003. マルクト帝国
第3話 マルクト帝国
馬車に乗り込み、渓谷を出て橋を越え、そのまま東へと進む。
ルークはいつの間にか眠っていたが、突然の爆発音に目が覚める。
「・・・・・・な、何だ?!」
慌てて馬車の窓から様子を見てみると、小さな馬車を巨大な戦艦が追っているのが見えた。
「ようやくお目覚めのようね。」
「お、おい! あの馬車攻撃されてるぞ。」
「軍が盗賊を追ってるんだ!
ほら、あんた達と勘違いした漆黒の翼だよ!」
男性が説明してくれていると、
戦艦から注意を促す声が聞こえた
「そこの辻馬車! 道を空けなさい! 巻き込まれますよ!」
男性はすぐに戦艦を避け、通りすぎる。
一方、戦艦内では盗賊の馬車を捕まえようと慌ただしかった。
「師団長! 敵が橋を渡り終え、橋に爆薬を放出しています!」
「おやおや。橋を落として逃げるつもりですか。」
「敵は第五音素による譜術を発動させました!橋が爆発します!」
「タルタロス、停止せよ。譜術障壁起動。」
炎の属性である第五音素の術を使って橋を落とした事に、大して慌てる事もなく、師団長は冷静に指示を出す。
「すげぇ! 迫力〜っ!」
ルークは馬車の窓から身を乗り出して感動していた。
『ルーク様っ、危ないですよ!』
セリーヌは、慌ててルークを座らせる。
「驚いた! ありゃあ マルクト軍の最新型陸上装甲艦タルタロスだよ!」
男性が少し嬉しそうに、また説明してくれたが、"マルクト軍"という言葉を聞いて、ルーク達は目を丸くして驚いた。
長年キムラスカ王国とマルクト帝国は戦争をしてきた為、お互いに敵対心を持っているのだ。
「マ、マルクト軍?!どうしてマルクト軍がこんな所をうろついてるんだ。」
「当たり前さ。何しろキムラスカの奴らが戦争を仕掛けてくるって噂が絶えないんで、この辺りは警備が厳重になってるからな。」
明らかにキムラスカに対して敵対心を持っている男性に、ティアはそっと訪ねる。
「・・・・・・ちょっと待って?ここはキムラスカ王国じゃないの?」
「何言ってんだ。ここはマルクト帝国だよ。マルクトの西ルグニカ平野さ。」
「じょ、冗談じゃねーぞ!この馬車は首都バチカルに向かってるんじゃなかったのか?!」
「向かってるのはマルクトの首都、偉大なピオニー九世陛下のおわすグランコクマだ。」
疑問は確信に変わる。
「・・・・・・間違えたわ。」
「冷静に言うなっつーの! なんで間違えるんだよ。」
「土地勘が無いから。あなたこそどうなの。」
「俺は軟禁されてたんだ。外に出た事ねーんだからわかる訳ないだろ!」
ルークとティアの口喧嘩を聞いていた男性は、怪訝な顔をした。
「・・・・・・なんか変だな。あんたらキムラスカ人なのか?」
「い、いえ。マルクト人です。 訳あってキムラスカのバチカルへ向かう途中だったの。」
ティアが咄嗟に誤魔化した事にルークは呆れていた。
セリーヌはキムラスカの首都バチカルの方に行きたかった事を伝える。
「それじゃあ反対だったなぁ。キムラスカに行くなら、橋を渡らずに街道を南へ下って行けば良かったんだ。最も、橋が落ちちゃあ戻るに戻れんが・・・・・・。」
「マジかよ。どーすんだ、おい・・・・・・。」
「俺達は東のエンゲーブを経由してグランコクマへ向かうが、あんた達はどうする?」
「さすがにグランコクマまで行くと遠くなるわ。エンゲーブでキムラスカへ戻る方法を考えましょう。」
『そうですね。ここからだとエンゲーブまで少しありますから、送って貰いますか?』
「そうだな。エンゲーブまで乗せてくれ。歩くの たりーし。」
「そうかい。 じゃあ出発だ。」
しばらく馬車に揺られていると、農業で賑わう村が見えてきた。
「ここがエンゲーブだ。キムラスカへ向かうなら、ここから南にあるカイツールの検問所へ向かうと良い。気をつけてな。」
『ありがとうございました。』
「検問所か・・・・・・。旅券が無いと通れないわね。困ったな・・・・・・。」
「大丈夫だろ? ファブレ公爵の息子って言えば、すぐ通してくれるって。それより村を探検しようぜ。俺、街に出るのって初めてなんだ!」
「探検はともかく出発前の準備は必要ね。今日はここに泊まりましょう。」
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