筆記?×勉強!?×最終試験
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飛行船に乗った俺は、景色のよく見える場所でベンチに腰をかける。正直、今の俺がゴンと会うのはバツが悪いんだ。改めて、俺のやっていたことが要らぬ世話だったという訳だから。あと、どさくさに紛れて口移しはヤバかったかな……。必死すぎて感触とか全く覚えてないけど!

「……はぁ」

俺が溜息を吐くと、後ろから足音が聞こえてくる。俺の良く知っている足音。それだけに俺はこの場から離れたくなった。

「ねぇ!ロウ!」

ゴンは俺を見つけると駆けてくる。それに、俺は半笑いでゴンを見る。

「俺、ロウに言いたいことがあって」

「ど、どうしたんだよ?」

駄目だ平静を保てない。明らかに不自然だよな今の俺。でも、ゴンはそれどころじゃないっぽいけど。

「あのね、ロウにありがとうって言いたくて……」

「……は?」

いきなり何を言うんだ。俺が今までやってきたことはゴンにとって御節介で俺自身の自己満足でしかなかったんだ。

「俺さロウに沢山助けらちゃって。ゼビル島の時もロウに似た狼に助けられちゃってさ」

少し情けない様に笑うゴンに俺は顔が引きつってるだろう。意識的には気づかれてないけど、本能的には気づかれている。

「その狼の礼を俺に言ったって、どうして良いか分かんねぇよ」

「えへへ、でも誰かに言っておきたくて。これからさ、受験生に話があるらしいから一緒に行こうよ!」

「おぅ、そうだな」

恐らくは最終試験の説明か何かだろう。遅れる前にさっさと行っておくか。飛行船の広場に向かえば全員が集まっていた。しばらくするとネテロを始めとする全ての試験官が部屋に入ってきた。

「ふむ、みんな御苦労さん。ここにいる11名が4次試験の合格者という訳だ。しかし、11名人中8人がルーキーとはなぁ〜。今年は豊作だ。ほぉっほぉっほぉ!」

ネテロ曰くルーキーが合格する確率は3年に1人。しかし、周期というものがあるらしく、10年くらい1人も合格者が出ない年が続くと今回みたいに沢山のルーキーが残るらしい。

「最終試験は3日後。ハンター委員会が運営するホテルを借り切って行なう。それまでの間、十分英気を養っておきたまえ」

ネテロ会長は、それだけ告げると部屋から退出し続いて他の試験官も退出していった。最終試験に関することは何もないという訳だ。



俺たちはなんとなく円を組み座り、最終試験に関する考察を行うことになった。

「前に乗った時はすし詰め状態だったが、この飛行船も流石に11人だと閑散してんなぁ」

「それよりもだ、最終試験で何をやらされるかだよな」

恐らくは何が出てきても大丈夫だとは思ってるが、どうも嫌な予感がする。単純な動物の第六感なんだけどな。

「そうだよな、折角ここまで生き残ってきた仲なんだから最後は全員で受かりてぇな」

「柄じゃねえ」

レオリオの言葉にキルアは笑って言う。

「トリックタワーの時に仲間蹴落としても試験に合格するとか言ってなかったけ?」

「それはそれ!これはこれだぁ!」

そういえば言ってたな。今はみんな平和に会話しているけど、最終試験がデスマッチで合格者1人のみになったら確実に血祭りになるだろうしな。そうなりゃ、ゴンを守り抜くだけだけど。

「とにかく、ルーキーの俺たちがとやかく言っても仕方がない。ここは一つ経験者に聞くのが一番じゃないか?」

ハンゾーの言葉を聞いた全員は一斉にポックルの方を向く。正直、俺からしてみれば誰がルーキーで誰が経験者なのか分からない。

「あっ、俺は駄目だ。三年前に四次試験で落ちた。最終選考に辿り着いたのはこれで初めてだ」

「なんだよ。じゃあ他の経験者は誰だ?」

俺がそう言うとボドロが「俺だ」と名乗り出てくる。

「あんたなら何か知ってるだろ。亀の甲より年の功」

「うむ、去年一次試験で落ちた」

こいつ駄目だ。結局は最終試験が何かというのは予想も出来ないという状態なのか。

「だが、試験の内容を推測する事は出来る」

「話になんねぇ!」

レオリオは呆れた様子で言うがボドロは何かに気づいているらしく「聞け」と言う。

「これまでの試験内容を振り返れば自ずと分かることだ」

これまでの試験内容か。恐らく、なんらかのパターンがありボドロはそれに気がついたのか。確かに、試験内容を推測するのもハンターにとって必要な能力かも知れねぇ。

「まず一次試験は体力テスト。ハンターとして必要な体力・持久力を測るテストだった」

確かに、前半は乗り物でも対応できたけど、後半からは実際に体力を消耗するからな。

「二次試験は洞察力。最初の課題だった豚の丸焼き、あの特殊な進化形態から相手の弱点。そして寿司は試験官の言葉を元に寿司そのものの推測するテストだった」

言われてみれば洞察力がなければクリアできないテスト内容だったんだな。

「三次試験は?」

「うむ、前半のトリックタワーの試験はコースによって違うようだが、基本的に精神力を測るテストだったようだ」

まぁ、俺らは完全に言い争いなってたしな。正直、ゴンが居なければ同士討ちも可能性としてあった訳だし。

「次の軍艦島の中では我々の協調性が試された。四次試験は総合力が試された」

「じゃあ聞くが、最終試験では何が試されるんだ?」

殆どの事は今までの試験で試された。ならば、最終試験では何をやると言うんだ。

「ふふん、わからんか?まだあるであろう。これまでの試験の中で未だ試されていないものが……」

「なにぃ、何だよおっさん!その試されていないものって言うのは!?」

「それは、ハンターとして必要な知識の数々。
即ちペーパーテスト!!」

「……っ!!!???」

ううう嘘だろ!?ペーパーテストなんてされたら、ゴンよりも出来る気がしねぇぞコラァ!!俺はまだ、この世界で意識を得てから日が浅いんだぞ!!?


「こ、ここまで来て筆記試験かっ……」

「確かにハンターたる者、歴史や生物学など学問に精通していないと務まらない場合もあるだろう」

だ、だとしたら非常にまずいぞ。簡単な問題なんて出るはずがなく、初見じゃ答えられねぇような問題が大量に出るじゃねぇか!?

「お、おいゴン大丈夫か?」

「あはは、俺どうしよう……」

やっぱりゴンも駄目だよな。絶望の表情をしてる。この中で余裕そうな顔してるのクラピカだけだしな。試験は3日後だが俺には到底無理だ。

「そうだ!この飛行船確か図書室があった筈だ!」

「よし!行くぞ!」

ハンゾーの言葉にレオリオは反応してポックルも共に部屋を後にして図書室に向かった。今からやっても無理だとは思うけどな。

「無理だよな〜。な、ゴン……」

嘘だろ。あいつらも勉強しに行くのかよ。やっぱり根っからハンターになりたい奴とは、こういうとこで差がつくのかもな。

「などと何の根拠も無いことを適当に言ってしまったが……まぁ、良し!」

「おい、根拠ねぇのかよ……」

馬鹿らしくなってきた。俺は最終試験まで、ゆっくり休憩でもしておくか。別にコエンマから強制的に受験させられてるだけだしな。

「なぁ、お前は勉強しないのか?」

「あんたは、四次試験の時の……そういや名前聞いてなかったな。俺はロウって言う」

こいつに、俺の狼の姿について口止めしてなかったからな。あの姿はなるべく公に出したくはない。

「俺はオーギュ。カードハンターを目指しているんだ」

「なるほど」

カードハンターが何なのかが全く分からないが、取り敢えず分かってるフリでもしとくか。目的はそこには無いんだし。

「取り敢えず、四次試験の事は内密に頼むな」

「あぁ、あのことか。俺も自分の命までは投げたく無いから黙っといてやるぜ」

助かった。あれをゴンの耳に入る所で話されたら、ゴンがどう思うか。ゴンを助けたいとか思いつつ口移しから様々な世話までしたからな。

暫くの間オーギュと雑談していると受験者の呼び出しがアナウンスされるのが耳に入ってきた。もう筆記試験が始まるのか?と言うか本当に筆記試験だったのかよ!?

「筆記試験なら俺死亡するんだが」

「まぁ、俺はじーちゃんから聞くからどうにかなるがな」

前から思ってたが、じーちゃんって何なんだ?疑問しか抱いていないんだが。

次第に次々と受験者が応接室に呼び出されると俺も呼び出された。応接室に入ってみれば、中にはネテロのジイさんが一人座っていた。どうやら筆記試験では無いみたいだな。

「座りなされ」

「おう」

なんだかんだ言って俺の目的を作ってくれたジイさんだからな。手荒な真似はしたく無いし恐らく今戦えば負ける。俺は座布団の上に座ればジイさんからの問いがくる。

「まず、なぜハンターになりたいと思ったのかな?」

「上の者から強制的に受験しろって言われたからね」

ありのままの事を話してやったぜ。何が好きで、こんな試験受けてるんだか。

「ほぅ、それは大変じゃのう」

「うわ、超他人事だなオイ」

「他人じゃもん」

なら初めから聞くなよなクソジジィが!ネテロは手元から写真をテーブルの上に並べる。これは俺たち受験者の顔写真だ。

「では、この中で一番注目しているのは?」

どういう意味での注目だろうか。だが、ゴン以外はアウトオブ眼中だから答えは一択だな。

「405番のゴンだね」

「なるほど。では、最後の質問じゃが、この中で一番戦いたくないのは?」

「うむ……44番と301番とは戦いたくない。今の俺じゃ勝てない」

こいつらはオーラが違うんだよな。ネテロと同じく今の俺なら闘っても勝ち目はないからなぁ。

「ふむ、ご苦労じゃった。下がってよいぞ」

「ねぇ、このゴンの写真貰っていいか?」

「……うむ、お主で最後の面接だから、別に良いのじゃが……そういう趣味なのかのぅ?」

「いや、コレクションとして」

否定したつもりだけど、この返事じゃ完全に肯定してしまったしな。確かに欲しいけど、ゴンの写真を見ず知らずの第三者に渡したくない。

「俺って結構、独占欲強いんだよね」

「うむ、知っておるよ」

俺はゴンの写真を貰うと応接室から立ち去った。しかし、あのジイさんがゴンの写真をくれるなんて、てっきり規則かなんかで駄目だと思ったけど気味が悪いな。

しかし、戦いたくない相手。最終試験は一対一のデスマッチか何かという訳だな。トーナメントで勝ち残った一人だけが合格だったら無事に死亡する。
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