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泥門デビルバッツvsNASAエイリアンズ。本日ついに決戦本番を迎える。
月刊アメフトという雑誌の企画ということでテレビも取り上げる程大盛り上がりとなっていた。これに便乗しない手はない!とヒル魔も抜かり無く宣伝活動をしている。
「流石は派手好き悪魔」
頭上に浮かぶデビルバットを見上げながら秋がそうボヤいた。
空に浮かぶ泥門デビルバッツのマスコットキャラクターをモチーフにしたバルーン。その背中には、今日の日米戦の開催時間や場所を記した旗がくっ付いてヒラヒラと揺らめいていた。
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19時少し前。地久フィールドはほぼ満席。勿論太陽スフィンクス戦とは違い、この観客は全て母国を応援する泥門デビルバッツの味方である。
日本の誇りをみせたれー!とつい最近エイリアンズに敗れた賊大の部員達もおり、大変アットホームな環境だなと秋は思った。
豪華なフィールドは勿論、マシンガントークなアナウンサーや解説、テレビの撮影も入り一気に気合いが入る泥門メンバーだが同時に緊張も走るものだ。
『おおっと、NASAエイリアンズの入場だー!』
アナウンサー、マシンガン真田の声と共に入場口から登場したエイリアンズ。人数が泥門よりも多いからか、はたまたアメリカ特有のマッスル具合からか威圧感はとても強く、泥門メンバーはゴクリと生唾を飲み込むのだった。
『エイリアンズと言えばホーマー選手のシャトルパス!』
『それを支えるラインの力も見過ごせませんよ!』
会場中に広がるアナウンサーと解説の言葉をキッカケに、泥門デビルバッツの面々の視線は先頭を歩くホーマーへ向いた。
彼は勿論、エイリアンズ選手全員の顔付きは栗田邸で行われた寿司パーティーの時の物とは全く違い、まさに真剣そのものだった。
やはり高校生と言っても強豪チームのスポーツマン。きっちりとオンオフを切り替えられるのだろう。
「すごい…」
エイリアンズのベンチへ視線を向けていた秋がボソリと声を漏らしたので、横に座るまもりが彼女へ顔を向けた。あのいつもご陽気な彼女ですら、エイリアンズの存在に圧倒されているのか、と。
「すごいホーマーがこっち見てる…」
別にそういう訳ではなかった様だ。思い違いをした為ガクリと肩を落とすまもりの横へ、エイリアンズのベンチから熱い眼差しを送り続けていたホーマーだった。
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さて、両チームの代表であるヒル魔とアポロの大変"和やか"な挨拶を終えると、ついに日米戦がスタートした。
まずはエイリアンズの攻撃。散々練習したブリッツ、お披露目の時間である。
「SET!HAT!」
ホーマーへブリッツに赴く第一陣に選ばれたのは、泥門デビルバッツのランニングバック・アイシールド21である。
エイリアンの攻撃が開始した瞬間、アイシールド21が爆速でホーマーへ突っ込んだ。彼が無事ブリッツ出来る様に栗田もやる気満々でエイリアンズラインに向かって行った。しかし、巨漢である栗田は"取り返しのつかないタトゥーを入れた男"大便のゴンザレスに軽々と跳ね除けられてしまった。
栗田だけでなく十文字たちも次々に跳ね除けられている。これにはベンチ組から悲鳴が上がった。
「ゲェ…ッ!筋肉やば…!」
「太陽の壁は重くて動かない感じだったけど…」
「これは、何度行っても跳ね返されてる…!」
重さだけでなく、アメリカ人特有の強靭な筋肉。これがクォーターバックへの攻撃を全て跳ね返すマッスルバリヤーである。
マシンガン真田の命名であるが、まさにおっしゃる通りであった。
アイシールド21のブリッツはマッスルバリヤーにいとも簡単に跳ね返されてしまい、ホーマーのシャトルパスが発射してしまった。
「でかー!!これ通ったらタッチダウンだぞ!?」
流石強肩のホーマー。上空に打ち上げられたロケットの様な彼のパスはグングン伸び、余裕でタッチダウンを狙える軌道であった。このままキャッチされてしまえば最速得点待った無し、これにはレシーバーモン太も焦るしかなかった。
「セナ!お前が最後の砦だ!一緒に追って…」
走りながら、自身の後ろを追って来ているであろうアイシールド21を振り返ったモン太であったが、求めた人物は前衛で尻餅を付いていた。
「ムキャ〜〜〜!!あんなとこいる!!」
「だってブリッツで突っ込んだし…」
ブリッツは後衛が持ち場を放棄してクォーターバックへ突っ込むギャンブルである。そこにこんなロングパスをぶち込まれたらひとたまりもない。
しかしホーマーの放ったシャトルパスは、ゴール目前でレシーバーの手から零れ落ちた。どうやら彼の飛ばすだけノーコンのお陰で助かった様だ。
「ふぅ〜…」
「ナイスホーマー!ノーコン!!」
泥門デビルバッツのベンチからは、マネージャー2名の安堵のため息と辛辣な言葉が溢れた。
そうして一方フィールド内では冷や汗をかいたセナとモン太がヒソヒソと会議を開いていた。
「ブリッツってやっぱ危ないね…」
「あんまやんねぇ方がいいかもな…」
「ブリッツ増やすぞ!」
「「いいい!?」」
そんな2名の会議は知ってか知らずか、ヒル魔は次の作戦を立てるのだった。
次もまたエイリアンズの攻撃だが、果たしてデビルバッツはホーマーのシャトルパスを封じる事ができるのか。