自宅のベッドで目が覚めると、日付は変わり朝になっていた。夜遅くに自分のアパートに帰ったはいいものの、寝まきに着替えずに寝てしまっていたようだ。
目をこすりながらカーテンを開けると、朝日が町の向こうから少しだけ顔を見せていた。所狭しと建ち並んでいる建物の上に、雪が降り積もっているため、町全体に白い絨毯が敷き詰められているように見える。昨晩のような静けさはなく、耳をすますと人々が日常を始める音がした。
私は急いで新しい服に着替えると、コートを着て和久のアパートに自転車を飛ばした。部屋に鍵はかかっていなかった。いくら何でも不用心すぎるが、アパートの合鍵を持っていない私には好都合だ。
「ハッピー・ホリデー! 今日は二人の記念日だよ!」
転がりこむように彼の寝室に向かうと、ノートパソコンがベッドの下に置かれていた。どうやら私が帰ったあとも仕事をしていたらしい。
私のモーニングコールに、めんどくさそうな呻き声を返す和久。
「……まだ6時前じゃないか」
「朝だよ! 起きて!」
「……他の部屋に迷惑だ。ちょっと静かにしてろ」
「起きたら静かにするよ!」
和久は身をまるめていたが、私が何度も肩を揺らすものだから、寝ることは諦めたのか、ふーっと大きく息を吐き出した。
「……わかった」
和久が前髪を片手でかき上げながら、布団から起きあがる。私はベッドの端に座ると、和久を抱きしめた。