ガル×誰×正体の予想
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朝ごはんを食べ終えると、ネットを使えるようにするべく屋根の上でキルアとゴンが回線をいじる事になった。
「こんなんで電脳ページが見られるようになんのか」
ただ突っ立てるだけの俺はボソッと呟く。正直言って、この手の物は戦力外だ。ボサッと突っ立て見ていると下からミトさんの声が聞こえた。
「ゴーン!ちょっと出掛けるから店番お願い!」
「うん、おっけー!」
屋根からミトさんの方を見るゴンは返事するとニヤリとした顔で俺を見た。この状況で役立たずの俺が店番するのは理にかなってるけどさ。
「わーったよ、俺がやりゃいんだろ」
「あはは、ごめんね」
「謝んなコラ、俺が惨めじゃねーか」
屋根の上から跳び降りれば、外から店の中に入る。誰もいない店のカウンターに着く。時間帯も時間帯で客が殆ど来ないような時間だ。暇な時間なだけに考え事が頭の中で駆け巡る。
そういやガルの見せたヴィジョンは何を意味したのだろうか?あいつの、ここに来てからの生い立ちは知ったが、俺はそれを知りどうしろと。
「………」
答えが出ずに今まで黙っていたはずなのに沈黙の空気が強く流れていた気がする。
あのヴィジョンは後世に残す意味のあるものだったのだろうか。いや、念能力まで使って後世に残した記憶なのだから、何らかの意味があるのは間違いない。
だが……それを俺が見てしまって良かったのかも疑問でならない。誰が見るべきヴィジョンだったのか不明で仕方ない。
仮にゴンに見せるヴィジョンとして用意したのであれば、最初のゴンとカイトがガルを助ける下りは必要ないだろう。
理由は既に知っていたから。なのにヴィジョンとして残すのは、何も知らない者に対して自分を紹介するために残したと考えられる。
じゃあ、何も知らない俺が見て正解だったのだろうか。同じ天狼として見ても何の遜色もない気はする。
むしろDASに対する憎悪が増して、もしもガルが復讐を望むなら、それを俺が実行する理由にもなり得たヴィジョンだ。
しかし、目的が復讐ならば俺がもっと怒りに共感できるような内容にするべきだった。その点から、幸せを伝えるような内容だったので復讐という目的も恐らく違うだろう。
「……素直にゴンに聞くべきなのかな」
いや、ゴンに聞いたら墓を荒らしたことがバレかねない。もしバレたら完全に信用を失うだろうな。仲間の墓を荒らす奴なんてろくな奴じゃねーだろうしよ。
「……いや、ガルには何か企みがあった、という線も考えられるな」
可能性は限りなく低いと思うけど、転生する能力がある場合。転生して記憶を失った場合、転生後の自分がここに来たら墓を調べて前世ガルだった時の記憶を知る。
「いや、ちょっと非現実的だったな」
転生するというのが念能力で実現可能なのかも定かじゃねーのに馬鹿げた空論に過ぎん。
……あれ、俺が今想像した人物って俺に似てる?いや、それだけはないな。時系列がメチャクチャになる。
確かに、今の馬鹿げだ空論は妖怪として甦り記憶を失った俺に当てはまるかもしれない。
けれど、俺が死んだのは100年前で時を乗り越えない限りはゴンの生まれている時代には辿り着けないはず。
頭が痛くなるような考え事をしていれば、時間が結構進んだのかゴンとキルアが店の中に入ってくる。
「終わったよロウ。お客さんは誰もこなかった?」
「……あー、来てないと思うよ」
歩み寄ってくるゴンに返事をすると俺は立ち上がり身体を伸ばす。
そういや、ゴンって俺のことをガルと似てるとか言ってたよな。ただの偶然なのか、俺が……ガルなのか。いや、今の俺には判断がつかない。
ふと酒に並んでいるジン=フリークスと思われる人の写真を見て新たな可能性も見えた。
ガルは俺の子孫という可能性もあるのか。ならばゴンが俺とガルが似ているっていうのにも説明がつくな。
時系列についても説明がつく。ただ、その年代までDASが天狼を見逃していたという点だけが怪しい。
色々考えたけどさ…どれが真実なのか、はたまた真実の選択肢があるのかも不明だ。
「ねぇ、ロウ。大丈夫?」
「……え?」
何故か心配そうな顔をするゴンは俺を見ていた。もしかして心配されてる?
「大丈夫だぞ。少し自分の事で考え事をしててな」
「そっか、もし良かったら俺にも相談しても良いからね?」
クリクリした目で俺に言う。だが、悩んでいた……というより考察していた内容をゴンに相談するのにも抵抗があるからな。
「んじゃ今日は一緒に寝よう。」
「え……?え!?」
「別に初めてじゃないんだから良いじゃん。お前と寝たらあったかいし」
予想外の事を言われたのか真っ赤に顔が染まるゴンはあたふたしている。隣でキルアは呆れた顔で何も言わんと俺をジト目で見ているが気にしない。
「まー、店番してたんだし対価として。今夜は楽しみにしているよ」
「べ、別に良いけどさ、ロウはどうして俺にこだわるの?」
え、こだわる理由かー。いや言うわけにはいかないしな。お前の事がLOVEとして好きだなんてドン引きされるに違いない。
「ゴンと近くにいると安心する。ほら、俺は群れで暮らす動物らしいし?んで、一緒に寝ても良いんだな?」
「え!?いや、別に良いけど……」
真っ赤な顔を隠すように俯くゴンは、いやいや返事を返す。一緒に寝る事には抵抗はないけど、それを自分の口から良いよと言うのに抵抗があるようだ。
可愛いけど、そんな反応されたらゴンは俺にも気があるのではないかと誤解しちゃうじゃないか。下手に俺の精神を揺さぶらないてくれ。
「そういや、キルアにも聞いて良いか?」
「んー?なんだ?」
「シルバから聞いたけど、ゾルディック家にもオオカミがいたとか聞いたけど。」
この発言が無神経なものだと気付くには情報が足りなすぎたと後から思って、簡単に口にしたとこに少し後悔した。
明らかに顔つきが変わったキルアに俺は少しだけ困惑した。
「……まぁ、いたな。けど死んじまった」
「そっか……。思い出させて悪かった」
今までに見た事がないくらいに辛そうな顔をしたキルアに詮索する気が削がれてしまった。僅かな罪悪感すら感じられた。戻る
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