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05

「ナノ、ちょっといいかー。室長が呼んでる」
リナリーとご飯を食べていると、(今日のメニューはアップルパイはご飯ではないと言うリナリーに言い含められて、シチューとサラダである) リーバーさんが声をかけてきた。
コムイさんが呼んでいる、ならまぁ、任務なんだろう。そうじゃなかったら、わたしの体に関することだろうか。
わたしの体はセカンドエクソシストとしてはずいぶんと不良品だから、と定期検診があったりする。また、その関係だろうか。
「ご飯食べ終わったら行きまーす」
「おー」
咀嚼していたものを飲み込み終えてからリーバーさんの言葉に答える。
リナリーは「頑張ってね」 と一言。この分じゃあ多分、任務だ。
「一人の任務じゃないといいなぁ」
「そうね、ナノ一人だと心配する方も大変よ」
「リナリー、心配してくれるの? 嬉しい。ありがとう!」
「なにそれ、今更じゃない。わたしとナノは、仲間で、友達なんだから!」
「ふふ、そうだった!」
リナリーの言葉がじんわりと暖かく胸に残る。優しくて、暖かくて、言葉数の多いリナリーといるのは楽しい。それに彼女はとても強いから、戦いにおいてもとても頼もしい。大切な、唯一とも言える友達であり、そしてきっと、姉のような人だ。
最後まで残しておいたサラダにフォークを向けながら、ちょっとだけ顔を歪めた。野菜は、苦いから苦手である。煮たやつならまだましなんだけど。
わたしの好き嫌いの多さには、ジェリーさんも苦労しているに違いあるまい。
「次の任務、どこかなぁ。あんまり寒くない所だといいんだけど」
「季節柄何処に行っても寒いと思うけど……できれば南に拠った所の方があたたかそうね」
「前に行ったフランスは結構寒かったから、イタリアとかがいいな。ユウも今イタリアだったはずだから」
苦い野菜を誤魔化すように、リナリーに話題をふる。サラダの苦さを誤魔化すための、他愛のない話題。名前は本当にいつも神田のことばかりね、と少しだけ呆れたようにリナリーが言うけれど、これは本当のことだから否定もできない。わたしの中にあるのはいつも、ユウと、それからアルマのことばかりだ。
「任務先でも、ちゃんと野菜を食べなきゃダメよ。ナノはすぐお菓子でご飯を済ませちゃうんだから」
「いいの。ジェリーさんのアップルパイって世界一なんだもの!」
どこまで話していいのかわからないけれど、わたしとユウの体のことはリナリーだってある程度は知っているだろうし。
最後の一口を無理やり紅茶で飲み下して、リナリーと一緒に席を立った。
任務なんて正直なところ、行きたくない。
イノセンスなんて、使いたくない。戦いたくない。でも、死にたくもない。わたしは、生きなきゃいけない。
ずっと前に、こちらが狂ってしまいそうになるほど言われていた言葉だ。

「あなただけは、あなたは、いきていて」

誰の声で言われたのかわからない。
けど。だから。
なんとなく、死ねない。死にたくもない。

「ほら、ナノ。科学班の部屋はこっちよ!」
「あ、リナリーごめんね」

ぼけっとしていたわたしの手をリナリーがひいていって、科学班のみんなのいる方へと連れていく。
これからきっとまた、わたしは戦いに行かなくてはならない。生きるために、頭の中に響く誰かの声に応えるために、わたしはまた、戦うのだろう。
分かりきっていた事ですっかり慣れてしまった事だけれど、やっぱり気が進まないし、行きたくないと思ってしまうのだった。