ロウ×夢の中×記憶の手掛かり
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涼し気な風が流れているのか窓近くにある風鈴が鳴る。より一層と室内の涼しさが増した気がする。でも、あくまで気がするだけだな。
ちょっと眠るか……。先ほどから睡魔に襲われてるしな。今は、やる事もある訳じゃねーし。
眠ってしまえば夢を見ていた気がする。それは、前に見たことのある夢で、不思議な世界にいたと言う夢である。この世界は……思い出したシギ・トロの国って所だ。
その夢の世界で目が覚めれば、前と同じようにベッドの上にいた。それを察知したかのように、この家の主が部屋に入ってくる。彼女と会うのはこれで二回目だな。
「目が覚めたのね?」
「あぁ……また会った……!?」
「あら、どうかしたの?」
前に会ったこの女性。まるでミトさんと瓜二つじゃないか!?あれ、なんで夢の中にミトさんがいるんだ?
それに一回目の夢にもこの女性は登場していて、その頃はミトさんと俺は出会っていなかった筈じゃないのか?と、すれば本当はもっと前にあった事のある人物で関わりのある人物だった。
「えっと……貴女の名は……?」
「私?私はミトよ」
確認のため聞いてみたが、やっぱりミトさんだ。じゃあ、この夢は俺の過去の手掛かりになっていると考えるのが濃厚だ。もし、そうならば生きていた頃の俺はミトさんと認識があるんだ。
「俺の名は?」
「……?ガルでしょ?」
間違いない……これはガルの意識の世界。少なからず俺の正体がガルである完全な裏付けとなった。でも、どうして記憶がないのに、こんな夢を見ているんだ?
「ちょっと城に行ってくる!」
夢の中のミトさんにそう伝え家を出ると直ぐに城に向かった。俺の記憶が正しければ、城にいた坊主の被った長髪の男にも見覚えがあるんだよ!
城に着けば門を潜り城内を見渡す。どこにいるんだ?合えば何かがわかるかもしれないんだ!
「おいお前。そこで何をしている?」
振り返れば探していた人物がいた。顔を確認すれば、墓でガルが見せたヴィジョンに映っていたカイトという人物だった。つまりはゴンの恩人で俺の恩人でもある。
「カ……カイトさん?」
「ん?よくわかったな。俺はカイトだ」
やはり、この夢はガルが出会ってきた人物が登場しているんだな。前に来た時は気にしていなかったが、ここでの情報は俺の記憶に関することだ。覚えておかないと。
「確か坊やは前にも来ていたな。王が探していた。案内する」
「あぁ」
玉座の間に連れて行かれると、再び王と顔を合わすことになった。当の王は仮面で顔を隠しているから表情は伺えないけど。
「また、あったな王様」
「あぁ……俺が呼んだ。いや、君が求めたとでも言うべきか……。前にも口にしたが、この世界に来るということは、君が表の世界で不満を抱いている時」
そういや、前にもそんな事を言ってたな。思い当たる不満が一つだけあるが…恐らくはそれの事だろう。
「お前の不満は"記憶がないこと"……」
「あぁ。その通りだぜ王様」
「……俺の不満も"記憶が無いこと"だ」
王も……?そういや、王は昔を思い出したら苦しそうにしていたな。でも、それって昔の記憶を思い出したから苦しむのだから、昔の記憶はあるのだろう?
「俺の場合は……最近の記憶がな……」
「なるほど」
「いつか……君は昔を思い出さないといけない時が来る。それはそれは、恐ろしい事だが今の君のままじゃ駄目な時が必ず来るだろう」
今の俺のままじゃ駄目な時?まるで、未来を知っている……あるいは予知しているような口振りだな。こいつは俺の何を知っている?
「ヴェルムケーブ……本当に必要になった時、奴の方から君に近づいてくるだろう」
「ヴェルムケーブってのは洞窟じゃねーのか?」
今の口振りだと、まるで洞窟が生きてるみたいだ。そもそも、こいつの口からヴェルムケーブの名が出るなんてな。
「洞窟ではあるが……お前のヴェルムケーブには司る者がいる。その時には、俺も必要になるだろう。三人集まって、お前は真実を知ることになるからな」
三人か。俺と王ともう一人。儀式とか行うのだろうか?それに必要な人数で……って今考えても無駄だな。実際に行きゃわかる事だしな。
「まぁ、向こうからやってくるのを待て。その時までお前の記憶は戻らない。さて……その時が来るまでお別れだ」
「最後に王様の名は?」
「俺か?俺の名はジェロニモだ」
王の返事と共に俺は現実へと目が覚めた。王の名前はジェロニモ。初めて聞く名前のはずだが……まるで初めてじゃないみたいだ。
「あれ……ゴン」
隣を見るとゴンの姿があった。俺の隣で眠っていたようで、規則正しい寝息を立てている。
「待ってろよゴン」
いつになるかは全くわからないけど、お前がガルに会える日も遠くないかもしれない。それと同時に俺とお別れかもしれないけど。
ゴンの顔をジッと見つめていると、感覚的に気がついたのが目を覚ましてしまった。いや、ただの偶然かもしれんが。
「あれ、ロウもう起きてたんだ」
「今さっきな、とても不思議な夢を見て」
「俺も夢みたよ?その夢の中にガルがいたんだ。えへへ、ちょっと嬉しかったな。ガルが会いに来てくれたみたいで」
嬉しそうに夢の感想を語るゴンに俺も笑顔になる。そう遠くないと思うけど、ゴンはガルと会えるんだ。
「また会えるといいな」
「うん、きっとまた来てくれる。夢だったけど、夢じゃないみたいでさ。その夢で『また、会いにくる』って」
また会いにくるか……。本当にゴンの心の中にガルの意識があるみたいだな。いや、ゴンの夢の中に入っていったとでも言うべきか。戻る
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