で戻ってこれたりして。ゴンなら本当にやり兼ねないからな。

「もしかして、ロウが助けてくれたの?」

「まぁな。流石に俺も途中ヤバかったけど」

よくよく考えたらゴンがレオリオの元に辿り着いたのも凄いよな。俺の場合、探すのも手一杯だったのに。

「ありがとう。でも……俺。」

「どうした?」

「いや、何でもない。」

「……?」

何を言いかけたんだろう。まぁ、何よりゴンが無事で良かった。こんな所でゴンを失ったらハンター協会を崩壊させるかもしれない。

「動いたんだね軍艦」

「あぁ。こんなオンボロの船でも、この嵐を切り抜けるんだから凄いよな」

一時は焦ったけどな。裏でトラブルが起きててエンジンが駄目だったらどうしようとか本心は心配してた。けど、心配無用だったみたいで良かった。



「ロウは凄いよ」

「い、いきなりどうしたゴン?」

何だか何時もより少し辛そうな表情をしている。体調が悪いとかそういった類のものではない。

本当に俺は凄くないよ。凄いのはお前だよ。ゴンがいなければ俺は軍艦島から逃げ出してたと思う。確実に逃げれる保証もないし、殆ど何も知らない連中に何て折角蘇った命を預けられない。それなら霊界に逃げたほうが確実だ。

「さぁて、何だか疲れた」

少し妖気を無駄に使いすぎたかもしれない。特にゴンを探した時に使った技は応用を効かせば消費を抑えられそうだな。

「すまん、俺寝るな」

そう言って俺は倒れるように横になって眠りについた。やっと休める。やっと安心できる。俺って意外に心配性なのかもしれないな。
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