04.



シズクと別れてすぐ、俺は屋敷へ戻るため玄野を呼び出した。

「お疲れ様です」
「・・・玄野、今夜車用意しろ。」
「次はなんでやすか・・・」
「あんまりヤクザっぽくないのがいい。」
「・・・洗車して車内クリーニングしときやす。」

玄野の返事に満足し、一旦屋敷に戻る。

昼頃まで書類整理や会議、12時きっかりに根本からの電話。

「若」
「・・・何か変化は。」
「男が接近してます。親密そうです。」
「玄野の報告では交友関係に該当はなかった。ガセか?」

じ、と玄野を睨む。

「ええ!俺の調査中に男の影なんてありませんでしたよ!」
「・・・まあいい、根本、監視を続けろ」
「接近しますか?会話の内容まではここからじゃ聞こえません」
「あァ。無理はするな。」

スパイのような会話だ。
喚く玄野に蹴りを入れて、モッズコートを羽織る。
今日の予定をさっさと終わらせて、シズクを迎えに行く。
偶然を装って。
シズクは警戒せず、車に乗るだろう。
それだけの信頼は、ここ数日で勝ち取っている。
それからはーー

俺はマスクの下で、ひっそりとほほ笑んだ。








シズクの終業時間を狙って、会社の近くに車を停める。
いつもは運転は人任せだが、久しぶりに自分で走らせるのもいいものだ。
これからシズクが隣に乗ると思えば、余計に。

しかし、定時をかなり過ぎてもシズクの姿が見えない。

(残業か・・・?)

ちょうど根本が携帯を鳴らした。

「若、残業のようです。」
「・・・そうか。」
「終わりが読めません。どうしますか」
「待つ。お前はそこで待機しろ。」
「・・・あ!若、今エントランスから出てくる男、」

根本の声に、会社の出入り口を見る。
若いサラリーマンが出てくるところだった。

「そいつが昼間の男です。」
「・・・そうか。」

一旦電話を切り、シズクと話していたという男を凝視する。
いかにも女受けしそうな風体。
俺は車を降り、その男に近づいた。