あの花はどこに咲いていたっけ

ワスレナグサ


小さくなっても氷室は氷室だった。破壊力がすごい。自分の顔がいかに天に愛されているかわかっていて行動するあたりがあざとい。人生ゲームを片してソファでテレビを見る紫原の横に座る。最近開けていなかったなあと思いながら携帯に入っている沢山のアプリを順番に開いてログインボーナスを貰う。

「それ知ってる〜」

テレビを見ていた筈の紫原が今開いているアプリを指さした。

「マリカ?」

「家にあったもん」

「面白いよね」

「俺強いよ〜」

「やってみる?」

驚いた、ここにも共通点。あちらの世界にもマリカはあるのか。強いというので私のスコアより高い点数を叩き出してみろと挑発してみた。申し訳ないが一生懸命ゲームをやっている姿が似合わなすぎて笑ってしまう。私には丁度良いサイズの携帯を彼が持つとおままごとの玩具みたいに小さくて、物凄くやりずらそう。

「名前ちんの携帯小さすぎて無理」

「はいはい言い訳〜」

「ヒネリつぶすよ」

「生のヒネリつぶす頂きました〜」

案の定小さすぎる携帯はうまく使えず、スコアは低かったようでからかってみる。ここにきてあちらの世界の名台詞というか有名なセリフを初めて聞いたので少し興奮した。馬鹿にして笑っていると長い腕伸びてきて私の頭を鷲掴みにする。

「ごめんごめん、今タブレット持ってくるからそっちで通信対戦しようよ」

「最初からそっち持ってこいし〜」

コイツなかなかやりおる。勝敗は少し私がリードしている位でかれこれ一時間はやっている。そろそろ目が疲れてきたので次の勝負で最後だと言えば今までは本気を出していなかったと完全に負け惜しみだ。

「はい私の勝ち、おしまいでーす」

「はぁ?そんなの狡い、勝ち逃げじゃん」

「狡くないでーす、やりたかったらまた明日ね」

小さく舌打ちしていたが、なんと言われようが今日は終わり。就寝する為の準備をして紫原と寝室に向かう。

「名前ちん、一緒に寝ようよ」

「紫原くんじゃんけん負けてたじゃん、明日ね明日!」

「ちぇ」

今日買ったツインの布団よりいつも使っているベッドの方が若干大きいので紫原に譲ってあげた。最初は紫原も駄々を捏ねていたが世間話をしているといつの間にか寝てしまったようだ。寝ている二人に携帯を構えて画面を触ると小さく音が鳴った。

なんだかいつもより暖かい、最近似たようなことがあった気がする。腕のポジションが気になってもぞもぞと身体を動かすと頭の上から優しい声が聞こえた。

「もっとこっちおいで」

「…ん」

強く抱きしめられて頭を撫でられる。ああ、良い夢だ。

「ん?良い夢?」

抱きしめられている感覚が妙にリアルでそっと瞼を持ち上げると目の前には逞しい胸板が見えた。

「ッッッッッッファ!?!?」

驚いて眠気が吹っ飛んだ。昨日は小さな氷室と寝たはずなのに何故紫原と寝ているんだ?移動させられたのか?と思い顔を上げるとそこにいたのは紫原ではなく大きい氷室だった。

「?????ドユコト???????」

「驚いた顔もcuteだね、名前さんおはよう」

チュッと可愛いリップ音が聞こえた時には既におでこにキスされていた後だった。優しく笑う氷室は絵本の中から飛び出してきた王子様のようでちらりとみえる涙ホクロはセクシーさを際立たせている。

「ア、ア、ア、ア、ア、」

既に私の脳は限界を迎えていて某アニメのカオナシ状態だ。このイケメンから逃れようと腰に回されている手を解こうとするが余計に力が強くなる。

「助けて紫原くん!」

「シッー、まだ敦は寝ているみたいだし俺たちも二度寝しない?」

「助けて紫原くん!!!!!!!」

二度寝しない?と甘く囁く彼は私に向かって綺麗にウィンクをした。勘弁してくれ、とっくに私のHPは0よ!!!

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