気持ち×想い×すれ違い
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あれから更に一勝を得て俺達は100階クラスへ登った。キルアを待って、俺とゴンは100階のロビーで待っている。ファイトマネーで貰った金額は6万ジェニー程だ。

「大した奴いないなー」

「でも、これから強い相手が出てくるかもよ?」

ファイターが弱くて愚痴るように言えば、俺が気落ちしないようにゴンは返す。けれど、一番の目的は強い奴と闘うことじゃない。

「とりあえず金が欲しい。戸籍もないから金を得て国のトップと交渉して戸籍をだな……」

「別にそんな事しなくても申請してくれば良いんじゃないの?」

「いや、わからん」

実際どうなんだろうか。戸籍のないものが役所に申し出をした時の対処はどうしているんだろうか。人権を与えない訳にはいかないから、実は結構簡単なのだろうか?まぁ、俺は人じゃない時点で検査されたらアウトだから国のトップと交渉する必要はありそうだけど。

「あ!キルアこっち!見て6万も貰っちゃった。少し時間が掛かったね」

俺は自分の試合が終わった後にキルアの試合をチラッと観戦しに行ったがズシがしぶとかったからな。

「あぁ、ちょっと手こずっちまった」

「やっぱりズシの野郎強かったかのか?」

観戦しに行ったとは言っても実は最後まで見なかったからどうなったかはしらないんだ。

「いや、全然。素質はあるよ。あいつ強くなる。でも、今はまだ俺からみりゃ隙だらけだしパンチものろい。殴りたい放題だったよ。……なのに倒せなかった」

確かに念を使えりゃしぶとくなるよな。生体エネルギーを鍛える特訓に近いところもあるから、しぶとくなるのは当然だ。

「それに、あいつが構えを変えたとたん兄貴と同じ嫌な感じがしたんだ」

間違いなく念だな。俺の今まで、それをやって勝ち進んだんだし。相手が降参するから俺は何もしてないように見えるけど。

「何か……分かんないけどヤバイ感じ。あれきっと何かの技なんだ!あいつの師匠がレンって言ってた」

あー……練か。シルバから教えてもらった四大行の一つの奴か。オーラを放出するやつだろ。

「俺ちょっと予定を変えるぜ。最上階を目指す!」

キルアのその言葉に俺も見届けないといけないと思った。シルバが俺が念の存在を明かす事は駄目だと言っていたが、念を覚えたら修行してやってくれと言っていた。

もし、この先にキルアが念を覚えたならばシルバとの約束を果たすために俺は修行させてやらなきゃならん。それはゴンにも同じくさせるつもりだ。

俺が押してることに力不足でも、無理矢理にもウイングを連れて来れば問題ないだろう。今の俺じゃ他力本願になりそうだけど。



ここに来てから6連勝をした俺達はテレビでも取り上げられていた。そう言えば変装グッズくらいは欲しかったな。まぁ、ジェイドの野郎も暇じゃなさそうだから見てないか。

個室を割り当てられるとゴンの部屋に俺たちは入った。夕焼けが部屋を照らしオレンジ色が輝いていた。

「わぁ、これが個室かぁ!」

「なかなかだな」

必要なものはあるし、天空闘技場を住処にしてる奴も多そうだ。俺は家がないし、ここを拠点にするのもアリだな。

「凄い眺め〜!」

窓から見える外の風景にゴンは、窓に手をついて喜んでいる。確かに綺麗だな。高いところはあんまり好きじゃないけど。

「この階から個室が与えられるけど、当然この待遇を守るために100階からの連中は今までの連中とは違う」

「大丈夫さ」

「ロウは大丈夫かもしれないけど、ゴンは戦闘経験がないんだぞ!」

無責任に聞こえる俺の言葉にキルアは怒鳴る。だけど、俺は嘘はつかない。それは勘でも同じことだ。

「このフロアにいた時に強い奴はいなかった。ゴリ押しで倒せる奴らばかりだったぞ。それに、前にゴンと手合わせをした俺が言うんだ。間違いない」

「……そーかよ。でも油断は禁物だぜ」

「うん。そうだ!ロウは俺にまだ稽古付けてくれるの?」

「お前が望むなら」

ゴンは気合の入った表情で頷いた。



100階クラスの連中と俺達は試合したが、俺の言った通り心配は無用だった。振り込まれるファイトマネーもかなりのもんだ。

今日の試合はこれで終わりという事で、俺はゴンに稽古をつける事にする。戦術でも蔵馬とシルバの二人から相当な知識を貰ったから、ゴンにも伝授させたい。

二時間ほど稽古をつけると俺は止めにした。ゴンも疲れただろうしオーバーワークは返って逆効果だ。という事を蔵馬が言っていた。

「ロウは俺なんかと修行してて、その……飽きたりとか面倒くさいとか思わない?」

「え?いや別に。ゴンといれる時間は俺にとって何でも宝物と一緒だ!」

「……そ、そう?えへ、それなら良かった」

反応に落ち着きがねぇな。また、なんか悩み事でも抱え込んでんじゃねーだろうな。

「じゃ、今日はもう寝よう。ちょっと忙しすぎて今凄い眠たいんだ」

「それでさ!」

声を張り上げて呼び止めるなんて一体どうしたんだ?やっぱり何か悩み事でもあるんじゃ……。

「俺、ロウにどう思われてるか知らないけどロウの事……好きだって伝えたくて」

「え、嬉しいな。俺だってゴンが好きだぞ。だから、これからも宜しく頼むぜ?」

「うん、もちろんだよ」

いつも可愛いけど、それを言いたかったのか。本当に可愛い奴だな。まぁ、俺がゴンに抱いてる好きはちょっとヤバい物だから絶対に知られちゃならないけど。



ゴンに稽古を付け終わり俺は部屋に戻ってくる。一息できるけど、明日からは俺も修行しないとな。いつジェイドの野郎が襲撃してきても返り討ちに出来る力が必要だ。

あの時闘った時は深い傷一つつける事に出来なかった。数発、俺の爪が掠っただけで攻撃を入れれたとは言えない。敗因は圧倒的技術力の差が問題。もちろんオーラの絶対量が多ければ有利にはなるけど。

「にしても、ニヤけた表情が収まらない……」

友情的なものとはいえゴンから「好きだよ」なんて言われたら眠気も冷めてしまう。あぁ!心が落ちつかねぇよ!!
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