縛り×戦闘×能力の使い方
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明日の3月11日になり俺は試合の準備をする。試合は午後の2時から行われる。
ゴンにも応援に来て欲しいが、よくよく考えたらゴンの部屋が何処なのか分からない。多分、ウイングの元に修行しに行くはずだから俺の試合が終われば見にいこう。
朝飯を済ませて準備運動をする。体の調子は絶好調と言っても過言ではない。取り敢えずは、妖怪の姿に戻らないで人間の姿で勝つ事。妖怪の姿の事をこの際だから妖狼と呼ぶ事にしよう。
あれから数時間が経過して試合の時間となる。200階クラスの会場に向えば、時間になり試合が始まる。コンクリートのリングに上がれば対戦相手が目に入る。
「さぁ、今日は大注目の一戦です!!相手に触れずして勝ち進めてきたロウ選手が早くも200階クラスに登場!!
対するグレード・ジャガー選手は7戦して7勝の好成績です!」
荒々しいオーラだな。もし相手が強化系ならば接近戦は注意しなければならない。それに、このフィールドはコンクリートのリングだから森羅魔界樹の使用はできない。
有滅爆輪で相手を追い詰めつつ隙が出来たら捉える。それが、俺の闘い方になるだろう。
「始め!!」
レフェリーの試合開始の合図と共にグレート・ジャガーは俺に向かって突進して距離を縮めてきた。やはり相手は接近戦を得意としてるな。
とりあえず小手調べで有滅爆輪を1つ発動しよう。最大個数が5つまでなのは悟られないように。
(有滅爆輪!)
相手は視界に自分に向かってくる有滅爆輪が自分に追尾しているのを確認し、ぶつかりそうになった有滅爆輪を交わして、俺に再び向かってくる。
「オラァ!!くらいやがれぇ!!」
これは硬の拳!堅でのガードでは不十分だな。仮に硬でピンポイントのガードに成功してもダメージは受ける。殴られ損になるくらないなら有滅爆輪を相手に付着させる。
(有滅爆輪!)
相手のパンチの軌道が俺の懐に向かうのが読めるので、その軌道内に2つ目の有滅爆輪を生成すれば、有滅爆輪は相手の腕に付着するはず。あわよくば、それが威嚇となり攻撃を止めてくれたら嬉しいな。
しかし、そんな上手くはいかず、相手は躊躇わないでパンチを繰り出した為、硬のパンチはモロに俺の胸骨を砕いた。更に身体が飛ばされ、リング外に飛ばされる。
でも、有滅爆輪を付けることには成功したから合格かな?
「クリティカルヒット!!&ダウン!!3ポイント!!」
有滅爆輪をみて攻撃を止めると思ったが、まさかあのままパンチを繰り出すとはな。
「これはロウ選手なかなか立ち上がりません!!」
解説はリング外で倒れている俺にそう言うが、10カウントギリギリまで起き上がる予定はない。有滅爆輪の爆発時間を考えてだな。付着してから1分後に爆発するから10カウントは美味しい。後は砕かれた胸骨の再生させるのに1秒でも多く時間は欲しい。
「ちっ……焦るなよ。まだ試合は始まったばかりだ」
9カウント目で立ち上がるとレフェリーから続行可能か問われたが、続行出来るに決まってんだろ。
「もう、胸骨はバキバキにブチ折ったぜ?よく立てたもんだな」
「まぁな。てっきり攻撃を躊躇うと考えてから大ダメージだったぜ。」
「仮に付着した瞬間に爆発しても、腕を硬にしてた以上、ダメージは薄いと判断したんだよ。しかし、胸骨が砕けてなお闘う姿勢をみせるか。面白い奴だな。」
確かに言われてみれば腕が硬なら爆発を恐れる必要がないな。だが、狙いはそこじゃなく有滅爆輪の付着に成功させるかだったから、不利な局面だと思われてるが俺が有利だ。
俺は再び構えると、相手は同じように突進してくる。先ほどの硬から感じた限りは相手は強化系だろうな。だから、このタックルを喰らうだけでも相当のダメージが入る。
「オラオラ受けてみろよ!!次は背骨をぶち折ってみせるぜ!!」
「……逃げる事にする」
ぴょんと跳んで見ればリングの反対側に移って、グレート・ジャガーを見る。スピードはそこまで速くないから交わすのは簡単。だが、妖狼の姿じゃないとオーラが足りない。
この人間の姿じゃ、妖狼の時と比べて1割しかオーラを扱えない。だから、強化系の奴と真っ向勝負するのは自殺行為。
「俺の有滅爆輪をなめんじゃねーぞ」
「へへ、この程度の爆弾なんざ大した事はねぇよ。一箇所だけならば爆発の瞬間に硬で守りゃダメージはほぼ無いと見てる!」
ご名答……一箇所だけならば守れるだろうな。だが、奴の弱点は自信過剰な性格で生まれる隙…それを狙えば倒せる相手だ。それに、もう少しで有滅爆輪が付着してから1分が経過する。その瞬間がテメェに最大の隙が生まれる。
(3・2……)
今だ!足に全オーラを集中させて、グレート・ジャガーの背後を取れば有滅爆輪を3つ生成して頭・首・腰の3箇所に付着させた。
グレート・ジャガーの腕についた有滅爆輪は1分が経過し爆発したが、奴は爆発する瞬間のオーラの膨張を感じ取り、硬でのガードに成功させていた。これは見事だとしか言えない。
「てっ、テメェ!!」
「俺の有滅爆輪は優しく無い。油断すると一番最初に生成した有滅爆輪にも追いつかれるぞ?」
「この爆弾の解除方法はぁ!!」
「自分で探してみろ」
残念ながら解除方法は存在しない。1分後に俺の半径50メートル以内にいなければ不発に終わるが、そんな事知る余地もないな。
「警告しておくが全体を守るため堅でガードしようと考えてるならオススメしねーぞ。どれか一つは先ほど爆発した有滅爆輪の2倍のオーラを込めてっから……死ぬぜ?」
本当は1.5倍だけど、こう言う場面で言うハッタリは相手の精神面を揺さぶれると蔵馬から教わった。相手に交渉を持ちかける時には最適だな。
まぁ、奴がかりに1.5倍の威力の有滅爆輪を硬でガードしたところで、他の有滅爆輪の爆発でおさらばすることになる。
「く、クソォ!!!」
「お前に残された選択肢は二つ。一つは、このまま試合を続ける。二つは、降参して有滅爆輪を不発させるか……の二つだ。もっとも前者は俺の方がスピードが上回ってるからオススメしないな。」
たった一つの能力でもやれるもんだな。相手は、最初の有滅爆輪から未だに逃げ続けねばならなく、今も同じ立ち位置に立つ事が許されていない。それに加えて、時間に迫られている。並みの精神力でなきゃ、平静など保てないだろうな。
「あと30秒だ。早くしないと手遅れになるぞ?俺も人殺しはしたくない」
したくないと言うか……殺したら、霊界から追放される訳だけど、最悪は爆発の間際に封魔妖光壁で取り除いてやる。ただ、この大衆の中で沢山の能力は見せたくない。
「わ、わかった……降参する」
やっと認めてくれたか。賢い選択だと思う。さっさと俺から50メートルより大きく離れて貰わないと。
「おーっと!!これはまさかのロウ選手の作戦勝ちです!!まさかの結末に会場騒然です!!」
俺は激しく気落ちしたグレート・ジャガーに近寄ると耳打ちするように伝える。
「早く俺から50メートルより多く離れろ。さもなければ爆発する」
「っ!!?」
それだけ言うとグレート・ジャガーは焦ったように会場から逃げ出した。俺より足は遅いとは言えど間に合うだろうな。
会場から退出すれば、選手控え室にゴンの姿があった。なんでゴンが ここにいんだ?
「おいゴン、何してんだ?」
「俺もこれから試合が」
「……あ?もっぺん言ってみろ?」
俺の聞き間違いだといいんだがな。まさか、昨日で念の基礎中の基礎の纏が出来るようになって試合する訳じゃないだろうな。
「だ、だから…これから試合……」
「………馬鹿かおめー!?」
「ゴ、ゴメン!でも、俺……この力を今すぐに試したくて」
確かに、その気持ちは分かる。俺も妖気を使えるようになった時は、基礎修行じゃなくて組手やりたかったからな。
「はぁ……死ぬなよ」
「うん!じゃあ、俺行ってくるよ!」
「あぁ、頑張れよ」
ゴンの姿が見えなくなった所で無意識に息を吐いてしまった。理由は心配だからっていうのもあるけど、ウイングの奴が念を教えるのを止めそうで怖い。
俺も試合の観戦するか。もしも、ゴンに取り返しのつかない事をする様な奴なら、妨害行為を計ってでもゴンを守る。戻る
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