あの花はどこに咲いていたっけ

ワスレナグサ


「紫原くんも氷室くんも元の世界に戻れるまでここにいて貰って良いんだけど、紫原くんが大きいからダブルじゃギリギリだよね…」

「名前ちん暖かかった〜」

「朝は抱き枕にされてたからね…」

「氷室くんは何処で寝てたの?」

「俺は敦の背中側で寝てました。落ちそうでしたけど」

「だよねぇ〜、とりあえずシングルの布団買ってこようか」

「気を使わせてしまいすみません」

「大丈夫大丈夫、買ってきたシングルで私が寝て、ダブルベッドの方で紫原くんと氷室くんが寝る感じで良い?」

「え、室ちんでも男と寝るのはやだ」

「俺も敦と寝るなら名前さんと寝たいです」

紫原が子供で氷室が大人のような見た目とは真逆の二人。紫原に関しては私より三十センチ以上大きいのに母性本能を擽られる。既視感があると思ったら保育園の子供たちだ。二人とも私と寝ると言って話が進まなそうなので公平にジャンケンで決めて貰ったが結局交互に寝るようだ。今日は氷室くん。ひとまず布団を入手する為に出かける準備をする。

「とりあえず紫原くんはお留守番しててくれる?」

「え〜なんで?」

「流石にその大きさは目立つのと、信じる人は少ないだろうけど紫原ってバレると面倒だから」

「なにそれ〜」

「この世界に君たちを題材とした作品があるって話したでしょ?その中で紫原くんは相当人気あるからわかる人が見たら騒がれちゃうの、まあコスプレだと思う人がほとんどだろうけど、声とか態度とかその奇抜な地毛を見られたら流石に誤魔化せない」

「ん〜しょうがないか、おやつ買ってきてね〜」

なんとも気の抜けた喋り方だ。紫原との会話は子供をあやすように話してしまう。紫原ファンはこの見た目と中身の可愛いギャップにやられたのだろうか。比較的暗い髪色の火神や黒子や青峰、桃井と奇抜な色をしている子たちには帽子をかぶせればバレないだろうが紫原に関しては存在感が大きすぎて帽子だけじゃカバーしきれない。申し訳ないけれど家にいてもらう。

「氷室くん何か欲しいものある?」

駐車場に向かうと地面が濡れていてどうやら雨が降っていたようだ。車を走らせながら助手席に座る彼に尋ねてみる。

「特に欲しいものは無いんですけど、強いていえばこちらいる間に時間を潰せるものですかね?」

「火神くんたちはストバスのある公園でバスケしてたんだけど紫原くんがなぁ…、まあ平日の昼間ならバレないか!他に好きなものはないの?」

「好きというか趣味でビリヤードとかやりますね」

「シコい」

「しこい?ですか?」

「ごめん何でもない」

「何でもないと言われると余計気になります」

「まあ褒め言葉だよ」

氷室辰也恐るべし。高校生であの美貌に加え趣味はビリヤードときた。欠点がない。エレヤンなんて呼ばれているが実際どうなのだろうか、少し気になる。ショッピングセンターに着いてからシングル布団を購入しようと思ったが念のためにツインサイズにした。決してフラグを立てているわけではない。最悪使わなくともお客が来た時に使えばいいのだ。

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