004. 食料の村 エンゲーブ





第4話 食料の村 エンゲーブ



 宿を探すため村を探索していると、さすが食料の村と言われるだけあって、食材屋が何件もあり、美味しそうな食材が並んでいるのが見て取れた。

「へぇ、うまそうなリンゴだな。」

ルークはとある店のリンゴを一つ掴むと、そのままかぶり付いた。

『!?』

「! お客さん! お金!」

ルークの予想外の行動に、食材屋の店主は、目を丸くしながら指摘した。

「? 何で俺が払うんだ?」

当のルークは、何故指摘されているのか分からないでいたので、慌ててティアが教える。

「決まってるでしょう!お店の品物を勝手に取ったら駄目なのよ。」

「だって、屋敷からまとめて支払いされるはずだろ。・・・・・・って、そうか、ここはマルクトだったな。」

「マルクトでもキムラスカでも、普通はお店で買い物をする時は、その場でお金を払うものよ。」

「金なんて持ってねぇよ。」

『魔物が落としたお金がありますよ。』

「ああ そうか。金貨じゃねーから忘れてた。」

「・・・・・・。」

「おい! 金を払わないなら
警備軍に突き出すぞ!」

「払わねぇとは言ってねぇだろ!
・・・・・・で、どうしたら良いんだ?」

『では、順番にお教えしますね。』

「(・・・・・・買い物の仕組みも知らないなんて。貴族って 皆こうなの?と言うか、セリーヌは何故そんなに落ち着いて教えられるの?)」

ティアは、呆れるやら感心するやら、頭を抱えるしかなかった。


 一方、先程の場所から離れた所でも、事件が発生していた。

再び宿を探すため、ルーク達が村を歩いていると、世間話が聞こえてきた。

「駄目だ・・・・・・。食料庫の物は根こそぎ盗まれてる。」

「北の方で火事があってからずっと続いてるな。まさか、あの辺に脱走兵でも隠れてて食うに困って・・・・・・。」

「いや、漆黒の翼の仕業って事も考えられるぞ。」

「漆黒の翼って奴らは食べ物なんか盗むのか?」

そこにルークが失礼なひとことで割って入ると、案の定怒りをぶつけられる。

「食べ物なんかとはなんだ! この村じゃ、食料が一番価値のある物なんだぞ!」

「何セコい事言ってんの。盗まれたんならまた買えば良いじゃん。」

「何! 俺達が一年間どんな思いで畑を耕してると思ってる!!」

更にルークが失礼な発言をするので、相手を完全に怒らせてしまったようだ。
・・・・・・当の本人は気付いていないようだが。

セリーヌが何度も頭を下げるが、男性は怒りが収まらないままだ。

そんなピリピリとした雰囲気の中、先程の食材屋の店主が、会話に加わってきた

「なあ、ケリーさんの所にも食料泥棒が来たって? ・・・・・! お前!俺の所で盗んだだけじゃなくて、ここでもやらかしたのか!」

店主はルークに気付くと、食糧泥棒の犯人だと言わんばかりに責め立てた。

それを聞いた先程の男性は、感化されてしまい、同じくルークを責め立てる。

「! 何だと・・・・・・。まさか、あんたがうちの食料庫を荒らしたのか!」

「泥棒は現場に戻るって言うしな。」

勿論、ルークには覚えは全くなく、大した証拠もないのに責められるのは我慢ならず、怒鳴っていた。

「俺が泥棒だって言うのかよ!」

「うちの店先から、リンゴを盗もうとしただろうが!」

「よし! お前を役人に突き出してやる!」

ルークは二人に羽交い締めされ、連行されていく

その様子を、ティアは黙って見届け、セリーヌは慌てて付いていった。





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