決戦×方法×鬼ごっこ
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俺の前に立ち構えるゴン。
完全にやる気満々の様だが、通常の組手じゃゴンが大怪我を仕掛けない。それは目に見えているから俺は生憎組手をする気はない。

「なぁ、ゴン」

「なに?」

少しだけ俺を警戒している。それは悪い意味ではない。試合が始まるギリギリまで俺の動向を掴んでおきたいんだろう。

組手になれば軽く気絶させることくらいは出来る。けども、ここは化け物の俺もなるべく対等に闘える方法を選びたい。

「勝負方法についてなんだが……鬼ごっこで良いか?」

「お、鬼ごっこ!?」

その提案に驚いたのはゴンだけではなかった。みんなが何かしらの反応を示している。でも、俺にも狙いがあるんだ。

なんで鬼ごっこにしたのかと言うと、この狭いとも広いとも言えない空間で追いかけるのは知恵も必要になるからだ。つまり、良い作戦を立てればゴンでも俺を捉えられるはずだ。俺はサングラスをかけた審判の方へ行き交渉に行く。

「対戦方法は何でも良いんだよな?」

「はい、一対一の形式でしたら対戦者に一任します」

この俺に組手で勝とうと思うならヒソカ級の力が必要だからな。最低でも、試験官クラスのオーラは持ってないと闘えないだろう。まぁ、これから俺はもっと力を付けるつもりでいるから今が一番弱いタイミングかも知れねーから勝率は低くても今が一番勝てる可能性があるかもな。

「うぅ……」

「なんだ不満か?」

「ロウが俺に合わしてくれてるみたいで……」

成る程、思った以上に頑固だった。まぁ、そういう強い拘りを持っているのがゴンの良いところで、俺の好きな一面の一つだったりするんだけどね。

でも、組手なんてしても今のゴン相手じゃ一方的になるから出来れば避けたい。だから、今回の要求は飲んでもらわなくちゃいけない。だから、ゴンを納得させる手段も即席ながら考えた。

「まさか、脚で俺に追い付けるとでも思ってるか?」

そう、つまり俺にやや有利な条件にすること。これならハンデとしてゴンは受け取らない。元々ハンデのつもりでも無いんだけどね。

だって、正直言ってスピードだけは、ここの誰にも負ける気がしない。本当は長距離の方が得意なんだけども蔵馬に短距離や足の使い方とか叩き込まれたからな。

「……わかった!ロウの事を捕まえたら良いんだもんね!」

「あぁ、一瞬でも俺に触れれたらゴンの勝ちだ。制限時間は3時間でいいか?ルールは、いかなる手を使ってでも良い。道具の使用もOKな」

「うん、俺は大丈夫だよ」

恐らく最初の10分は実力で俺を追いかけてくるだろう。それで駄目だと判断すれば、知恵を絞ってくるはず。

この鬼ごっこはただ闇雲に追いかければ追いつけるわけじゃない。持っているスピードが違う以上、この広いとも狭いとも言えない空間を利用できる知恵を絞らなければ、俺を捕まえることは不可能と言っても過言じゃないからな。

つまりは知恵を絞る頭脳戦と言ったところだ。トリックタワーの時に見せたようなゴンの常識を破る発想ならば、この俺を捕まえられるかも知れないし期待してしまう。

「さて審判、試合開始の合図を頼む」

「はい、第一試合405番ゴン様対406番ロウ様!それでは、レディ……ファイッ!」

その声と共にゴンは俺の元にダッシュする。その突進の様な走りに俺はジャンプをしてゴンの背後に向かって跳ぶ。

「なにぃっ!?」

「忘れたかレオリオ、ロウは第二次試験で人知を超えた脚力を見せているんだ」

その通り、だが今回はゴンに合わせて妖気オーラの使用は控えさせて貰った。単純な身体能力での鬼ごっこ。

「おいおい、遅すぎるぜ?」

「直ぐに追いついてみせる!」

さてと……追いつけるかな。俺はゴンと見つめ合う形になるバッグ走行でゴンから距離を取る。煽ってみたときゴンはどんな反応を見せてくれるのかが俺は気になる。

「なっ!?ロウバカにしてるだろ〜っ!!」

「怒るゴンも可愛いなぁ……」

「〜〜っ!!」

このやり取りに観衆は、ただただ呆れることしかできなかったのは言うまでもない。

俺の背中に壁が付くと目の前までゴンが追いついて来そうになる。その瞬間、俺は全員の視界から消えて見せた。

「こっちだぜ!」

部屋のど真ん中に立ってゴンに居場所を伝える。妖気使わなくても人間との肉体のスペックがそもそも違うんだ。体内にある膨大な妖気が自発的に使われてる可能性もあるがね。

(まずい……このままじゃ時間内にロウを捕まえる事が出来ない……っ!)

考えてるな。バック走行からの超高速移動を見せれば、流石に闇雲に走って捕まえるのは諦めるか。うんうん、ここからが本番という訳だな。

ゴンは俺を一目見ると再び追いかけてくる。俺はそれを見て部屋の隅に瞬時に移動する。ゴンが俺に追いつきそうになれば、俺はジャンプせずに壁を走り抜けていく。ゴンも同じように俺の後を付いてきて壁を走ってくる。

(重力に耐えて壁を走れるという事は身体能力は予想以上だな。)

俺は壁から跳ぶと天井に左足を着いて、部屋の中央まで跳び跳ねて戻る。

「くっ、くっそ〜!速すぎるなぁ〜っ!」

だろうな。力尽くで俺を捕まえられそうなのはマジでヒソカとかカタカタ野郎とかネテロのジイさんとかの一線を画した連中だけだろうし。



それから2時間と数十分が経過し、この鬼ごっこも終盤を迎えている時となった。俺がゴンを交わそうと跳び上がれば、ゴンは俺に向かってブーツを飛ばしてくる。

「おっ!」

ようやく道具を使うことにしたか。恐らく、俺が何も使わないからゴンは道具を使うのは躊躇っていたと言うところかな?

上半身を捻らせ俺は余裕で交わすが、直ぐに俺は飛び上がって着地地点を確認すれば、そこにはゴンのブーツが飛んでくる。

(っ!?まずい、これ踏めば間違いなく転ぶぞ!?だからと言って着地地点変更したらバランス崩すだろうしな。仕方ない着地できるのは脚だけじゃない!)

俺は半身のバランスを変え右手で地面に着地しゴンの居場所を確認するが……。

(いぃっ!?前が見えねぇぞ!?)

視界がやられたのか何も見えない!と瞬時に思ってしまったが俺の視界を妨げていたのは正体はゴンの上着だった。

「捕まえたぁー!」

「あ”ぁっ!?」

気がついた時にはゴンは俺の背後に移っており、声と共に背中にゴンの手が当たっていた。

「おぉっ!良くやったぜゴンー!!」

レオリオをはじめとして歓声が上がっていた。俺の敗北に残念がる声が聞こえないのだが……。

「ゴンはこの3時間弱の間でロウの動きを分析していたんだな。それ故、的確な位置にブーツを投げ入れたり上着で視界を妨げることが出来たんだ」

マジか……。確かにネテロジイさんとのボールのゲームで片手片足使ってなかったとか言っちゃったから、動き見られるよな……。俺の予想を上回ったゴンには嬉しいけど、妖気無しとは言えマジでやってたから悔しい!

けど、これは天晴れだなぁ。ブーツならジイさんとのボール取りの時みたいに使ってくると思ったけど、それに繋げて上着で視界を遮ってくるとは思わなかった。

「頑張ったなゴン」

「えへへ〜」

「うん……うん!悔しいが合格おめでとうだ!このヤロー!!」

満足気な表情を見せるゴンの頭を俺はワシャワシャになるまで撫でまくる。こんな嬉しいこと何て記憶にある限りじゃ初めてだぜ。

「そういや残り時間はどんなもんだ?」

「残り時間は19秒です」

うぉ、かなりギリギリ。よく、焦らないで作戦立てれたよな。本人は必死で時間なんて意識してなかっただろうけど。

しかし、負けるつもりなんてなかったからなぁ。確か次の相手はハンゾーだっけか……?俺はハンゾーの方に視線を向けると胸に何かが倒れてくるのを感じた。

「おっ、おいゴン!?」

「恐らく気を失ってしまったんだろう。2時間以上も凄まじいペースで走り続けていたんだ」

クラピカの説明に俺は安心する。確かに、ジイさんとのボールゲームの時も終わった瞬間に眠りについたからな。

「じゃあ、誰かゴンを頼むよ」

俺がそう言えば審判の一人が部屋で寝かせるという事でゴンを連れて行った。俺も疲れたから次のハンゾー戦は一瞬で方を付けて置きたい。
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