あの花はどこに咲いていたっけ

ワスレナグサ


何だかいつもより布団が暖かい気がする。布団というか誰かに抱きしめられている。人に抱きしめられて眠るのはいつぶりだろうか、とても暖かくて心地よい。その心地よさに身体を委ねて二度寝をしようと開きかけた目を閉じた。

「って!誰やねんお前」

微睡む意識が一気に覚醒した。勢いよく上半身起こして私を抱きしめていた人物を確認する。

「む、紫原〜!?!?」

「ん〜うるさいよ、俺まだ眠いの」

青峰と桃井と寝ていた筈が二人が紫原に変わっている。驚いて声をあげればうるさいと怒られグイッと腕を引っ張られた。気づいた瞬間には先程と同じように紫原に抱きしめられていた。なんとか抜け出そうと身体を捩るが腕の力が強すぎて一向に抜け出せない。少し抵抗してみるが抱きしめられる力は変わらないので、彼が起きるまで大人しくすることにした。

というか本当に意味がわからなくなってきた。黒子火神青峰桃井は小さくなって現れたので、この先も同じようなことがあればみんな小さいだろうと勝手に推測していた。だがこの紫原敦は原作と同じ高校生位の大きさだろう。いつどのタイミングで現れるかもわかっていないのに大きさまで違うときたら推測していたことも間違えになる。しかもよりによって紫原が大きいというのは色々な意味でイタイ。大きい姿で現れるなら桃井が良かったと切に思う。そういえばあの二人は無事元いた世界に帰れたのだろうか。

いくら考えても正解はわからないし、正解は教えてもらえないだろうと思う。一人で考えても仕方ないので私も二度寝しようと目を瞑ると寝室のドアが開いた。

「おはようございます」

「っ、え、あ、おはようございます」

彼と目が合い挨拶をされると吃ってしまった。ここ最近驚きの連続だ。寝室の扉を空けて入ってきたのは小さい氷室辰也だった。

「すみません、この状況に理解できていなくて何が起きているかわかりますか?」

私と紫原が寝ているベッド近くまできて話しかけられるが、こんな状態で会話をするのは恥ずかしいから話は紫原を起こしてからにしてくれと頼むと氷室は紫原を起こし始めた。

まだ起きたくない、眠いと愚図る紫原を氷室が連れてリビングへ向かう。起きた瞬間にアンタ誰と言われたが今更すぎる。

「〜っと、まあこんな感じで黒子くん、火神くん、青峰くん、さつきちゃんがこちらの世界に来てしまって帰れるまで一緒に暮らしてた」

黒子たちが現れた日から昨日のことまで詳しく話す。比較的最初に来た彼らより敵意は感じられない。紫原にいたってはソファに寄りかかり、テレビを見ながらお菓子を食べている。私が言うのもなんだが危機感なさすぎるぞ陽泉Wエース。

「申し訳ないけれど、名前さんと敦が寝ている間に家の中を調べさせてもらって漫画も見つけたよ」

「ああ、それは全然良いんだけど」

「俺たちの世界とここはパラレルワールドみたいなものだと思う」

「パラレルワールド?」

「色々な選択肢から分岐点が分かれて並行する別世界といえばわかるかな」

「パラレルワールドは知っているんだけど、根拠があるのかなって」

「大我たちと話していた会話を聞いて、知っているアーティストがいたりグラビアアイドルが同一人物だったりすることを考えると、元は同じ世界だったが分岐点があって別世界になったと考えるのが一番理にかなっていると思うよ」

やけに横文字の発音が良いのは気のせいだろうか、流石帰国子女。氷室の推理は確かにあながち間違えじゃないと思う。だが身体が小さくなったことはどう思っているのだろう。また黒子火神青峰桃井氷室は小さくなっていて紫原だけがそのままのサイズだ。

「紫原くんだけ元のサイズで現れちゃったのはどういうことなんだろうね」

「俺も縮んでるよ〜」

「っえ」

「多分中学の時くらい」

「中学ぅ〜〜!?」

高校生で二メートルあること自体漫画みたいな話なのに、いや漫画だが。中学生でその大きさとは空いた口が塞がらない。

「中学の敦はいくつだったのかい?」

「180か190くらい」

「10センチってかなり振り幅広いね」

中学生でそんなに大きい子はなかなかいない。こっそり携帯で紫原のプロフィールを調べてみると帝光時代は186のようだった。

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