▽ 全ての正しき者たちへ

レベル:★★★★★★★★★☆
記入者:ドバル・デン
「正しき道を示し、救え」


モーント「全ての正しき者たちへ。これを書きに来た校長、かなり深刻な顔をしていたよ。何を考えていたのかなかなか書き込まなくて、けっこう長い間掲示板の前にいた」
シエテ「おそらくシルトのことでしょうね。粉のことを先生方に伝えて、持ち出されたカプセルを取り返した今、することと言えば……」
ケシェット「そうだね…何を頼まれるか、だいたい予測がつくな」
モーント「僕も何となくわかる。他の誰でもなく、君たちに頼みたいって言ってたよ。校長室で待ってるって。…よろしくね」

ライナルト「…シルト、さん。戦うのかな…」
フローラ「あんなに悪行をしたなら地獄に落ちて当然でしょ」
リーフ「無慈悲!!」



《校長室》
ドバル「……お前たち。色々、世話になる。すまない。写真と粉、受け取った。AASOに提出、する。ヴィフも、元気そう。ありがとう」
ケシェット「こちらは何も問題ありません。ジャンバールの危機は見捨ててはなりませんから。それを守るのも俺たちの役目です」
ドバル「今からも、世話になる。苦渋の決断、した。…………シルトを、倒してこい」
シエテ「……やはり、そうなるんですね。校長から見ても、彼は手遅れですか…?」

リーフ「そ、そうだよ。他に助ける方法ってないのか…?」
リンアイ「正しき道を示し、救え、か………これには深い意味がありそうだ」


ドバル「…………。昨日、シルト、来た」
ケシェット「なっ…! 一体何故……!?」


〜 〜 〜 〜 〜


シルト「僕を殺していただけませんか?」

ドバル「……何故、オレに」
シルト「貴方のことを信頼しているからです。長い付き合いでしょう? 今の僕は限りなく悪ですが、殺されるとしたら誰でもいいわけではありません。だとすれば最初に選ぶのは、貴方です」
ドバル「……オレには、できない。オレの、信頼する生徒、派遣する。それで、いいか?」
シルト「ふふふ……貴方ならそう言うと思っていました。誰が来るかわかったようなものですね。では彼らにこうお伝えしてください。月の登山道『不滅の満月』で待っている、と。それでは」


〜 〜 〜 〜 〜


ライナルト「…そんな…」
フローラ「月の登山道…あそこの頂上は凄い魔力が漂っているわよ。そこを選ぶなんて」


ケシェット「……アイツが、自分から…」
ドバル「もう、救いようがない。シルト、自分で、わかっている。
シルト、お前たち、認めていた。オレも、信頼している。お前たちしか、いない。これが最後だ。シルトを、……頼む」
ケシェット「………………わかりました。行こう、皆」

リンアイ「……」
シエテ「悪に敏感なリンアイさんの表情が険しいですね」
リンアイ「なんか、やっぱりアイツって、自分から悪になりにいったんじゃないって思うんだ。自分から殺してほしいって頼むぐらいなんだろ。よくわかんないけど…セレスティアらしい部分って残ってるのかな」
ケシェット「俺を本当の堕天使にさせないために助言しといて自分は落ちた、って考えると、そうだな…リンアイの言う通りかもしれない」
フローラ「何しんみりしてるのよ。倒すことで救われるんだったらそれでいいんじゃないの?」
ライナルト「やけにあっさりしてるな…そんな単純なことじゃないと思うんだけど。とにかく、行ってみないと分からないな」



《月の登山道『不滅の満月』》
ライナルトたちは頂上にやってきた。
辺りを月が照らす、それはそれは美しい景色だった。
月光の下に立つのは

シルト「……やはり来ましたね。貴方たちなら僕を止めてくれるだろうと思っていました」

ライナルト「シルトさん…!」
リーフ「うっ……あの人の周囲、異質な魔力が漂ってる…オレにもわかるぐらい濃いぞ…」
フローラ「これはマズいわよ…」


ケシェット「……シルト。聞いたよ。校長に直接依頼したみたいだね。何故だ?」
シルト「…ああは言いましたが、まだ僕は善意を捨てきれていません。それも、これのせいです」

シルトは白い羽を1枚取り出した。
その羽に見覚えがある……

リーフ「!! 笑顔が可愛いクレールスさんの羽!?」
シエテ「だからその覚え方どうにかしてください」


シルト「アニマさん……クレールスさんの羽です。僕が堕天使になったとき、彼女から頂いたものです。この状態でも僕が僕のままでいれるのは、これが僕をかろうじて繋ぎ止めているからです。
これを見て思い出しました。僕が完全に堕ちたときに、僕が認める人に殺してもらおうと。……それが貴方たちです。校長に直談判をすれば、貴方たちに来てもらえると、そう思ったのです」
ケシェット「随分と自分勝手だな…それで、俺たちが来なかったらどうするつもりだったんだ?」
シルト「いえ、貴方たちは必ず来ます。これまで様々なものを打破した貴方たちは、この案件も見捨てられるはずがないのです。僕を止める以外の選択肢はないでしょう?」

リンアイ「…ああ」
ライナルト「依頼が掲示板に貼りだされてなくても、いつかはこうなっていたかもしれない」


シルト「……さて、今からこれを壊します。そのとき僕は何を思うか、何を言うかはわかりません。ただ貴方たちは僕を、その正しさを以てして殺してください。いいですね?」
ケシェット「……わかった。校長からの頼みだし、アンタに、これ以上悪事をしてほしくない。それでアンタが救われるのなら……」
シルト「これが最後の善意。貴方たちのような正しき者は、正しき道を歩んでください。道を踏み外した者を待つのは、死罰です」

シルトが指を鳴らすと、白い羽はゆっくりと燃えていった。
灰が舞い、はらはらと地面に落ちる。

フローラ「!!! 一気に魔力が深くなったわよ…!」
リーフ「やば、酔った」
リンアイ「身体が重い…!これが、此処と、今のシルトの魔力…!」


シルト「…………ふふ…愚かですね。今まで何を思っていたのでしょう。善を保つためにかつての記憶にすがるのは愚かだと、言われたところでしたね。バカバカしい。
さあ、覚悟してください。僕は300年前から堕天使、この悪意は伊達ではありません。それを打ち砕くほどの貴方たちの正しさを見せてください。そして……──

──僕を殺してみろ!!

シエテ「300年前の冒険者…ええ、わかってます。貴方の悪意を、わずかな希望を!」
フローラ「本気でいかないと死ぬわよ、立って!」
リーフ「いや立ったらマジで吐きそうなんだって死んじゃう」
リンアイ「ここまできてそんなこと言えるあんたを逆に尊敬する」
ライナルト「シルトさん…俺、貴方に会えてよかったです。たくさん助けられました。だから、今度は助けさせてください!」
ケシェット「行くよ。悪になることを望んでなかったのなら、この刃、受け入れるよね!!」



▼ENEMY▼
奈落の天使
-Abyss Angel-

Lv42×1



<戦闘勝利>
ライナルトたちとシルトは互いに手を止める
もうとどめを刺さなくてもいいぐらい、シルトの体は深く傷付いていた

シルト「………………ありがと…う」

シルトは満足そうな顔をして、その場に崩れ落ちた

ケシェット「……これで、よかった、のかな。校長から依頼されて、本人からも頼まれて………本人は満足そうだったけど…皆、どう思う?」

リーフ「……わかんない」
シエテ「そうですね…世間はこれで平和になるかもしれないけど、……」
フローラ「いざこうやって立ち会ってみると複雑ね…」
ライナルト「みんな同じ思いだと思う。何も言えないな………。…誰か来る!?」


クレールス「シルトさん!!」

リンアイ「! クレールスさん!?」
リーフ「あ…!!」
フローラ「どこで噂を聞きつけたの!?」


クレールス「そんな、そんな…! これは…本当に…本当に彼が望んだことですか!? 堕天使となった彼が辿るべき末路はここなのですか!?」
ケシェット「……それは…………」
シエテ「………………」

フローラ「そ、そうじゃないわよ。ただ…その……」
ライナルト「…………」
リンアイ「……あんたの同意は、なかったな…」
リーフ「………うう…」


クレールス「…シルトさん……貴方はどうして破滅を選んだのですか…どうして……どうして私に助けさせてくれなかったんですか……! あんまりです! 貴方が…もう一度光を見ることなく息絶えるのが……私には耐えられません……!!」

クレールスの涙が何粒も頬を伝い、シルトの翼を濡らした。
──そのとき
濡れたところから光の粒子が舞い始めた

シエテ「! これ、は…!」
ケシェット「…ああ!そうか、クレールスの涙は…!」


クレールス「……!」

粒子はシルトの傷を治し、黒い翼を
──白く染めていく



気付けばライナルトたちとクレールスの前には、白い翼のシルトが横たわっていた

ライナルト「祈りの雫か…!!」
リーフ「け、怪我も治ってる!これはいけるかも!」


クレールス「シルトさん、シルトさん…っ!」
シルト「……。………う………。……アニマ、さん…?」
クレールス「私がわかりますか…? 体は痛くないですか…?」
シルト「大丈夫です、わかります。…何だか体が軽い……。僕は…、……っ!?」

フローラ「あら………すごいわ。一切の邪念を感じない。さっきまでのアレは何だったの?」
リンアイ「凄いな。カスミのときにも見たけど、流れたばかりの涙は浄化作用が桁違いだ」
ライナルト「シルトさん!」


シルト「……ああ、この姿…嘘偽りない…まさか……?」
クレールス「ええ……貴方は、元のセレスティアに戻ったのです。よかった…間に合って…堕天使になってから、貴方を助ける方法をずっと探していました。貴方が殺してほしいと頼んだと聞いて、いても立ってもいられなくて……」
シルト「……心配をかけましたね。
皆さん……。……何と言えばいいか。自らのおこない、僕の全ての愚かさに、今はただ胸が苦しいです」

シエテ「…」
ケシェット「そりゃ、そうだな…」


シルト「……勝手なことを言ってすみません。日を改めて会いましょう。今は少し考える時間が欲しいんです。そのうちそちらに伺うので、ジャンバール学窓で待っていてください。できれば校長には、僕の安否は秘密にしておいてください」

フローラ「ちょ、ちょっと!命懸けだったのにお礼もなし!?クレールスにも何か言いなさいよ!」

クレールス「後を追わないで。セレスティアは善悪に敏感な種族…堕天使から元に戻った者は、罪悪感に苦しみます。ですからどうか今は、そっとしてあげてください。
……先ほどは取り乱してごめんなさい。彼を助けてくれてありがとうございます。
学校まで送りましょう」

リーフ「ああ…やっぱり貴方は笑顔が似合う…可愛い…側にいてその笑顔永遠に守りたい…」
シエテ「『歩く不適切』と呼びましょうか?」
リーフ「やめて!!」
ケシェット「結果オーライ、ってやつかな。また数日したらシルトに会うだろう。それまではお休みだな」
フローラ「やっぱセレスティアってわかんないわ」
ライナルト「そう言うなよ。世の中わからないことだらけなんだからさ」
リンアイ「そこ、上手くまとめない」



《ジャンバール学窓》
リーフ「数日後」
リンアイ「解説ご苦労」
ライナルト「この数日間めっちゃ休んだ。美味しい物たくさんたべた」
フローラ「此処の給食、やっぱり男子校なだけに量が半端ないわね…みんな食べ盛りすぎよ」
シエテ「僕も普通の量は厳しいので少なめをお願いしてます。それでも多いんですけどね…」
リーフ「給食美味し〜〜!!最高!!」
ケシェット「後で校長に言っといてあげて。喜ぶから」
リンアイ「喜ぶ…?あ、シルトだ」
ライナルト「シルトさん!!」


シルト「こんにちは。元気そうで何よりです。
先日はありがとうございました。あれから僕なりによく考えて、気持ちの整理ができました。一緒に校長室まで来ていただけますか?」

ライナルトたちはシルトと一緒に校長室へ向かった


《校長室》
リーフ「せんせーーー!!!給食おいしかったです!!!」
ライナルト「給食よりもシルトさんだろ!!」
シエテ「校長室では静かにお願いします」


ドバル「……! シルト」
シルト「校長。ご迷惑をおかけしました。どうやら僕は元のセレスティアに戻ったようです。…これも彼らのおかげですね。やはり彼らは正しさを導き出す人たちです」
ドバル「………。……人を救い、学校の平和、守り、正しき道、示した。誰も犠牲、ならなかった。全てが正しい方、向いた。
お前たちに、これを、渡す」

唐紅の憤怒をもらった!

ケシェット「これは!!まさか!!」
シエテ「いいんですか…?」


ドバル「オレは、お前たちを認める。誰が、何と言おうと、お前たち、一流の冒険者。誇りを持て」
シルト「僕からはこれを……」

光の盾をもらった!

シルト「僕はまた贖罪のために旅を続けます。貴方たちともまた会うでしょう」

ケシェット「盾か。シルトらしいな」
ライナルト「それで、この赤い宝石、何これ…?」
リンアイ「これはアレだね。前にボア校長から貰った証、それの類のものだ」
シエテ「まさか僕たちが受け取ることになるとは…」
フローラ「ちょっと、これ持ってたら他でどうやって優遇されるの?」
シエテ「えええ…知りませんよ…ただ、あらゆる強敵に対して闘志を燃やせるお守りだと聞きました。それこそ神に、とか?」
リーフ「神と戦える資格!?こわ!!やだ!!返していい!?!?」
ライナルト「怒られるぞ!あばらどころが全身折られるぞ!!」
ケシェット「そういう話は寮でしよう。…シルト。贖罪の旅も楽ではないだろうけど、頑張ってくれ」


シルト「……全ての正しき者たちへ。願わくは、その全てが悪意に傾くことがないよう……祈りを捧げます」

全ての正しき者たちへを完了しました!


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