私の一方的で、淡々とした自分の想いを打ち明けていくうちに、シュウヤくんの表情もやわらかくなっていく。きちんと整ってはいるけれど、いつもは固く結ばれている唇がほんの少しだけやさしい形に微笑んだ。その笑顔を見ると、肩にかけたバッグに入っているリンゴ3つ分の重さが、羽のように軽くなった。
「私ね、シュウヤくんがユウキくんや佐上くんに妬いていたの、知っていたよ」
「……なんでわかったんだ」
「私じゃなくてもわかるよあんな言動じゃ」
「そんなにわかりやすかったのか」
本当に不思議だな。シュウヤくんと一緒にいると、ついつい口が動いていく。想いが泉のように溢れて、口から零れ落ちていく。滑り落ちるんじゃない、溢れ落ちていくのだ。あぁ、心地いいな。
「……シュウヤくんはどうかな。私のこと、どう思ってる?」
「もう言うまでもないだろ」
そう素っ気なく答えて、シュウヤくんの左手が私の右手をそっと握る。冷たいのに温かい彼の手を、私は少しだけ握り返した。どうやって握ればいいのかわからなかったから、本当に少しだけ。
私もシュウヤくんも何も言わない。会話もなく、ただ2人分の呼吸音と足音だけが聞こえてくる。それでも嫌な空気ではなかった。緊張しているわけでもなく、この沈黙が怖いわけでもなかった。とても心地よい静けさだった。
水の中にいるかのように澄んでいて、でもふわふわ浮かぶ風船のように軽い沈黙だった。
指先から感じるほんのりとした熱に、頬がうっすらと赤くなるのを感じた。あぁ、ちゃんと私にはこういう“心”があったんだ。失ってしまったと思っていた“心”が残っていた。そして、それに気付くことができたのはシュウヤくんのおかげで。
もうすぐ家に着くだろう。彼とさよならする時間が来るだろう。でも足を止めたくなかった。かといって、家に帰りたいわけでもなかった。
ただもう少し、もう少しだけ彼といっしょに――