7時に起きたのでは恐らく間に合わない。
もうこうなればこれは戦闘だ。
そう思って6時に起きてご飯は2合炊く。朝から揚げ物の準備もできている。
味噌汁を作り、かりかりに焼いたベーコンに卵を落とす。ポテトサラダにレタスをひいて、カットしたトマトを添える。
前日から漬けておいた鶏肉に粉をまぶして揚げ、これはお弁当にも入れるので多めに。
この辺りで時計は既に7時で、ああ悟空を起こしてこなければ!
「悟空さん……?」
異性の部屋というものにまだ慣れず、躊躇いがちにドアを開ける。
豪快な寝相で本人は夢の中。急がないとまだ作るものがあるのに。
「っ起きてください、悟空さん!」
「う、わっ!?」
カーテンを無理矢理引き、途端に差し込む朝陽が容赦なく瞼を貫く。
ベッドから落ちる勢いで体を起こした悟空は目を擦りながら時計を見やった。
「なんだ、光織かー」
「起きましたね悟空さん! 私三蔵さん起こしてきますから準備してください!」
「え、あ、光織、自分から起きてくるの待ったほうがいいって!」
「だってもう7時ですよ?」
でも、と言いかけた悟空の言葉を遮って部屋を出る。
もう昨日のような失態はおかさない。人間は経験から育つものだ。
昨日は自分が失敗したということが予想以上に悔しくてろくに眠れなかった。
それなのに早起きしたからだろうか。もう針が振り切ってしまいそうで。
「っ三蔵さん!朝です起きてください!」
けれどそのテンションは一気に地に堕ちることとなる。
「……あ?」
地獄の底から響くような、その恐ろしく低温の声によって。
「……時間、ですが」
「今日は昼からだ」
「え、そうだったんですか……!」
私知らなくて、とか、あの、でも朝ごはんできたので、とか言い訳をしようと試みるものの。
のそりと起きだした痩せ身の身体にああこれ何か失敗した。また失敗した。
「おい」
「はい」
「俺は家政婦を拾ったわけじゃねぇ」
「……はい」
「てめぇの時間くらいてめぇで管理できる」
「……はい」
「っつうかその鬱陶しい前髪どうにかしろ」
「え、……はい」
「お前はお前の仕事があんだろうが」
「……私、何だか自信がなくなってきました……」
ハッ、と、わらう声。
「『体力と家事には自信があります』っつったのは誰だ」
死ぬ気でやりやがれ、と。
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