対決×修行×お気に入り
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7日目の夜。俺たちは就寝すると、何処からか微かに誰かの気配が近づいてくるのが分かる。これに気づけるのは俺の様な野生動物か、訓練された人間くらいだろう。
俺はその誘いを受けて布団から出て家の外へ出る。もちろん俺も気配を殺して出た。
「……ほぅ」
バッと後ろを向くと銀髪で長髪の男が立っていた。まさかだとは思うがキルアの父か?
「……何の用だ?」
「ふはは、それを侵入者のお前が言うのか」
「……」
この男も俺よりも強い。迂闊な行動をすれば命が消えかねないな。ここからの行動は慎重に取らなければ。
「まぁ、その質問に答えるとしよう」
銀髪の男は俺に近づいてくる。俺の得意とする間合いをキープするから!?いや、そんな事をすれば戦闘開始の合図となる。なるべくここは戦闘を回避したい。
「……随分と珍しい客だったから様子を見に来たんだよ」
男は俺の頭に手をポンっと置くと撫ぜながら言う。あれ、もしかして敵意はないのか?
「お前は天狼……だろう?」
「!?な、なんで分かった?」
「キルアからは聞いてないのか。昔この家にも天狼がいたからな」
「なるほど……」
男は俺の頭を撫ぜていた手を戻すと「着いてこい」と俺に言う。これも俺の勘だが危険な感じはしない。むしろ、俺にとって良いことが起こる予感。
「わかった」
男の後を着いていけば、幾度も誰かが闘った形跡のあるだろう広場に出た。憶測だが、ここで修行をしているのだろう。
「俺の名はシルバ。もう気づいてると思うがキルアの父だ」
「俺はロウ」
このタイミングの自己紹介。それは手合わせが起こる事を意味する気がする。殺し合いではない。恐らくは俺の力量を測りたいんだろう。
「……よし、行くぞ」
「あぁ」
俺は獣人の姿へとフォルムチェンジする。それを見たシルバは目を見開いた。
「これは驚いた。ただの天狼ではないんだな」
「少しばかり異端児なんでね」
まずは小手調べ。相手のパワー・スピードを把握するところから始める。
俺はシルバとの間合いを詰めるも、突きを数発入れる。しかし、シルバは余裕で交わし切って上空に蹴り上げる様な蹴りを入れた。瞬時にガードするが、力が強くて上空に飛ぶ。
空中で体制を整えた俺は、シルバから距離をとって着地する。が、シルバはそれを見計らって俺の前から姿を消した。
(……ど、どこだ!?)
俺がシルバの気配に気がついた時には真後ろに接近されていてガード困難な状態に陥る。こんな時はダメージ覚悟で有滅爆輪を発動するしかないな。
「うぐぁっ!有滅爆輪!!」
背後から強烈な蹴りを喰らったが、同時に有滅爆輪を3つ発動しシルバを強制的に俺から離れさせる。
「ほう、これがお前の能力か」
「触れたら、あんたに癒着するぜ?」
「だろうな」
シルバは有滅爆輪を交わしつつ俺に接近するが、何からも追われない俺はシルバから簡単に距離を取れる。
「さて、本番はここからだ」
両手に魔界樹の種を持ち俺の妖力を込める。それを辺り一帯にばら撒けば、周りからは魔界樹の森が形成された。
その光景にシルバは目を見開くが、その瞬間にできた俺の隙に、両手に光弾を生成して俺に投げとばす。
(封魔妖光壁!)
自分の身体に障壁を生成して俺に触れたオーラは如何なるものでも吸収する能力。シルバの光弾も吸収した。
(こいつ操作系だと思っていたが、特質系も開花しているな)
「さて、どうするよシルバさん」
シルバはニヤリと笑みを浮かべれば俺から距離を取った。そうすると再び両手に光弾を作り俺に投げ飛ばす。その手は俺に通用しない。
(封魔妖光壁!)
大きな一つの光弾を吸収すると連続してもう一つの光弾も飛んでくる。それも吸収出来るさ。
「くはぁっ!?」
二つ目の光弾を吸収したと思えば俺の体は吹き飛ばされていて魔界樹の幹に身体を打ち付ける。
何が起きやがった!?いや、今はそれよりも目の前にいるシルバをどうにかしないと負ける!
風をきるようなシルバの蹴りを俺は紙一重でかわす。その蹴りは俺の背を支えていた一本の魔界樹を切り倒し、ドデカイ音が響く。
「ぐぁっ!!」
シルバから距離を取れたかと思えば切断した魔界樹の幹を俺に思い切りぶつけて俺は更にふっとばされた。
わずかに開いた目でシルバを捉えると光り輝いていて光弾が生成されているのが分かった。瞬時に封魔妖光壁を発動すれば、シルバの姿は消えていて真横にシルバがいた。
「お前のその障壁はオーラを吸収する能力。ならば、お前が生成した爆弾も吸収されるはず」
みればシルバの左手に、俺が生成した3つの有滅爆輪の全てが癒着しており、俺の封魔妖光壁に腕を突っ込み全ての有滅爆輪を解除した。その、腕を突っ込んだ勢いで俺を殴り飛ばし俺は更に飛ばされる。
「やべぇっ、これじゃあ手玉状態だっ」
まだ俺にも手は残されているハズ。取り敢えずは気配を殺してシルバに不意打ちを入れる事から始めよう。
俺はもう一度フォルムチェンジすると、今度は四作歩行である元々の天狼の姿に戻る。この姿は音や気配と言ったものを限りなく絶つことが出来る。
しかし、俺はその瞬間に広範囲に広がるオーラを感じ取る。これは俺も出来る芸当。誰かを探し出す時に使用した技術だ。
(不味いな……)
咄嗟に地面に潜れば、俺もシルバの居場所をオーラで割り出す。シルバの居場所が分かった時にはもう遅い。今の俺の上空にいて、気がつけば強烈な蹴りが俺にヒットした。
「はぁっ、はぁっ……」
「もう、終わりだ」
シルバはそう言うと倒れている俺に手を伸ばす。流石キルアとイルミの父なだけあるなぁ。一時は上手くいくかなって思ったけど、あれは俺の能力を探っていたんだ。
シルバの差し伸ばす手を取れば、そのまま担がれゾルディック邸に連れてかれた。
入り組んだ家の中の一つの部屋に俺を下ろすとシルバはクッションが沢山置いてある場所に座り込む。
「お前の絶、中々だったぞ」
「……絶?」
「……まさか、お前知らないでやっていたのか?」
「何のことかさっぱり」
そう答えるとシルバはまるで目を見開いて俺を見た。もしかして、その絶って言うのは凄い技術なのか?
「ははは、まさか念の基礎知識を知らないで俺と闘ってたとはな。こりゃ、驚いたぜ」
「念?」
「よし、どうだ。お前の連れが来るまでの期間、俺の元で修行しないか?」
悩むなぁ……。楽しそうだけどゴンに稽古付けてる最中だしなぁ。
「夜だけなら時間があるから」
「そうか、ならば俺が今日来た時間にさっきの闘った場所に来い」
「え、うん」
シルバは俺の知らない技術を知ってる以上、この人の元で修行すれば俺にとって大きな成長に繋がる。この前も思ったが、最近はまともな修行をしていなかったから丁度良い機会だ。
「じゃあ、明日もよろしくお願いする」
「あぁ、楽しみにしてるぞ」
俺はシルバの部屋から出るとゾルディック邸の出口に向かう。そのまま、出ると俺は元いた使用人の家に帰った。戻る
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