お泊まり2
夜も藤原さんと対局すれば、午後10時になっていた。今日はもうやめるか。そろそろ囲碁以外のものを欲してきた。というより進藤の部屋には興味を惹くものが多いしな。
「何気に進藤の部屋にテレビあるよな。」
「お前の部屋にはねーもんな。へへ、羨ましいか?」
「……そんなこと言うと、お前部屋に暫くは居座るぞ。」
「そ、それは勘弁してくれ…。」
でも、俺の家の場合は居間のテレビで囲碁番組入れても誰にも文句言われないから困ってはいないけど。そもそも母か父が入れることの方が多いし。
俺もプロになりゃテレビくらい自分で買うけど。いや、でもテレビより自分用のパソコンが欲しいな。家族用のパソコンで俺は棋譜管理してるけど、やはり棋譜とかは自前のパソコンで管理したい。
「どうした?表情コロコロ変えて。」
「え…?あぁ、自前のパソコン欲しいなってさ。」
「そ、そうなんだ」
まさか進藤に呆れられるとは思わなかった。でも、自前のパソコンが欲しいのは事実。ネット碁も自分の部屋で打ちたいしな。
『ぱそこんって何ですか?』
「あぁ、パソコンは…。」
あれ…?なんて説明すれば良いんだ?平安の人に高度な事は伝えにくいし…。
「俺は主に棋譜を管理するのに使ってる。あと、遠くの人ともやり取りできるんだ!つまり、パソコンを持ってる人同士で、連絡が出来るものだな。」
『それは便利な物ですね!』
パソコンで出来る事は伝わったから俺にしては頑張ったと思う。だって、インターネットとかメールとか横文字の単語使ったら、藤原さん絶対首をかしげる。
「そう言えば俺の布団は…?」
「あぁ、それがさ、押入れにお客さん用の布団あったんだけど、ずっと出してなかったから少しカビてたらしいんだよね。」
確かに湿気とかにやられるもんな。でも、それじゃ俺は今日はどこで寝るんだろう。ソファとか使って良いのかな…?
「だから、俺と一緒でわるいけど、それで勘弁してくれよな。」
「……は?」
ちょっと何言ってるか理解が追いつかない。進藤と一緒…?それは寝ることを…?いや、この部屋に戻ってきた段階でベットに枕が二つあるのに気づいて薄々嫌な予感はしていたんだが…。
「だーかーら!このベットで寝るってこと!」
「なるほど…なるほど…。」
今の俺の気も知らないで、とんだ試練を与えてきやがった。あと、進藤の寝相悪そうだな。夜中、突然蹴られて目が覚めそう。
まぁ、一緒に風呂入ったんだから、もはやどうでもいいや。なんだか吹っ切れてる気がするし気にする必要もないんだ。
「じゃあ、そろそろ寝るか。今日は対局尽くしで流石に疲れてな。」
「俺も今日は疲れたぜ。」
進藤が布団に入れば俺は電気を消して進藤と同じベットの布団に入った。おお冷たい。流石、冬と言うべきか。でも、進藤の子供体温は湯たんぽ代わりには最適かもな。サイズ的には抱き枕にだってなるし。流石にそんな事は出来ないけど。
________眠れん。隣から寝息が聞こえる。なぜ眠れないのかは進藤の顔が寝返りの拍子にこちらを向いてしまったからだ。つまり、寝息が俺にかかる。風呂から上がった進藤に色気があると言ったが、こいつ…デフォルトで色気があるのかもしれない。確信犯か?いや、進藤はむしろ鈍感だと思うから、それはないだろう。
多分、俺が反対側を向けばいいと思うかもしれないけど俺が一種の抱き枕状態になってるのが問題なんだよな。
進藤が眠りについて最初は俺の方に寝返りをうってきたからまじまじと進藤の顔を見つめてたけど、途中で腕が伸びてきてだな…。
それで、現在に至るわけだ。
『微笑ましいですね。』
「…起きてるなら助けろよ。」
微笑むような藤原さんの声が聞こえてきて、ちょっとイラっときた。俺は、この状況をどうするかで悩んでるのに。
『でも、龍神も満更じゃないんでしょう?』
「!?」
藤原さん気づいてたのか…?いや、自分でも、この感情が何なのかは判断ついていないんだ。きっと、俺を からかってるに違いない。
「変なこと言うな。確かに進藤は可愛いとは思ったけどさ。」
『ふふ、そうですね。』
というか藤原さんは俺のこと引かないんだな。でも、言われてみりゃ平安の時代なら男色は別に珍しくもないのか。でも、今は平成だ。
「でも、流石にこれはなぁ…。」
目の前で寝息を立てて眠る進藤。そして抱きしめられてる。これで平静を保つのは難しいものだ。たとえ、進藤に対してその気がなくとも。
「龍神……。」
え、俺の名前?まさか俺の夢でも見てるというのか?わざとやってるとも思いにくいしな。
「……投了だぁ!!」
「うぐっ!?」
俺を抱きしめていた手が突然離れると、俺の胸にドスッと進藤の腕が飛んできた。こ、これは日頃の恨みというやつか…。
『龍神との夢を見ているそうですね。』
「い、痛え…。」
とんだ仕返しが返ってきてしまった。進藤に悪気がない以上、やり返すのも嫌だしな。次からは意地悪せずに進藤に合わせて打とう。
進藤が向こうを向いてくれたから、今のうちにさっさと眠ってしまうか。また、さっきのような状態になられちゃかなわん。
戻る
ページ:
unleash the mind