愛情×温もり×心の距離
◆◇◆◇◆◇◆◇
昨日のゴンとの会話があんな形で終わってしまいバツが悪い。と言うのも、毎朝ゴンと修行しているから行かないわけにはいかない。
偶にキルアも一緒に来る時があるから、来てくれないかな。そんな淡い思いを抱きつつ、いつも通り人目のつかない所に向かえばゴンが練をしていた。
「お、おはようゴン。」
「あ、ロウおはよう。今日はいつもより遅かったね。」
「ちょっと寝坊しちまって。」
「ゴメン、俺が昨日夜遅くに行ったからだよね。」
やばい墓穴掘っちまったぁあ!別にそう言う意味で言ったわけじゃないのに。
「いや、天狼について調べたりしててさ。」
昨夜は調べてなかったが、意味のある嘘だから悪く思わないでくれ。
「そっか、ジェイドって奴から狙われてるんだもんね。」
「まぁ、こんな天空闘技場とかいう目立つ場所で試合してるけどな。」
天空闘技場のファイターを調べられたら一発でバレる気がする。妖狼の姿を見せてないけど有滅爆輪を使いまくってるからヤバイんだよな。
「まぁ、ハンター協会での天狼の捉え方をハンターサイトで調べたんだけど第一級隔離指定種に認定されてるらしい。」
バツが悪い状態でも真面目な話をしたら雰囲気くらいは元通りになるだろ。調べたのは、かなり前の話だけどな。
「第一級隔離指定種…?」
「あぁ、危険生物という扱いで具体的なデータも得られた。凶暴性・数・繁殖力・破壊力と言うものがあって総合評価が決まる。
凶暴性はB+1。天狼は本来人間に忠実だが、悪意のある人間が権力を握れば最強の戦争兵器に化けるから。
数はBだったが今ではEの評価。それは存在していても俺くらいだからな。
繁殖力がDらしいが詳しい事は不明。
破壊力がAらしい。備考に他のAと比較しても頭一つ出てる事からSと認定しても良いとのことだ。
結果、総合評価での危険度はB。命令がなければ始末するのは簡単だから、悪意のある人間に利用されなければ問題ないだってよ。」
いつか言おうとは思ってたけど、なかなか切り出すタイミングが無かったから丁度良かったかもしれんな。
「……やっぱり許せないや。」
一息ついた俺はゴンの様子を伺えば、俯いていたゴンはボソッと呟く。
「ロウ達は人間達の為に頑張ってたのに自分達の都合で殺すなんて…おかしいよ。」
「ゴ、ゴン……。」
思わず息を飲めば、ゴンは数歩前進してきて俺の胸元に抱きついた。
「ロウが突然いなくなったら…俺嫌だよ…。俺 強くなってロウに何かあったら助けれる力が欲しい。
困った事があったら、俺に教えてくれる…?」
本当に良い奴だよコイツ…。危険に晒したく無かったけど、俺が危険に直面した時に頼らなかったら仲間の関係が崩れてしまう気がする。
「約束する。」
ゴンの頭を撫ぜながら言えば俺を抱きしめる力が一層と強くなった。もし、俺に対するゴンの気持ちが恋心ならば、俺はどれ程報われただろうか。あるいは、ゴンに対する俺のこと気持ちが友情だったなら、どれだけ楽だったのだろうか…。
ゴンが離れれば視界がぼやけてる事に気が付いた。特別、悲しい事も無かったのに不思議と頬が冷たい。
「…ロウ?」
「いや、大丈夫。」
頬を伝っていたのは涙か…。泣き顔は見られたくなかったな。でも、止めようとも涙が溢れ出てくるんだ。俺が一方的に振られて、ゴンが遠い存在に感じたけど近くに居たんだ。それも、心がじわじわと暖まるくらいに…。
服の袖で顔を拭けば元通り表情を戻す。大好きな人をあまり心配させてはいけない。
「ここまで慰められたのは初めてかな?」
「えっ?俺慰めてた…?」
「俺にとっては十分過ぎるくらいだったぜ。」
本人は意図してなかったのか、急に顔を赤く染めていく。照れちゃって可愛い奴だな。でも、さっきは頼もしさのあってカッコ良かったな。これがギャップというものか。
「まぁ、お前の存在そのものが俺にとって安心を生み出すからな。」
「………俺にとってもロウは大切な存在…だよ?」
そう言うゴンの顔は赤い。そんな顔で言われると俺まで照れてしまうじゃねえか。いや、既に時遅し…だな。
まるで恋人になったかの様な一時で心地よい反面、そう言う捉え方をする自分に罪悪感がのしかかる。それでも、この時間がもう少しだけ続く事を俺は望んでいる。
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