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「おー、でっかいタワーマンション。こんなところで暮らしてるなんて、よほど大金持ちなんでしょうね」


近くに見えるタワーマンションに、サクヤは声を漏らす。ソラも同じ事を思っていたみたいだ。
今回ここに来た目的は、不登校になっている生徒に生徒会からの通知書を渡すこと。ミツキいわく、その不登校になっている生徒が"神様アプリ"の開発者らしい。まさかこんな高級そうな場所に住んでいるとは。
コウがさっそく、"四宮"という生徒の部屋のインターホンを押す。


「……出ねえな」


二回目。もう一度インターホンを押してみた。


『――うるさいなあ、何度も押さないでよ。居留守使ってるのがわかんないわけ?』


でたのは、幼い少年の様な声。
一応、高校生のようにも聞こえなくもないが、最初は中学生の声だと思うだろう。サクヤもあまり人のことは言えないが。


「四宮さんのお宅で間違いないでしょうか?」
『あー、そうだけど。アンタら、ダレ? 配達の人じゃなさそうだね』
「……何、コイツ。ほんっとイラつく……!」


サクヤが地面を一回ダン、と大きく鳴らす。ソラがまあまあと落ち着かせるが、そんなもので怒りが収まるか。
どこまでこの"四宮"という生徒は上から目線なんだ。


「杜宮学園・生徒会からの通知を頼まれて持ってきた。それと――《神様アプリ》についてちょっと聞きたいことがある」
『……! ……ふうん、面白そうじゃん。いいよ、入ってきても。特別に時間を取ってあげるから』


少年がそう言うと、入り口の門が開いた。
さすがは高級マンション。警備は厳重ということだろう。


「やれやれ、なかなかクセのありそうな相手らしい」
「何よ、アイツ……っ! 卯月に向かってあんな態度とかあり得ない!」


手の見えない大きな袖口をパタパタと鳴らすサクヤの姿は、さぞ子供の様だったことだろう。


「意外と、サクヤと気が合うんじゃねえか?」
「なっ……卯月が、あんな野郎と気が合いそうだって言うんですか!? ありえません!」




* * * * *





「――失礼するわ」
「ったく、玄関にすら出迎えに来ねぇとは……」
「ああもう、ほんっと最低!」
「フフ、ようこそ。――2-Bの時坂洸センパイ。同じく2-Bの柊明日香センパイ。んで、そっちは1-Aの郁島空に、1-Cの卯月桜夜か」
「お前が"四宮"か」
「四宮祐騎――一応、杜宮学園に所属している1年生さ」


本当、気に入らない。


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