「出口よ!」
「ようやく此処から出られるのかよ。もう土くせぇ場所はうんざりだ。」
出口を見つけると、ティアは小さく叫び、ルークは気だるそうに呟いた。
『! 誰か来ます!』
セリーヌは気配を感じ取り、少し警戒する。
しかし、それは魔物ではなく、若い男性だった。
男性はルーク達を見ると驚き、
「うわっ! あ、あんた達まさか漆黒の翼か!?」
と、むしろ誰かと勘違いしているのか、逆に警戒された。
「・・・・・・漆黒の翼?」
勿論、そんな団体に入った心当たりなど無く、"漆黒の翼"という名前すら知らないルーク達にとっては、ただ疑問符を浮かべるだけだった。
「盗賊団だよ。この辺を荒らしてる男二人と女一人の三人組で・・・・・・って、あんた達は男一人と女二人か・・・・・・。」
その様子に、男性は漆黒の翼の事を説明してくれ、誤解も解けた。
だが、ルークは悪者扱いされた事に苛ついていた。
「・・・・・・フン。俺をケチな盗賊野郎と一緒にすんじゃねぇ。」
「・・・・・・そうね。相手が怒るかもしれないわ。」
その言葉にティアは冷たく言い放つ。
「あのなっ!」
『まぁまぁ二人共、喧嘩しないで下さいよ・・・・・・。』
セリーヌは困惑しながら、一触即発の二人を宥める。
とりあえず落ち着いたところで、本題に移った。
「私達は道に迷って此所に来ました。貴方は?」
「俺は馬車の馭者だよ。この近くで馬車の車輪がいかれちまってね。水瓶が倒れて飲み水が無くなったんで、此所まで汲みに来たのさ。」
「馬車か! 助かった!」
"馬車"という言葉を聞いたルークは安堵した。
「馬車は首都へも行きますか?」
「ああ、終点は首都だよ。」
ルークは喜び、
「乗せて貰おうぜ! もう歩くのはうんざりだ。」
と言うとティアも賛同し、
「そうね。私達土地勘が無いし、お願い出来ますか?」
と聞いた。
すると男性は、少し考えてから言った。
「首都までとなると、一人12,000ガルドになるが、持ち合わせはあるのかい?」
『高いですね・・・・・・。』
「そうか? 安いじゃん。首都に着いたら親父が払うよ。」
セリーヌはあまりに高額な料金に悩むと、ルークはそんな事気にもしないという風に言った。
しかし、意味はなかった。
「そうはいかないよ。前払いじゃないとね。」
『そんな・・・・・・。』
更にセリーヌは困惑する。
一方ティアは、少し考え込むと、綺麗な首飾りを取り出した。
「・・・・・・これを。」
『ティアさん?!その首飾りは大事な物じゃないんですか?!』
セリーヌは慌てて止める。
「・・・・・良いのよ。」
しかし、ティアは諦めたように言った。
「こいつは大した宝石だな。よし、乗っていきな。」
男性はそう言うと、準備を始めた。
ルークはティアの首飾りを見ると、
「へぇ・・・・・・お前良いもの持ってんな。 これでもう靴を汚さなくて済むわ。」
と嬉しそうに言うが、その発言は余りにも軽薄な発言だった。
『・・・・・・!』
「・・・・・・。」
セリーヌは驚き、ティアをそっと見てみると、あまり感情を表に出さない彼女だが、少し怒りと呆れが入り雑じった表情をしていた。
『(・・・・・・今のは言い過ぎでしたね、ルーク・・・・・・。でも・・・・・・。)』
セリーヌはルークに対して、きつく言えない事に歯がゆさを感じていた。
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