誓約×制約×リスクの力
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デイロードでアイスまみれになった俺たちに、クラピカは近くの店でタオルを買ってきてくれたので、現在べたついた服や身体を拭いてます。

「全く、元気なのは良いが、少しは後先のことを考えような」

「べ、別に俺は遊んでた訳じゃ……」


確かに、レオリオは巻き込まれたな。俺の怒りの矛先がレオリオに向いちゃったから、結果的に巻き込むことになったけど。

「そうだ、ロウ。一応、お前は指名手配を受けてる身だから良いものを調達してきたぞ」

「い、いいもの?」

クラピカの片手にある買い物袋から、狛犬のお面が取り出された。いや、いやいやいや、まさかだとは思うけど……。

「どうだ、これを付けてけば少しは街中を歩いても大丈夫ではないか?」

「へぇー、狛犬のお面じゃん!試しにロウ着けてみよろ!」

おい、キルア!面白がってんじゃねーか?ゴンはゴンで、まじまじ見るな!

「わーったよ。」


お面を受け取ると実際に着けて見た。これって返って目立つやつでは……?

「うん、なかなか似合うな。」

「ロウカッコいいよ!」

褒めてるのが、怪しげな民族衣装を着てる二人だけなんですが……。

「おぅおぅ、似合ってるぞ、似合ってる」

レオリオ、なんで二回も言う。そして、キルア!笑い堪えんな!


「まぁ、意外と変なところにDASの連中がいるから、確かにマシなのか……?」

昨日、実際に尾行されてたしな。クラピカの案もいいかもしれない。返って目立つと思うけど、まさかてんろうだとは思わんだろうしな。

「あぁ、あとコレ。センリツが前に美味しいと言っていたスイーツなんだが……」

次に買い物袋から取り出されたのは、どこかで見たことのあるパッケージのデザートだった。あれ、それって…もしかして。

「い、いちご豆腐!」

「あぁ、後でみんなで食べようと思って買ってきたんだ。その様子だとロウは知ってたみたいだな」

今のヨークシンの流行りだしな。普及してから僅か一週間足らずで、誰もが知るスイーツにまで上り詰めてるからな。

「というか、よく買えたな。どの店も売り切れだと思ってた」

「あぁ、偶然だよ。たまたま再入荷したとこに私がタオルを買いにいったからついでにね」

意外とちゃっかりしてんな。でも、普段通りの茶目っ気のあるクラピカが安心した。同胞の仇打ちで、怖いクラピカはあまり見たくなかったしな。

きっと、まだ無理してるとは思うけど、ここから徐々に元通りになればいいな。問題は残りの団員をどうするかだ。頭は死んだらしいから、どうにかならないだろうか。

「あと、今後のことを話し合いたいから私が予約しておいたホテルに向かう」

「オーケィ」



________俺は息を呑んだ。

「私の能力は旅団以外の者に使えない。」

ホテルに戻った俺たちに告げたクラピカの言葉。どうやってクラピカが、旅団相手に戦ってきたのかが今の発言から納得してしまう。

恐らく制約と誓約によって念能力の力を最大限に引き出しているんだろう。でも、それだけで勝ってしまうのは、流石はクラピカと言うべきだな。

本題に入る静けさの中、天候が悪いのか外からは雨の降る音が室内に響いかせていた。

「制約と誓約……だな?」

「あぁ」

どれほどの制約と誓約を掛けたのだろうか。少なからず、俺が闘ったノブナガという奴でも相当の手練れだと感じた。
クラピカもゴンとキルア同様に念を覚えて日が浅い筈なのに……。

クラピカは何もない右手にオーラを集中させると鎖を具現化してみせれば、念能力の力について説明しだした。

「念は精神が大きく影響する能力。覚悟の量が力を上げる。しかし、それは高いリスクを伴うことになる」

その通り。使用方法を誤れば一時的に念を使用できなくなるなど、能力そのものを失うなど様々だ。

「私は念能力の大半を旅団クモ打倒のために使う事を誓った。そのためのルールも決めた」

なるほど、対象者を限定する制約か。だとすると、当然それを破った時に発生する誓った約束なるものも存在する。

旅団クモでない者を鎖で攻撃した場合……私は命を落とす」

「なっ……に!」

何もない筈の気管から何かが飛び出てくる様なくらい驚いた。確かに、命をかければ念を覚えて間もなくとも強力な念を扱うことが出来る。だけど!だけども!そのリスクまで負ったというのか!!

「私の心臓には念の刃が刺さったままだ。私の能力は憎悪が生んだ恨みの産物。蜘蛛以外には全く通用しない力だ」

……これは聞くべきではなかったかもしれない。少なからずキルアも同じ事を思ってしまった筈だ。

「おまえ達だから話した。他言しないでくれ」

た、他言しないでくれって言われたって……奴らの仲間には記憶を読む能力者がいたはず。もし、次に読まれたら俺達の敗北は間逃れない。

「なんで……なんで話したんだ。そんな大切な事を!」

キルアも同様のことを考えていてイスから立ち上がって言う。

「確かに、なぜだろうな……。奴らの頭が死んで気が抜けたのかもしれない。」

「まずいんだ、まだ残ってる。奴らの生き残りに記憶を読む能力者がいる!恐らく対象者に触れるだけで欲しい情報を読み取れる力だ」

「キルアの言う通り。今の会話を知られたらクラピカに勝ち目がなくなる」

そうなった時、俺たちが勝つ方法は俺も同様の誓約を掛け旅団と戦う……それだけだ。
力のゴリ押しになりかねないが、最終手段としてはアリだろう。

「でも、あの時はバレなかったよ」

ゴンはそう言うが、あの時と今じゃ決定的に違うものがあるんだ。

「今の俺たちはクラピカの事を鎖野郎の事だと認識してるから、万が一、次に調べられたらOUTなんだ」

どうすればいい?あの女専用に読まれる記憶を改竄かいざんする能力を作り出すか?

いや、相手の能力が何に基づいて働いているかが未知数な以上、ちゃんと改竄する能力が発動する保証はない。

「しかしよ、それはこっちから近づかなきゃ安全だろ?あっちは一度調べてシロだって思ってるんだから。」

確かに、そうだけども少なからず下手な事をすればクラピカにも被害が被る事には違いない。

「他にノブナガって奴がいて、こいつがヤバいんだ。鎖野郎クラピカを探してるし、多分俺たちを追うことも諦めてない。」

「だけど、そいつだってお前ら3人とクラピカの接点は知らねえんだろ?」

それは、そうだが……再び調べられる機会があればクラピカの事がバレちまう。それだけは何としても避けないと。

「私がヒソカとコンタクトをとっている。奴は私が鎖野郎だと知ってる」

そういや、団員の中にヒソカも入っていたな。だけど、クラピカはコンタクトまでとっていたのか。

「一応、協定は結んでいたが、奴の狙いだった頭が死んだ今、どんな行動に出るかはわからない」

万が一にもヒソカと対立することになったら、厄介だな。裏切られれば、クラピカの事や俺たちの接点も漏れる。それに、奴を相手にするのはなかなか手厳しいだろう。

「探し出した方がいい。俺達がクラピカの秘密を知ってしまった以上、受け身でいると危険だ」

「キルアの言う通りかもな。ノブナガが俺達を探してる以上、リスクが常に付き纏う。ノブナガ一人相手なら俺が太刀打ちできるが、二人以上で来られるとお手上げだ」

まぁ、俺がもっと強くなれれば問題ないんだけど……そう短期間で強くなれるほど俺は化け物じゃないと思う。

「奴らが地下に潜って力を蓄える前に芽を摘んだ方がいい。今なら奴等のアジトもわかる。もちろん、もう逃げてるかもしれない。その確率は時間が経てば経つほど大きくなる。動くなら早い方がいい!」

先手必勝か。それに、相手の数も減っている今がチャンス。

「確かに、その女は私にとって危険だが…。旅団やつらの頭が死んだ以上、私はゴンの言う通り同胞の眼を取り戻す事に専念するよ」

……まぁ、俺の希望はそれだな。クラピカにはこれ以上、仇打ちなんてさせたくない。普通を繕ってるけど、やはり疲れが時々目に見えてわかる。



ピルルル!!ピルルル!!

クラピカのポケットに入っているケータイ電話がなる。仕事の連絡だろうか?
内容を確認するクラピカは、次第に表情に焦りが出始めていた。

とても、嫌な予感がする。クラピカが遠くに行ってしまいそうな予感。第六感がそう伝えてきたようで……胸騒ぎが止まらない。
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