あの花はどこに咲いていたっけ

ワスレナグサ


「あ、しまった」

「どうしたんですか」

ショッピングセンターからの帰り道で買い忘れに気づく。

「ほら、今まで来た子たちはみんな小さかったから洋服着回しできたけど、紫原くんだけ大きいから何枚か洋服買ったじゃん?でも肝心の靴忘れた」

「あ〜盲点でした」

「氷室くんは紫原くんのサイズ知ってる?」

「今のは知っていますが、帝光時代のサイズは知らないですね」

「だよねぇ、知ってたら戻って買っても良かったけど靴は予想じゃ買えないしなあ」

今回は諦めて自宅へ帰ることにする。後日出かける時に紫原を連れて行けばいいのだ。家に着いてトランクにぎっちり詰めた荷物を運ぶ為紫原を召集する。渋々運んでいる彼に積んであるダンボールはほぼおやつだよと言うと足取りが軽くなった気がした。

「じゃあこの部屋に置いてある段ボールは紫原くんのおやつだから勝手に食べてね、でもご飯が食べられなくなるほどの間食はだめだよ」

「わーい、名前ちん大好き」

紫原に大好きと言われたがお菓子で釣ったようなものだ。まあ釣ったようなもの、というか完全に釣ったのだが。嬉しそうに笑う彼には裏なんて無さそうで素直に癒される。既に昼食の時間は過ぎていたが軽食しか腹に入れていなかったのでそろそろ何かきちんとしたものが食べたい。普段二人はどのくらい食べるのか尋ねてると紫原は三〜四人前、氷室は二人前という。三〜四人前と聞いて驚いたがあの身長と体格まで成長するにはそれぐらい食べていないとおかしいと変に納得した。

「じゃあ好きなソース混ぜて食べてね、ちなみにおすすめは柚子醤油」

サッとできて大量に食べれるのは麺くらいではないだろうか。何種類かのソースを机に並べてバイキング形式にした。氷室はちいさくなっていたので一人前で十分だったようだ。2パック作ったパスタはあっという間に無くなり半分以上は紫原の胃へ吸い込まれていった。更に驚愕したのはすぐに食後のデザートも食べると言い始めたことだった。

「紫原くんって末っ子?」

「唐突になぁに?」

「背と体格は可愛らしさの欠片もないのに、甘えるのが上手って言うか、甘やかしたくなるというかそんな感じ」

「当たり〜、兄弟は全部上だよ」

「やっぱりそうなんだ」

「だから可愛い俺にそのねるねるねるねるね、ちょうだい」

「え、やだよ、私もねるねるねるねるね好きだし新作のイチゴ味だもん」

「甘やしたくなるなら甘やかしてくれていいんだよ?」

「敦と名前さんの会話を聞いていると、何だかねるねるねるねるねのゲシュタルト崩壊が起きそうだね」

先程デザートと言ってプリンを3つ食べていたのは誰だろうか。私のねるねるねるねるねを奪おうとする紫原と戦っているが、お願いと言いながら首をこてんと傾げる可愛さに負けそうだ。仕方ない、妥協して半分やろう。半分という言葉に納得していなさそうだがあげるだけ譲歩したと思って欲しい。君の手の中にはまだ綿飴があるだろう。早急にストックしてあるねるねるねるねるねを隠そうと心に誓った。

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