「……ねえ、和久は何で私の事を好きになったの?」

 ふと気になっていた事を訊くと、頭上から呆れたようなため息が聞こえてきた。

「君の事を好きになるのに理由なんてあるか。俺だってわからないんだ」
「そっか」
「君はどうなんだ?」
「よくわからないや」
「俺と同じだな」
「そうだね」

 私が普通に応えると、和久は何も言わなくなった。全ての物事を言葉で表現できるならいいのだろうが、残念だが表現できないものの方が多いことを、私は彼を好きになってからとても実感していた。彼のことを想うこの気持ちは、ゼロかイチの明確な言葉で表せないことは確かだ。

「ああ、そうだ。君に渡したい物がある」

 和久は私を押し返すと「ちょっと待ってろ」と言って、部屋を出ていった。 しばらくして和久が戻ってくると、出ていく時には持っていなかった紙袋がその手にあった。

「今日は交際を始めて2年目だろう? 本当は夕食の時にでも渡そうかと思っていたが、まあいいか」

 ぶっきらぼうな調子でそんなことを言いながら、差し出してきた紙袋を、ぎょっとして見詰めてしまう。普段、彼から贈り物なんて貰わないから、思わず何かの罠かと思うほどだ。

「……いらないならあげないぞ」

 すねた顔で紙袋を引っ込める和久。私は慌てて両手を差し出す。

「いる! え、何で何で!? こんなサプライズプレゼントって……! 昨日からちょっとおかしいよ!?」
「やっぱりあげるのはやめた」
「だめ! もらうから!」

 ひったくるように、紙袋を和久から奪い取る。 運動したわけでもないのに、鼓動が速くなって、私は恐る恐る紙袋を開けた。中にはきれいなクリスマス用のラッピングがされた小さめの箱が入っている。 早速包みを取り去り、箱を開く。
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