02

「ここ門作ろう!」
「ゴツいの作ろうぜ!」

わっせわっせとバケツを持って海と砂浜をひたすらに往復し砂の城を製作する2名。色気もクソもない彼らの建築はまもなく終わりを迎えようとしていた。
螺旋状になった階段と、その真ん中に聳え立つ洋風な城。レンガの模様もしっかりと描き込まれた、彼らの本気度が伝わる出来映えとなっている。

「何してんだお前ら」
「すげぇな。城だ」

と、完成間近に迫った城作りでテンションの上がった黒木と秋へ、十文字と戸叶が声を掛けて来た。

「お前ら丁度良かった!城作ろうぜ!」
「もう出来てんじゃねーのか、それ」
「今からここにカッコいい門作るから!まだ完成じゃないから!」
「お、いいな」
「やるか」

意外と乗り気な十文字と戸叶を仲間に加え、砂の城作りは再開された。


▪︎


作り上げた砂の城を4名で囲みその出来栄えに感心していると、秋がおもむろに携帯を取り出した。

「自撮りしよー!」

ハ?ハァ?ハァアア?既に自撮りの態勢に入った秋の発言に、反射的にいつものアレが出てしまった三兄弟。
いいからいいから、と急かす彼女は手慣れた手つきでパシャパシャ写真を何枚か撮って写真の出来を確認し始めた。

「あ、いい感じー!楽しんでる感じ出てる!」
「何の為の写真だよ」
「女ってこーいうの好きだよな」
「だな」

ご機嫌な秋とは打って変わり、三兄弟はイマイチ自撮りの良さにピンと来ていない様子だ。そんな彼らに、秋は写真の用途を説明し始めた。

「実はさー、ホーマーが日本観光写真めっちゃ送って来てて。あたしも対抗しようと思って」

パスポート再発行の為に1週間日本観光をするホーマーたちエイリアンズ。秋に激アタック中のホーマーから観光報告、もといラブメールが届いているのだとか。
雷門に行ったとか東京タワーに登ったとか。楽しそうな写真を送ってくるホーマーを羨ましく思ったらしく、秋はアメリカへ向かう機内から写真を撮りまくっているらしい。

「盗撮し過ぎだろ」
「寝てるとこ撮ってんじゃねーよ!」
「思い出でしょーが!」

携帯画面で昨晩から掛けて撮影した写真を次々と見せ始めた秋であったが、自撮りが大半を占めているが泥門メンバーの隠し撮りがチラホラとあった。
苦手な機内の対策でアイマスクをする十文字、機内で爆睡するアホ顔丸出しの黒木、そして機内でジャンプを愛読するいつも通りの戸叶。先ほどのスイカ割りの写真も記録されていた。
寝顔の写真を消す消さないで黒木と秋が揉めていると、水着美女のまもりが遠くから此方へ駆けて来た。

「秋ちゃーん!三兄弟くーん!ヒル魔くんが集合って!」

煌めくビーチ、駆ける水着美女。夏だ。


▪︎


どうやら秋たちが砂の城を本気で作っている間に、セナやまもり達はビーチフットボールの大会に飛び入り参加していた様だ。優勝すればなんと賞金1000$。日本円で約10万円である。
会場に向かいながら説明を受けていた秋が即座に反応した。

「10万…アツい…」
「今回の合宿で使うお金です…!」

万年金欠の秋からすれば10万円なんて大金である。賞金の値段を聞くと眼をギラつかせた彼女に、まもりがピシャリと言い放った。
先ほどまでビーチフットを行っていたがヒル魔とバトンタッチで交代し、彼の指示で泥門メンバーを集めに来たまもり。秋と三兄弟を見つけた彼女は、お次は海で遊ぶ雪光を見つけて声を掛けた。

「あ!雪光くーん!」
「サメ!すげー!」

海の中でサメと泳ぐ雪光に声を掛けるまもりだが、ツッコミどころは満載である。興奮した様に携帯で写真を撮り始めた秋だったが、数枚撮ると歓声が上がったビーチフット会場へふと視線を向けた。

『タッチイーン!!』

英語で興奮気味にアナウンスが何かを叫んでいたが、まぁ十中八九今タッチインしたセナ達に向けて何かしら言ったのだろう。
デビルガンマンズ、という夢のコラボでビーチフット。投手はヒル魔とキッド、レシーバーはモン太と哲馬の2名ずつ。そしてセナがランニングバック。西部ワイルドガンマンズの2名が何故ここにいるのかは不明だが、偶然出会したのだろう。

「何やってんのアイツ〜…」

ビーチの砂のおかげでまもりにはバレなかったものの、アイシールド21である事を隠してる癖に素顔のままで爆走するセナに、秋は軽く頭を抱えたのだった。


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