異端×才能×特異体質
◆◇◆◇◆◇◆◇
翌日も同じ時間にシルバと闘った場所に訪れると、そこにはシルバが既に腕を組んで立っていた。こうやって見ると確かな殺し屋さんだなぁ。
「来たか、さっそく始めよう」
「始めると言っても何を?」
「昨日言ったが、お前は念の知識を知らないらしいな。まずは基礎知識からお前に教える」
そういや昨日も絶とか何とか言ってたな。そう言った類の勉強をするということか。
「まずはこれをやってみろ」
シルバはおもむろに水の入ったコップを取り出した。その水には葉が一枚浮かんでいて、これから特別な事をするのが分かった。
「これにオーラを放て」
「わ、わかった」
コップに両手をかざすと、葉が大きく揺れて次第にその葉は枯れていった。
「成る程な」
「成る程って何がわかるんだ?」
「葉が動くのは操作系の証だ。と言っても、それすらも知らないんだろう?」
「う、うん……」
頷けばシルバはポケットから紙を取り出すと俺に見えるように広げた。この紙には六角形の図が書かれており、その中の一つに操作系と書かれたものがある。
「これは念の系統。念というのはお前が使っているオーラの事だ」
「六つも系統があるのか」
「あぁ。説明すると、操作系は操作系の能力を威力・精度共に100%使える」
成る程……と言うことは俺の有滅爆輪は相手を追うように操作されてるから操作系の能力を使っていたのか。
「また、操作系の隣にある放出系の威力・精度は80%使用できる。そこから離れた強化系と具現化系は60%の威力・精度で使用できる」
つまりは、操作系の俺が使用して良いのは放出系までにした方が良いかもしれないって事だな。
「また、操作系と対角にある変化系は威力・精度が40%しか扱えない」
俺が一番使っちゃいけない系統の能力と言うわけだな。結局は、変化系能力者と比べた時に大きく劣ってしまうから。
「……あれ、この特質というのか?」
一つだけ触れてない系統がある。わざと言ってないのか最後に取って置いているのか。
「そうだな。特質系という系統は本来ならば、どの系統の能力者でも使えない特殊な系統」
あれ、じゃあ両隣の一つを使えない操作系と具現化系って他の系統を比べたら不利なんじゃないのか?俺の系統ってもしかしてハズレ……?
「だが、お前は違う様だ」
「へ?」
「先程、葉が枯れていった。操作系の水見式では通常、葉は枯れない。だが枯れたという事は、お前の念は特質系が開花している事の証明だ」
「ま、マジ?」
「現にお前が使った森林の能力。あれは対象内にいる誰かの体力を奪うものだろう?そんな芸当が出来るのは特質系能力者のみ。あの障壁も同じようなものだ」
自分の系統に不満があったけど、ちょっとだけ気を持ち直せたかも。
「特質系の能力は幅が広い。戦闘においても融通の利く能力を作れるだろう。現に俺は、オーラの絶対量や経験でお前に大きく優っているのにも関わらず、それでも苦戦を強いられた」
結局は全ての能力を理解されて手玉に取られた訳だけど、一時はシルバの事を追い詰めれたな。
「無意識だろうがお前の能力は効率の良いものばかりだ。あの爆弾の能力は何だ?」
「ゆ、有滅爆輪という能力で、発動したら対象者を追って触れたら癒着して1分後に俺の半径50m以内にいたら爆発する能力……」
「成る程な。そいつは操作系と放出系で成り立っている能力。だから精度も威力も良いんだ。あの障壁も恐らくは放出系と特質系で成り立っている」
なんか俺よりもシルバの楽しんでないか…?まぁ、この人は殺し屋さんでも無闇に人を殺めたりはしなさそうだけどさ。
それからも念の説明は続き俺は何度も感心させられる。シルバ曰く、俺は更に広い可能性があるとの事だ。
「あと忠告だ。俺には能力の事を話したが無闇に能力を他人に話すな。また、公共の場でも同じだ」
「他人に能力はバラしちゃいけない、という事か?」
「あぁ、相手に能力の本質を隠しつつ戦闘をするもの戦術の一つ。ミスリードを誘うのもアリだ」
確かに俺の有滅爆輪の効果を見抜くのは難しい。爆弾だと分かっても爆発する条件も複雑。相手は瞬時に爆発すると思い、必要以上に有滅爆輪を意識するかもしれない。
「まずは基本技術の四大行からだな」
シルバは立ち上がり俺も立ち上がる。ここからが実践交えての修行になる。
「今の俺のオーラが見えるか?」
「緩やかなオーラ。一般人でも放ってる程度のオーラの量」
「これが纏の状態だ。よし、これはどうだ」
シルバから放たれていたオーラが完全に絶たれて気配すら薄れていった。目の前に居るはずなのに幽霊の様な気配。
「オーラが完全に絶たれた」
「これが絶だ。気配を絶つ時に用いる技術だ。また、疲労回復の効果もある」
俺は無意識の内にそれが出来ていたのか。自惚れしているとシルバから沢山のオーラが放たれて思わず驚く。
「これは練。纏で精製したオーラを練って増大される技術の事。そして、戦闘中に俺が放った光弾の様なものを発という。お前の有滅爆輪も同じくだ」
しかし、全ての蔵馬の修行に組み込まれてたんだな。あいつ、言葉では教えてくれなかったけど無意識で使わせていたのか。
「まぁ、どれもお前と闘ってた時にお前は使いこなしていたから問題ないな。本題は応用技にある。四大行を応用した技術の事だ」
恐らく、その応用技の幾つかも蔵馬は教えてくれていただろうな。
「凝の説明をするには隠の説明からしなければならん」
シルバは指先からオーラを放つと何か細工をしたのか俺を見た。
「何か変わったのか……?」
疑問に思ってシルバに聞き返せば、シルバは俺をジッと見て何かを考えている。
「何が見える?」
「えっと数字の9が見える」
「……それはお前の体質か」
シルバは指から放っていたオーラを消すと、小さく笑いだし再び俺を見て何かを言い出した。
「本来ならば見えなくなるはず何だ。だが、それでも見えているのはお前の体内に巡ってるオーラが異質なのかもしれない」
「え、見えなくなる筈なのか!?」
「隠は絶を応用した技術で具現化したものですら視覚的に捉えられなくする技術何だが……お前に凝を教える必要は無さそうだ」
やっぱり、こういう面でも人間と妖怪の違いっていうのが顕著に現れてくるもんなのか。でも、こう言う形で他と違うのが分かると自分が特別だという優越感と、他とは違う仲間外れにされた感覚に襲われるな。
「まぁ、お前は隠を覚えれば十分だな。凝は慣れるまでに時間がかかる分、その習得に時間が掛からぬ分、お前はついてると言うわけだ。」
それから俺は隠の習得に時間を費やすが一向に隠れてくれない。俺が困惑していればシルバは鋭い眼光で俺を見ていた。
「おい、もういいぞ。」
「俺って才能ないのかな……」
いくらやっても隠が上手くいかない。これは才能が無いとしか言えない。
「恐らくだが……お前のオーラは人間と違う。はっきりしたオーラで隠で視覚的に消したオーラを見えるが、その代わりな自分は隠がオーラの質を考えた時に出来ないんだろう。」
嘘だろ。有滅爆輪を隠で隠せば強力な武器になると思ってたんだけどなぁ……。封魔妖光壁も隠で見えなくしたら便利だと思ったのに。
「凝をしなくてもオーラが見える代価だと思え。普通と違うことは、それだけで武器になる」
確かに……相手は俺が隠ができる前提で闘うから、相手に不必要に凝をさせれる。一方で俺は凝をしなくてもオーラが見えるから、相手がわざわざ隠で隠しても無駄になるんだもんな。
それからシルバの説明と実践により俺は周と硬と堅と流を使いこなせる様にした。うち、円は既に使用していた誰かを探す時に用いていた技術で、その中にあるモノの形や動きを察知できるもの。
今日の修行はオーラの説明で終わり、明日から戦闘面においての技術を教わる事になった。しかし、シルバが俺にここまで良くしてくれる理由がよく分からない。 戻る
ページ:
unleash the mind