講義×抗議×知らぬ出来事
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あの薄気味悪いカタカタ野郎がキルアの兄だったのか。全くそんな気配は感じなかったから気がつかなかった。ただ、本題はそれじゃなくて勝手にキルアに近づいた俺たちに奴は何か仕掛けてくるだろうか……?
今の俺じゃ負けると思うから修行しなきゃな。俺の成長スピードなら軽くオーラの絶対量なら上回れるはず。問題は頭脳にあるわけだが、それを重点的鍛えねばな。
ところで講義ってどこでやってんだ?重要なことを聞き忘れてしまった。これじゃあ、建物の中を徘徊しているだけだ。
「おや、ロウではないか」
「お!クラピカにレオリオ」
曲がり角から見覚えのある人物が現れると、そこにはクラピカとレオリオがいた。
「目覚めたんだな。ゴンの様子はどうだ?」
「まだ寝ているけど大丈夫そうだ。それよりさキルアの兄について尋ねたいことがある」
「……ギタラクル。いやイルミといった方がいいな」
本名はイルミというのか。名前だけ聞けば可愛らしいが、あのカタカタ野郎だし。
「それで……だな。ゴンについても何か言っていたのか気がかりでな」
「……あぁ!あのヤロー、ゴンの命を脅してキルアに降参させたんだ!ありゃ、相当頭がいかれてるぜ!」
レオリオがここまで怒鳴るなんて俺の寝てる間に相当な事があったんだな。
「それに、俺はゴンにはロウがいるから大丈夫だって言ってるのにキルアは信用しないで降参しちまうし!」
「いや、それで良かったかもしれない」
俺のこぼした言葉にレオリオとクラピカはキョトンとする。確かに、俺の実力はかなり上だと思う。確かに相当強い自覚はあるけど、それ以上にヒソカやイルミは上をいってる。
「今の俺じゃ本当の本気を出したってヒソカやイルミには負けると思う」
「確かにあの二人はレベルが違うな……」
「そう言うクラピカだってヒソカと善戦してたじゃねーか!」
なっ、マジか?そういやトーナメント表によればクラピカの相手はヒソカだったな。心配だったが、部屋から抜け出したし、どんな結果になったか気になってたぞ。
「ロウにも言えることだがヒソカ達には私たちには知らない何かがある気がするんだ」
「……まさか?」
とりあえずシラを切ったけど、オーラの存在に気付きつつあるのか。凄まじい素質があるんじゃないのかな。
「だけどよ、ロウまでキルアの兄貴に勝てないのは意外だなぁ」
「言い訳すればだな、試験受ける1ヶ月前に無理やり修行させられて強くなったけど、それ以前ならお前らと力の差はなかったよ」
「お、おい!嘘だろ!?そんな短期間で滅茶苦茶強くなったって言うのかよ!?」
レオリオは余程驚いたのか俺から一歩退いして、まじまじと俺を観察して言う。まぁ、人間じゃないっていうのと妖怪じゃないって言うのが関係してるだろうけど。
「やはり短期間で強くなれたと言う事は私達には知らない力があるのではないか?現にエネルギー物質の塊を放出できる訳だしな」
この話はやめておこう。俺が扱ってるのは妖気だし下手に教えたら間違った知識を与えてしまいかねない。
「……まぁ、その話は置いといて〜講義ってどこでやんの?」
「かなり無理やり話を切ったな。まぁ、そろそろ講義の時間だ。この話はまた今度にしよう。講義はこの階のDクラスで行うそうだ」
止まった足を進めると俺はクラピカの後についてDクラスに向かった。講義が行われる部屋に入れば適当に席に着く。
あの見覚えのない奴がイルミだな。服装は同じだし顔を変形させていたのか。俺は人間繕ってる身だから他人のこと悪く言えないけど、あのカタカタ野郎に化けるのはセンスを疑う。
あらから数時間ばかりして講義は終わった。講義は終わったのだがクラピカやレオリオがキルアの失格について物申している。
「キルアの失格は不当なものだ。明らかに操られていたものだと思える」
「ふむ、そのことについては明日もう一度ここで話し合おう」
ネテロは髭を触りながら明日もう一度この場で話し合うことを約束した。俺はキルアがどのような形でポドロを殺したのか知らないから何も言えんが、あのキルアの兄が関係しているらしい。
とりあえず、まだハンター証の発行などで時間がかかるらしいから、あと数日間はここで待機するらしい。恐らくキルアの合否について話し合えるのも時間が余ってるからだろう。あるいは、こういったトラブルに備えて態と時間を空けてるのかもしれない。
「ねぇ、最終試験のこと、もっと詳しく教えてくれる?」
「あぁ、私もロウに相談したかったところだからな」
やっぱり討論する相手や物事を教わるならクラピカが最適だからね。多分、雰囲気が蔵馬と似てる部分があるから俺が勝手に落ち着いて話せるというだけかもしれないけど。
クラピカと二人でラウンジに向かえばお互いにコーヒーを頼んで席に着いた。どう話を切り出すものかと思ってしまい言葉が出ない。
ラウンジには人が少ないということもあり音も少なく、コーヒーが注がれる音が聞こえる。
「……そうだな、最終試験に何があったか全体を通して説明しよう。そちらの方が分かりやすいだろう」
「そうだな、頼むよ」
キルアはギタラクルが実の兄イルミであることには気づいていなかったらしい。恐らく楽しめる相手程度にしか考えていなかった。
顔に刺さった針を抜いたイルミは顔が変形し元どおりに戻ったのだ。それを見たキルアは既に追い詰められた様な様子をしていた。
彼はキルアに話しかければハンターに向かないと天職は殺し屋だと言い放った。自身は何も求めず何も望まない。喜びを抱くのは人を殺めた時だけ。そういう風に育てられたらしい。
そこでキルアは望むものがあると主張してゴンと友達になりたいと言ったらしい。しかし、それさえも否定しキルアを追い詰めていった。また、その際にキルアとゴンは既に友達同士だとレオリオが言ったが、それが仇となりゴンを殺そうと彼は言った。
ゴンの命で脅してキルアを更に追い詰めていった。結果、キルアはゴンを優先して降参してしまった。
その後のキルアは感情が見えずに何を言っても言葉を返さなかったと言う。その後の試合でポドロの背後から突きで一発、仕留めてしまった。その後、失格となりここから立ち去っていった。
「なるほどな。精神操作に近いものを感じる。もしかすれば、合ってみれば感覚で操作されてるか否かの違いに気づけると思うけど……何処にいるかわからんしな」
「やはり、ロウも暗示をかけられた様に思うか?」
「まぁ、よっぽどの理由がない限り、わざわざ他人の試合中に殺す奴ではないから」
それに、誰かを殺したくなっても、そこまで酷なことはキルアでもしないと信じている。キルアがいなくなるとゴンが悲しむに違いないからな。
俺たち5人揃ってこそゴンが満面の笑みを浮かべられると思うんだ。この長い試験の中で共に危機を乗り越えてきたのだから、結束も硬くなったはず。それを失うわけにはいかない。
「それで、ロウは特殊な力を扱えると判断して相談したいんだ」
なるほど、恐らく暗示的な行為にも特殊な力で人を操作できるか否かということかな。現に植物を操る蔵馬がいるのだから、既に存在していても何ら不思議じゃない。
「恐らくはあるが、それを証明する手段は思いつかないし、その判断も出来ない」
「…やはり」
「でも、ゴンはそのことよりも別の事で怒るに違いないだろう」
コーヒーを一口飲み込めば、クラピカは何を言ってると言わんばかりの表情で俺を見ていた。現にキルアはハンターには興味なさそうだったし。
「多分、ポドロを殺したのが暗示によるものならば、無理やり殺しをさせた事にゴンは怒るかなって……ね?」
「…………」
クラピカは沈黙して俺を見る。そしてふと我に返った様にクラピカは「確かに……」とだけ頷いた。
「それでなんだけど、もしゴンとイルミって奴が激突したらゴンが危険だから、その環境を作らせたくないんだ」
「十分に可能性があるな。私からも、もしそのような状況に陥る可能性が見えたら、その状況を回避できるようにサポートしよう」
やっぱりクラピカみたいに分析力ないと、いつ何が起こりうるか予測できないからクラピカに協力して貰えるのは良かった。
「流石クラピカ!ありがとう」
「いや、私こそ礼を言う。ありがとう」
それからは、何となくお互いが知らない試験中にあった出来事などを話して充実した時間を得られた。
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