DAS×謎の青年×謎の目的
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誰かから届いたメールを確認したクラピカは、再び心に余裕がなくなった表情で席を立つ。

「なんだよ急にどーしたんだ!?」

いきなり様子が変わったクラピカにレオリオは呼び止めるように声をかける。しかし、レオリオの言葉を無視してクラピカは歩き出す。

「…………ヒソカから?」

「ああ……死体は偽物フェイクだと。」

死体が偽物だと?……じゃあ、クラピカはまた旅団と戦うということか?

……できれば、避けたい道だったけど俺に辞めろなんて言う権限はないしな。
だから、ゴンもクラピカには敵討を辞めろなんてストレートに言わない。遠回しに、仲間の眼を集めさせる方向に進めてたしな。

旅団やつらの中にそういう能力者がいるらしい」

死体……というより瓜二つの物を具現化する能力かな。

「どうする?完全に事態は急変したぜ」

「そうだな、まずい。確かに……同じ具現化系の能力者なら可能だ。くそっ……何故こんなことに頭が回らなかったんだ……!」

クラピカの足がピタッと止まる。その時、クラピカの携帯に着信が来たようだ。少し離れたところに移動したクラピカは誰かと通話し始めた。


「……今のクラピカを見てると旅団との衝突は避けられそうになさそうだ」

俺は、柱に背中を預けながらゴン達に言う。旅団員に掛けられた賞金は欲しいけど、割に合わないくらいのリスクが伴う。

「でも、旅団に掛けられた賞金が無けりゃ、グリードアイランドは買えないと思うぜ」

キルアの言う通り、グリードアイランドを手に入れるためには賞金が必要だ。チラッとゴンの方に視線を移せば悩ましい表情をしている。



しばらくしてクラピカが戻ってくると、電話で得られた情報を俺たちに伝え始めた。

「コミュニティが旅団の追跡を諦めたらしい。旅団への懸賞金も全て白紙に戻したそうだ」

なぜだ……?いや、旅団の危険性を身に染みたのか?にしては、タイミングが謎だ。コミュニティからしてみれば、旅団の頭を含めた数名を仕留められたことになってるから、危険性が身に染みる要因がない。



________要因とは、旅団が流星街出身だと判明したことみたいだ。懸賞金が白紙になった上、マフィア共も手を引いてしまった。

その後、一旦クラピカとレオリオと離れた場所で、今後の行動について話し合いをする。とは言っても、今のところ口出しはせずにゴンとキルアの意見を聞いているだけだ。

ゴンは、旅団を止めるためにクラピカに協力したいらしい。
一方でキルアは、意味もなくリスクを冒す必要性がないから、ゴンの意見には反対している。


「__で、ロウはどうなんだよ?」

「え、俺?うーん、キルアの言うこともわかるけど、俺もクラピカに協力したい……かな?」

「そう言うと思ったぜー」

溜息を吐き捨てるキルア。でも、俺としては、グリードアイランドの件もどうにかしないといけないと思うけど、同時に後悔もしたくない。

「多分、ここでクラピカと協力しないで、クラピカに万が一のことが起これば、俺は一生後悔すると思うから。だから、クラピカに協力したいんだ」

恐らく、そう思うのはゴンも同じ。だけど、過程は少し違う。
ゴンは、協力しない選択肢を選びクラピカに万が一のことが起きたことに後悔するかもしれない。
確かに、俺も同じように選んだ行動に後悔はするだろう。でも、一番恐れているのは、ゴンが選んだ選択肢に悔やみ続けることだ。そんなゴンは見たくないからな。

「で、グリードアイランドはどうするんだ?サザンピースオークションは明後日だぞ」

キルアの意見にも同調できるのは、そこなんだよなぁ。クラピカにも協力したいし、グリードアイランドも欲しい。だけど、欲張って2つとも狙っても、二兎を追う者は一兎をも得ずなんてこともあり得るし。

「実はね、ゲームに関しては秘策があるんだ。今のところ、ナイショだけどね」

「てめっ!もったいぶらずに言えよ!!」

ゴンの態度にイラッときたキルアはヘッドロックを決めて吐かせようとするけど、ゴンは秘策に関しては秘密らしい。

「とにかく、ゲームは俺に任せて。もう少し、旅団の方を追ってみようよ」

「まぁ、ゴンがグリードアイランドをどうにかできるなら良いんじゃないのか?」

二兎を追う者は一兎をも得ずとは言ったけど、その可能性が用意されているなら、二兎を得る可能性だってあるんだ。

「……ゴン、その秘策の成功率はどのくらいだ?」

「うーーん、70%くらいだと思うけど」
「70!?」

結構高いんだな。結構期待できそうな秘策だ。

「あ、いや……やっはり60%……ってとこかな」

驚くキルアの様子に、ゴンは自信が無くなってきたのか確率を低くしてきた。でも、成功率は現実的な数値だな。

「よしわかった。ゲームの件はとりあえず任す」

なんとかキルアを納得させることができたから、俺たちはクラピカと協力して旅団を止める方向で固まった。

「…………ん?」

誰かが俺を意識している。一体、いつからだ?このホテル内にいるのだろうか。
だが、相当の手練れだな。キルアですら気付いていない様子だ。

「悪い、少し席を外す」

「えっ!?どうしたのロウ?」

心配そうにゴンに言われる。だけど、本当の事を言うわけにはいかない。ゴンは旅団を止めたいと言ってクラピカに協力しに行くんだ。

「あ、いや。てんろうについて情報提供者がいるんだ。これから、会いに行くんだよ」

「い、いつの間にそんなこと……」

「俺だって、てんろうについてハンターサイトで調べるなりしてんだよ。1時間後くらいには戻るから、移動してたら連絡よろしく」

即席で考えた嘘をついてゴンを欺いた。若干の罪悪感を抱きながら、足早にホテルから出た。それに伴って、俺に向けられる意識も移動していく。恐らく、俺をつけ回ってるのはDASの連中だろうな。



しかし、1つ不思議に思うことがある。なぜ、俺の居場所が割れた?顔はクラピカから貰ったお面で分からないし。

俺は徐々に人気のない場所に移動していく。こうなれば、闘うしかないだろうしな。



約30分間走り続けて、人通の少ない場所へ移動した。俺の速度に着いて来る以上は、やはり中々の使い手だろうな。

スッと両手にしんかいじゅの種を用意して、辺りに撒き散らした。

だが、妖気を込めてないため発芽はしない。そのため、俺が円を使って種に妖気を与えれば発芽する仕掛けになっている。


戦闘に置いての下準備を済ませた途端に、俺を追って来ていた輩は、気配を露わにした。
なぜ、ここに来て気配を……?

気配の方向に目を向ければ、両手を上げて俺の方に向かって来る青年の姿が見えた。
罠か?他に潜入者がいるのか?


「警戒しなくていい。僕は君の敵ではないからね」
「……どう言う意味だ?」

「そのままの意味さ。僕は君を一目見に来たんだ」

年齢はシャルナークくらいのだろう。微かにオーラを纏っている。とても濃い密度のオーラだ。

「僕の名はルタ。DASの一人だ」

やはり、DASの連中か。だが、こいつに悪意のオーラを感じない。それどころか、俺相手に無防備過ぎる。

「はは、警戒しないでよ。本当に一目見に来ただけなんだからさ」

「俺を肉眼で見ることに、お前の能力に関係があるのか?」

ルタの言葉から考えられる可能性について言えば、驚いたような表情をされた。

「ははは、そんなの答えないよ。でも、1つの確認の為に来たんだ。これから、君と戦うためにね」

「…………何が言いたい?」

「うん、今は何も言えないかな」

何が目的だ?敵意がある訳でもなく、ただ俺を一目見に来ただけだと?

「少し驚いたことがあったけど……むしろ、君と心置きなく戦えると思ったよ」

驚くこと……?こいつ、本当に何をしに来たんだ。本当にDASなのか?

いや、それよりも俺と心置きなく戦うか。ジェイドほどの使い手ではないけど、キルアですら気づかないレベルの尾行をしていた相手。
油断は禁物。と、言いたいが、こいつからは敵意が全く感じられないのが引っかかる。本当に俺と戦いたいのだろうか?

「でも、既に今回の目的は達成できた。あっ!1つだけ君に忠告しておくよ。無闇にてんろうのこと調べない方がいいよ。てんろうの情報を調べたPCのIPアドレスから、大まかな居場所を割り出せるからね」

パソコンのIPアドレス……なるほど、そこから俺の居場所を割り出したと言うわけか。

「じゃ、またね。ジェロニモ」

「……へ?」

俺の過去の名を呼ぶルタは、一瞬にして消えてしまった。超高速で移動した訳ではない。つまりは、ワープのような能力だろう。

「と、というか何でジェロニモの名を!?」

なぜ過去の俺がジェロニモだと知っていたんだ!?俺ですら、過去の俺がジェロニモであることに確信は持っていなかったのに。あいつは何者なんだ……?

だけど、あいつは俺と戦うと言っていた。相当の手練れである以上、警戒しなければならないな。
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