ゴン×恋愛×本命?
◆◇◆◇◆◇◆◇




昼過ぎには押入れから少し古びたPCをゴンが取り出し、ネットに繋げる作業をしている。こないだ屋根の上で回線を弄っていた理由はコレのようだな。

「三人ともご飯よー!」

夕暮れになりご飯の支度ができたミトさんは食卓の方から俺たちに呼びかける。ゴンは「は〜い」と返すが、このやりとりは3回目である。

ご飯より電脳ページを使える状態にしたいのかゴンもキルアも頑張っている。けれど、そろそろミトさん本人が登場しそうだ。

足音がこっちの部屋に近づいてくると、案の定ミトさんが何度呼んでもこない俺たちの様子を見に来た。

「もう!さっきから返事ばっかり〜!ゴン、キルア、ロウ!呼んだらすぐに……。あら?」

作業をする二人をみてミトさんは不思議そうな表情を見せる。俺は何もしてないけど。完全に戦力外通告を受けてるし。


「また、そんなのひっぱり出して」

PCを目にしてミトさんはそう言う。埃かぶってたし暫く使ってなかったみたいだしな。

「情報収集」

「え?」

ゴンの言葉にミトさんは言っている意味がわからず疑問の声が漏れた。

「親父の事を調べるらしいよ?俺は機械のことはさっぱりだから準備の手伝いはできないけど」

「俺のハンターとしての初仕事だしね」

そう言うとミトさんの表情は少しだけ悲しげなものと変わっていく。それを見ているのは俺だけで、俺も少しだけ悲しくなる。

「ねぇ、繋いでも良いよね?電脳ページ」

「……え?」

「聞いてるミトさ〜ん?」

「聞いてなかった〜」

本当に聞いてなかったというミトさんの返答にゴンの目は点になっていた。なんだか、思いつめた様な表情してたし、事情は知らないけどゴンに居なくなって欲しくないんだろうな。

「シカト決めてるよ〜」

キルアが呆れた様に言うとミトさんは困った様に笑っていた。

「やぁね、シカトなんて決めてないわよ」

「マジ〜?」

「まじまじ」

そういやご飯の事は良いのかな?多分、その催促にミトさんは此処に来たと思ったけど……。

「ところでミトさん」

「え?」

「何の用?」

ゴンとキルアが口を揃えて言うとミトさんの表情が鬼の様になった気がする。なんだろう、野生の獣特有の感覚が、ここにいちゃ危ないって警告してきて俺は部屋から出て行った。

数秒後にゴンとキルアの悲鳴が聞こえたが、全く助ける気にはならなかった。



「ご馳走様でしたぁ!」

夕飯を食べ終われば、再びゴンとキルアは電脳ページを使える様にするためセッティングの作業に取り掛かろうとする。

「じゃあさ、俺さっきの続きしてくるから」

「うん、じゃあら俺が片づけとく」

キルアとゴンの会話に少し感心する。昼過ぎからズッと作業してて飽きないなんて。

「仕事熱心だな〜」

「そうかもしれないけど、今夜はやめて明日にしなさい?」

そうミトさんが言えばゴンとキルアが「えぇ〜?」と不満の声を漏らす。そこまでセッティングしたいのか……。

「細かい作業は集中力が大切でしょ?夜に無理してやるよりも、朝やった方が確実よ?電脳ページは逃げたりしないでしょ?」

本当にお母さんみたいなこと言うよな。ある意味お母さんだけどさ。

「夜更かしは毒ね〜。ま、ミトさんのシワが増えない様に協力するか」

キルアの発言にミトさんはガクッと座っていた体勢が思わず崩れる。

「女も曲がり角になると色々気を使わないとねー?」

最初はキルアも敬語だったのに、数日でミトさんに慣れ始めるとこの様だ。ある意味、仲が良くなっていて安心するけど……。

「キルアー!」

ミトさんは顰めっ面でキルアの名を呼ぶが、キルアは二階の階段の方に走っていき「じゃ、俺寝る用意してくるから!」と言って逃げて行った。

「あはは、気遣われてて良かったじゃん」

「良くない!!」

笑って言えばミトさんから鋭い返答が俺に返ってくる。それを見ていたゴンは指で何かを数え始めた。

「ひーふーみー……」

「そーこー!数えんで良い!!」

そういやミトさんの年齢ってどんなもんなんだろうな?いや、答えてくれる筈が無いだろうけど。

「んじゃ、俺もキルアの手伝いしに行くな」

「うん」

ゴンの返事を聞いて俺も二階に上がっていった。いつもなら俺も食器を洗ったりするのを手伝うと思うけど、今日はゴンとミトさんの二人きりにしてあげたかった。おばあちゃんも居るかもしれないけど。その場合は三人きりにね。

キルアと二人で布団を敷き終わると、キルアは布団の上で身を投げる様に様になった。

「確かに今日は疲れたし、ミトさんの言う通り休むべきだなー」

「まぁ、俺は何もしてないけど」

部屋の電気を消し俺も布団の上で横になった。キルアと二人きりと言うのも何だか新鮮な気がする。

「なぁ、お前って記憶の手掛かりまだ見つからないのか?」

「あぁ、見つかってる」

「え、マジ?」

恐らく見つかってないだろうと思っていた様子でマジ?の声がマジだった。言われてみれば誰にも報告してなかったしな。

「手掛かり見つかったのは良いけど、向こうから来るのを待つしか無いみたいなんだ」

「……?向こうからって……え?」

そっか、向こうからってのも説明しないとな。あの夢のことも……。

「えっとな、俺の記憶を戻すにはヴェルムケーブっていう洞窟に向かう事らしいんだけど、その洞窟を司る者が、時が来れば俺の元にやってきて俺をいざなうらしいぞ」

「何言ってるかわからないけど、簡単に言えば自分からじゃ戻せないって事か?」

「まぁ、そういう事だろうな」


これ以上の事は無いので話を閉める様な返事を返した。あまり深い事聞かれても困るし、まだゴン達には俺の正体が恐らくガルという事実も隠しておきたい。

「お前も知らないうちに調べてたんだなー」

「まーね」

これ以上、この話題について触れる事がなくなり俺もキルアも沈黙する。このまま寝る予定だから気まずい訳でもないけど。

「そういやさ、お前」

「ん、次はなんだ?」

「ゴンの事どう思ってんの?」

まさかの質問に俺は目が見開いてしまった。幸い電気が消えてるから間抜けな表情は見られないで済んだが驚いた。

「なんで、また急に……」

「お前さ、天空闘技場にいるとき修行しに行くって言って少しの間、消えただろ。その時のゴンがさ毎日お前の話すんの」

マジか……いやゴンの事だから無意識ではあるだろうけど。というか、恥ずかしい事言ってないだろうな……。

「あはは、もしかしたらゴンの奴、本当にロウに気があるのかなって思ったさ?まぁ、お前は一方的にゴンにいちゃつきに行ってるけど」

いや、何だその一方的にとは!別にゴンは嫌がってねーし良いだろ!

「まぁ、好きだぞ?向こうが良けりゃ恋人でも良いくらいに愛してるつもりだ」

「別に今更そんな事言われても驚かないけどね」

だろうな。これが、俺と知り合って1ヶ月くらいなら男同士でドン引きするかもしれないけど、俺が毎日の様にゴンに抱きついてたから耐性が付いたんだろうな。

「ゴンの奴がどう思ってるのかは知らないけど、脈アリかもなー」

「みゃ……脈アリ……」

最近は記憶の手掛かりだとかDASの情報とかで愛する愛されるとか考えてなかったからな。

「……やばい顔が熱い」

「おいおい…」

でも、天空闘技場にいたとき、ゴンは好きな人が出来たって俺に相談しに来たよな。まさか恋した本人に相談する訳もないから俺じゃないよな。

「そういや、俺が失恋したって話したらゴンの様子がおかしくなったな」

「…え?」

「あ〜……俺さゴンから好きな人が出来たって相談受けて、俺は恋愛した事あるって聞かれたんだ。」

思い出しながら言う。キルアもまさかの形で、この話題が続いて唖然として声が出ていない。

「そんで、俺はゴンが好きだったけど、ゴンが誰かに恋いしたって事は、俺の恋は失恋に繋がるわけだろ?それで、失恋したって言えばゴンったら急に落ち込んじゃって」

俺が落ち込むならわかるけど、どうしてゴンが落ち込んだのかが未だに理解できない。俺の発言がゴンの気分に害したのかな。

「お前……それって……」

「ん?キルアは何でゴンが落ち込んだのかが分かるのか?」

「いや、俺の口から言っていいのか分かんねーや……。そう言うのはゴンの口から聞くべきだと思うぜ」

キルアが何を言ってるのかが全く理解できない。なんでキルアからは言えないんだ?そもそもキルアは何がわかったんだ?

(ゴンもロウもすれ違ってんじゃねーか……。二人ともそう言うのに鈍そうだし俺がフォローしてやった方が良いのか……?)

「お、おいキルア?何が分かったんだ?」

「お、俺もう寝る。おやすみロウ」

「おい!?何で寝んだよ!?おいってば!?」

それ以降は幾ら聞いても口すら開いてくれなかった。何か気付いちゃいけない事に気付いてしまったみたいな反応で…。それって俺が知ったら不味いことなのか?これじゃあ気になって寝れねーよ……。
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