あの花はどこに咲いていたっけ
ワスレナグサ
携帯をいじりながら私もいつの間にか寝落ちをしていたようだ。変な体制で寝たせいで首がいたい。時刻は8:47だった。二度寝するには遅すぎる時間なので起きることにした。もぞもぞと動いていると桃井も目を覚ます。
「ごめん起こしちゃった?まだ寝る?」
「んん…もう起きます」
まだ眠そうだが、起きようと葛藤している桃井本気可愛い。ひたすらに可愛い。顔が可愛いから倍可愛い。ご飯できるまで寝てていいよと頭を撫でるとわかりました。と言って寝る体制に戻った。
今日は朝から肉が食べたい気分だ。我が儘を言うならば豚カツが食べたい。だが朝から油と戦う元気はない。ここは妥協して親子丼にすることにした。私は半熟トロトロ派だが二人は大丈夫だろうか。保育士をやっていたせいで他人へのアレルギーに敏感だ。アレルギーを侮ってはいけない。死に至ることだってある。昨日の食事で卵は食べれていたので半熟じゃなきゃ大丈夫だろうと今回はしっかり焼いた。お米を炊いている間に家事をこなしゴミを捨てに行く。戻ると桃井に引きずられるように起きた青峰もいた。
「今日はお昼を食べたらストバスがある公園に行こうと思いまーす!」
三人で食事をしている最中に提案する。そういえば桃井は完全に見る専門なのだろうか。桃井も一緒に遊ぶか尋ねると私は運動音痴なのでと断られた。
桃井と手を繋ぎながら公園を目指す。時々振り返って青峰がきちんと付いてきているかの確認も忘れない。公園に着くと以前黒子と火神と遊んでくれた小学生の子たちがいた。私に気づくとバスケを一旦やめて駆け足で寄ってきた。
「あれ?火神と黒子は?」
「あー、あの子たち今はいないんだけど良かったらこの子と一緒に遊んであげてくれない?」
後ろにいた青峰を指名する。
「いいぜ!バスケ教えてやるから一緒にやろーぜ」
小学生たちは快く返事をしてくれた。お兄さんぶりたい年頃なのかバスケを教えてあげると誇らしげな顔をする。所詮ドヤ顔というものだ、可愛い。この子たちには失礼だが青峰が教わることなどあるのだろうか。お互いに良い遊び相手になってくれることを願った。ベンチに戻ると桃井からあの子たちの説明を求められ、前回黒子と火神がいた時に遊んでくれた子たちだと教えた。
「なかなか良い試合してますね」
「やっぱ小さいから、上手くても身体がついていかないんだろうねぇ」
「普段の青峰くんなら圧勝というか、自分以外は楽しく戦えないと言っていましたが、小さいお陰でハンデができてあの子たちと同等に戦えて楽しそうです」
「何だかさつきちゃんまで嬉しそうだね」
「色々心配してたので…青峰くんが楽しそうで何よりです」
「あれ?さつきちゃん、ほんとは青峰くんのこと…」
「私はテツくん一筋です!!!!!」
どうしてもからかいたくなるのは許して欲しい。私はあの帝光時代を知っているようで何も知らない。キセキに亀裂が生まれバラバラになった日々。でも今は本当に青峰も桃井も楽しそうで良かった。
青峰も小学生たちもバスケに夢中で楽しそうだがもうすぐ夕方になる。そろそろお開きにしようと声をかけるとあと一戦と返事が来た。同じくらいの勝敗のようでケリをつけるらしい。結果は青峰の勝利だった。帰り際、小学生相手に高笑いをしていた青峰は大人気ない。
「楽しかった?」
「まあまあだな」
「五時間も遊んでおいて?」
「中々良い線いってたから指導してやったんだよ!」
「結構良い試合してたのにププ」
「手加減してやってたんだよ」
「「ほんとかなー?」」
「本当だよ!」
桃井と声が被った。本当に手加減していたかどうかは本人のみぞ知ることだがまあまあと答える顔はどこかスッキリしていて、私たちの目に写る青峰は十分楽しそうだったよと伝えておいた。
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