未来×暗示×怪しい雲行き
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フロアマスターを片付け終えた俺は控え室にグタッと横たわる。やはり、フロアマスタークラスの相手を人間の姿のままで闘うのは少々大変だったな。

荒く乱れた息が落ち着かない。酷く体力を使ってしまった。これなら、脚だけでもようろうの姿に戻すべきだったかな。今頃後悔しても遅いけど、これで俺はフロアマスターになれた。

しばらく控え室で横になっていれば、控え室のドアが開く音がして足音が聞こえてくる。この控え室には次に試合する奴が来るから俺も早く戻らないとな。

「あーっ!ここにいたの!?」

「……え?」

物凄く聞き覚えのある声に俺は上半身だけ上げて、本当に聞き覚えのある声の主かを目で確認する。間違いなくゴンだな。

「あれ……ゴン今日試合の日だっけ?」

「うん、ギドとこれから」

そうかぁ、もうリベンジマッチの日だったのか。確かに、ゴンが念を覚えてから実力はかなり上昇してるし頃合いだよな。

「がんばれよ、お前なら間違いなく勝てるさ」

何気なく応援するが、ゴンは仄かに怒りを見せている。

「……あいつらズシを人質に俺達を脅迫してきたんだ」

「……そんな事があったのか」

俺には何も知らされなかったあたり、その連中は俺を避けていたのか。どうせなら、ここで対戦してる間に当たれば良かったのに。

「ロウが丁度、疲労で倒れてた時だよ」

あぁ〜あの不思議な夢を見ていた時だな。確かにそれなら俺が知らないのは当たり前だな。

「ズシは無事だったんだよな?」

「うん、でもズシに手を出した事が許せないんだ」

「よし、ぶっとばせ!俺なら半殺しにするな」

怒りを露わにするゴンに、俺は笑って言ってみせればゴンは大きく頷いた。

「あ、そだ。試合終わったら俺を起こしてくれ。ちょっと今の試合で疲れたんだ」

「うん!じゃあ行ってくる」



ゴンが会場に入って行くのを目にして俺は寝返りをうって天井を眺めた。特に意味はないけど強いていうなら考え事をしたかっただろう。

今のゴンならギドくらい倒すのも簡単だろうけど、いつかはヒソカと闘う時が来る。今のゴンじゃ到底叶うレベルの相手ではないし、ヒソカがゴンを殺す気で来たら大変まずい。

その時、俺はどうしてしまうんだろうか。ゴンが殺される前に助太刀しに行くのか、ゴンのサシで闘いたいという気持ちを優先して見殺しにするのか……。

いや、ゴンの目的はヒソカ相手に顔面パンチをお見舞いするだけだ。闘って勝ちたいという気持ちがあるかは現段階で不明だ。

どちらにせよ、今の俺はゴン無しでは生き甲斐が無いに等しいから、もしもの時が来るならばヒソカを仕留める。それが簡単じゃ無いことは承知の上。

まぁ、俺の場合は命が狙われてる以上、人の心配するよりは自分の心配をした方が良いのかもしれないけどさ。とにかくゴンも自分も護れる力が必要だって事だ。

「…こんな考え事してちゃ眠れねぇな」

心身の疲労で重くなった体を起こすと会場の方に向かいゴンの様子を見に行く。チラッと、戦闘の光景を見てみればゴンがギドの義足の様な物を一発殴り折っていた。

ズシに手を出しておいて怪我しなくて済んだんだからゴンの優しさに感謝するんだな。

こちらに戻ってくるゴンに俺はハイタッチして出迎えた。

「ナイスなパンチだったぜ。俺なら顔面か腹に入れるけどな」

「ズシは怪我してなかったし凄くムカついたけど怪我はさせたくなかったからね」

本当に優しいな。でも、もしズシが怪我もしくは殺されてしまったら。ゴン、お前はギドをどうしてしまったのだろうか……。

不当な理由で怪我をさせたとしたならば、俺は間違いなくそいつを二度と闘えない体にさせる、あるいは始末するだろうな。

それは俺は化物故の力があり勝算があるからとも言える。だが、もし格上が仲間を傷つけたならばゴンは、そんな奴に向かっても闘いに行くのだろうか……?

先ほどからの胸騒ぎは何なんだろうか……。この第六感のざわつき……。もしゴンに起きる何かを暗示しているならば、俺はゴンから目を離すわけにはいかない……。

「あ、そだ!今はフロアマスターだしゴンも俺の部屋に来るか?」

「いいの?」

「あぁ、一人でいるのも寂しいしさ」

俺の不安を悟られぬ様に、にっと歯を見せて笑ってゴンの手をとって新しい部屋に向かった。でも、隠した表情に気がついていたのかゴンは不思議そうに俺を見ていた。

俺の第六感は当たる。だから、これから先にゴンに悲劇が起こると暗示したんだ。そんな事、ゴンには言えない。だから、悟られてはいけないんだ。
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