友達×資格×試しの門
◆◇◆◇◆◇◆




朝を迎えると朝食を食べ顔を洗う。歯ブラシを片手にゴンと並んで歯を磨く。
窓からは大きな山が見えた。

「あの山がキルアの?」

「ククルーマウンテンだな」

雑誌で見たが同じ山だ。ゴンに返答すれば、まじまじと山を見つめるゴンは相槌を返した。それから、しばらくして洗面所にクラピカとレオリオが入ってきた。

「迂闊に近づくと危険かもしれないな」

「まず宿を確保して作戦を立てようぜ」

「うん、周囲の聞き込みからはじめるか」

クラピカもレオリオもしっかりしてるなぁ。俺ってば、いきなりアポなしで行ってゾルディック家に喧嘩売りに行くとばかり考えてたよ。

「その必要はないよ。友達に会いに来ただけだもん」

「……うはっ、あははっゴンらしいなー!」

きっとゴンにとっての価値観はそんなもんなんだろう。だが、キルアと接してるうちに気がついたが奴らは俺らと住んでる世界が違うんだぜゴン。

「なんで笑うんだよーロウ」

「ごめん可笑しくって!あはは!」

「もう!ロウまで俺を馬鹿にするんだ!」

多分、すねちゃったかもしれないけど俺はゴンのそういった常識を打ち破るところが好きなんだよね。

「さてとゴンの言うことに俺は従うよ。言ってることは滅茶苦茶かもしれないけど、筋は通ってると思うんだ」

「ロウがそう言うなら私もゴンの意見に従おう」

俺の賛同にクラピカも乗った。その流れにレオリオは少し呆れていたが、すぐに表情は戻り「わかったよ」と言い仕方なく賛同した。



列車がデントラ地区の駅に到着すると俺たちは荷物を手に下車した。駅から出てすぐ近くにあった八百屋のおばさんにククルーマウンテンの場所を聞いて、俺たちはそこに向かうバスに乗り込んだ。乗ったバスは観光バスで車内にはガイドさんもいた。

「えー、みなさま今日は当 号泣観光バスをご利用頂きまして誠にありがとうございます。私、本日のご案内を務めさせていただくココルと申します。皆さんどうぞココちゃんと呼んでくださいね」

彼女のルックスが良いだけあってバス内は盛り上がる。ふん、ゴン以上に愛くるしい奴など存在しないというのに。

「それでは皆さん、今日一日よろしくおねがいしま〜す!」

「お願いされちゃいま〜す!」

隣で周りと一緒に盛り上がるレオリオはココちゃんにそう言う。その隣で眉をひそめ呆れた顔のクラピカも同時に視界に入り同情する。

「ゴンはあんな大人になったらダメだぞ」

「う、うん」

ゴンもレオリオを見て内心情けないと思ってたのか、苦笑いを浮かべ返事をした。ゴンなら俺が心配しなくてもレオリオみたいな大人にならないって思ってるけど。

「よう、ココちゃんよぉ」

一番後ろから厳つい声でココちゃんを呼ぶ声が聞こえる。

「ククルーマウンテンってところには、どのくらいでつくんだよ?」

「えー、およそ二時間の旅となります」

二時間か……思ったより長いな。まぁ、ゴンが隣にいるから退屈はしないで済むと思うが、長いといえば長いな。

「おい、急がせるか?」

男の一人は連れの男に相談する。

「山は逃げやしねぇ。のんびり行こうじゃねぇか。続けてくれぇココちゃん!」

この様子だとゾルディックを狙う賞金首狙いの客だな。だが、あいつらじゃイルミおろかキルアにすら傷一つつけられない。トリックタワーにいたベンドットの方が随分ましなレベルだ。

「はぁい!それでは簡単に注意事項を」

にしてもゾルディック家はいちいちあんな奴らの相手をしてんのかな……?俺なら絶対めんどくさくなって誰か雇うかもしれんが。

「そういやキルアの家って使用人が大勢いるんだっけ?」

「確かキルアそう言ってたね。でも、それがどうしたの?」

「キルアの家に入るのは相当リスクがいるかもしれねぇって事だ。しかも、入るのも難しそうな気がしてならない」

「……え?」

俺なら、あんな連中の相手なんざいちいちしねぇ。だとすれば使用人に相手を任せた方が楽だ。俺なら間違いなくそうさせる。それは、俺たちがキルアの家に入る難易度と直結してる可能性が高い。イルミが友達なんで必要ないというのは家のセキュリティを保つため。



それから約二時間が経過すると予定通りにククルーマウンテンが見えはじめた。ココちゃんもククルーマウンテンの説明を始める。

「あちらに見えますのが悪名高いゾルディック家の住むククルーマウンテンですぅ!樹海に囲まれた標高3772mの死火山のどこかに彼らの屋敷があると言われてますが……誰も見たものはいません」

窓側を見てはククルーマウンテンをまじましと見つめるゴンの姿が目に入る。キルアともう少しで会えるといった様子で楽しそうな笑みを浮かべている。

乗っていた観光バスは山の前まで行くと、大きな壁があるところで停車し俺たちは、そこで全員降りた。

「わぁ〜」

「こうして見るとでかい山だなゴン……」

「うん、でもここにキルアがいる」

流石ゴンだな。こんな状況でも前向きに考えている。俺はここにイルミよりも強い奴がいると鳥肌が立つよ。もしゴンに危険が及ぶなら無理にでも助けなくちゃな。

「あれ?」

俺は大きい壁だと思ってたが、これってもしかして門なのか……?まさかアレを全て開けろとでも言うんじゃないよな。

「えー、ここがゾルディック家の正門です。入ったら最期、戻ってくるのは不可能と呼ばれることから別名・黄泉への扉と呼ばれております」

やはり俺の予感は正しかったようだ。ここからでも危険な奴らが大勢いるとピリピリと伝わってきているのが分かる。もし戦闘が始まれば勝ち目があるかわからない。恐らく使用人ならば仕留められるが、家の者とならば厳しい。最悪はゴンを連れて霊界リングを使って霊界に逃げよう。

「あのガイドさん、中に入るにはどうしたらいいの?」

「あら、ココちゃんでいいのよ?ここから先は私有地となっておりますので見学はできませ〜ん」

ゴンは中へ入り方をココちゃんに聞くが、どうやら中には入れないらしい。まぁ、当たり前っちゃ当たり前だけどさ。しかし、だだっ広い敷地だ。クラピカもレオリオを唖然としている。たしか幻海さんの敷地も相当だがキルアん家も広いなぁ。

「やっぱり俺の言った通り簡単には入れないだろ?」

「でも、俺は諦めないよ」

「はぁ……。仕方ない」

俺は大きなもんの前に歩いていくと観光客の視線を浴びる。あの、懸賞金狙いの二人にも世界が違うということを見せてやるか。みすみす目の前で消えるだろう命だってわかるのに救わないわけなはいかない。


門に両手をついて見せれば、後ろからゴン達が走ってやってくる。

「何をするつもりだロウ……?」

「この門を開けるんだよ。見てわかるだろう」

「な、なにぃっ!!いくらロウでもそれは無理に決まってる!!」

人間の姿のままじゃ妖気の放出量が10%ほどしか出せないが、体内で使えばパワーに影響はない。両手両足に妖気を込め力いっぱいに押せば鈍い音と共に門が動き出す。『X』の逆字が印字された門まで開くと、近くにいた観光客は驚いて逃げてしまった。

「どうだ?俺にかかればこんなもんだ!」

手を離せば門は勢いよく閉まる。同時にかなりの轟音もあたりに響かせた。

「だぁあああ!?お、お前マジで開けちまうのかよ!!」

「まさか、本当に開くとはな……」

その光景にゴンは何も喋らなかった。そして、俺たち以外に誰もいなくなってしまった。あの観光バス俺たちをおいてったな?

「おやおや」

ここに仕えてる者が扉を開けた俺に気がついて近づいて来る。敵意は感じない。

「まさか一人で開ける者が現れるとは……それも5の扉まで……」

「あなたは?」

クラピカが男にそう聞くと「ここに仕えてる者です」とだけ答えてこの男が俺たちを連れて待合所のような場所に行った。そこで詳しい話をするらしい。もしかしたら、中に入れる条件は門を開けることだったのかもな。
- 34 -
[前ページ] | [次ページ]
戻る
ページ:


unleash the mind