あの花はどこに咲いていたっけ
ワスレナグサ
ショッピングセンターに出掛けたりとバタバタとしていて外はオレンジ色に染まり始めていた。今日はもうゆっくり家にいようと言えばタイミングよくチャイムが鳴る。
「はーい、今行きます」
「苗字名前様でお間違えございませんか?」
「はい」
「ここにサインお願いします」
「お疲れ様です」
荷物を受け取って部屋へ戻ると氷室が寄ってきた。
「そんな大きな荷物、何を頼んだんですか?」
「人生ゲーム!」
「人生game?」
「黒子くんと火神くんがいた時に遊ぼうと思って注文してたの!まあ一足遅かったけど、やったことない?」
「ないですね」
「意外と盛り上がるんだよ!やってみようよ!紫原くんも人生ゲームやろうよ」
「え〜めんどい」
「銀行員やらしてあげるから!」
「全然嬉しくないんだけど」
どうやら氷室は人生ゲームで遊んだことがないようだ。海外にはない遊びなのか、それとも氷室に縁がなかったのかは知らない。ダンボールから取り出しテーブルの上に置く。面倒くさいと言いながらもソファに寝転んでいた身体を起こしている紫原は何だかんだ言って遊んでくれそうだ。
「とりあえず、誰よりも早くゴールすれば勝ち!あとはゴールの時点で誰が一番資産を持ってたかとかも判定基準になるかな」
「資産ですか?」
「そうそう!ゲーム中に家を買ったり家族を増やしたり宇宙人に拐われたり色々あるんだよ」
「へぇ、面白そうですね」
少し子供っぽい遊びだったかなと思ったがノリ気の氷室をみると問題なさそう。
「俺アイドルになった〜」
「アイドルって給料いいけど出目によってまちまちだから結構闇深いよね」
「俺はニートになっちゃいました」
「氷室くんニートとかあり得なさそうだけど、仕事から帰ってきて、家にこんなイケメン居ると思えば養うわ」
「俺は〜?」
「紫原くんは物理的に無理、食費だけでえらいことになりそう」
紫原が詐欺に引っかかり返せないほどの借金を背負わされたり、氷室が結婚しすぎて子供がコマに乗り切らなかったりと、三人しかプレイヤーがいなくて残念だったが久しぶりにやる人生ゲームはとても盛り上がった。結局一番最初にゴールしたのはニートのままの氷室だった。
「名前ちんお腹すいた〜」
「おっけー、少し早いけどご飯作ろうか」
「わーい、俺ハンバーグ食べたい」
「りょーかい」
「名前さん、手伝いますよ」
「ありがとう」
今日は紫原からリクエストされたハンバーグに決まった。挽き肉だけじゃ足りないだろうから豆腐とパン粉を入れて具材のかさましだ。氷室が手伝ってくれると言うので混ぜた具材を丁度良い大きさに丸めてネタを作ってもらう。やはり一人でやるより作業効率が良いのですぐ終わった。氷室と作ったハンバーグは中々美味しくて、沢山作った筈なのに一つも残らず紫原がペロリと全て平らげていた。ご飯も食べ終わり、みんなで休憩していると氷室が眠くなってきたからと先に風呂へ向かった。そういえば来ていた子たちも就寝時間が早い子たちばかりだったなと思い返す。お風呂上がりの彼は、髪から小さな水滴が垂れ、淡い薄ピンク色の火照った頬をしていた。幼稚園児サイズなのに隠しきれないフェロモン恐るべし。髪を乾かしてあげると何だか良い匂いがする気がする。みんな同じシャンプーなのにおかしいなあ。
「じゃあ俺は先にベッドで待ってるね、おやすみ名前さん」
就寝の挨拶をしに近寄ってきたと思ったら背伸びをして私の頬に触れるだけのキスをした。
「ぴえん」
prev next
Back to main nobel