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05

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魔女の住む森。
そう呼ばれる森に、私とユウは向かっていた。コムイさんから告げられた今回の任務は、この村の調査だ。もう既に、ファインダーさん達が何人も行方不明になっているのだという。
森の入り口に住むお婆さんからなんとも「それらしい」話を聞いたわたしとユウは、森の中を走り抜けていた。
もちろんユウと同じくらいのスピードでわたしが走れるはずもないけれど、こういう時、わたしはイノセンスを使って移動する。
わたしのイノセンスは水を操るイノセンスだ。ガラスでできたグラスの形をしているそれに六幻のような攻撃力はないけれど、ある程度、空気や氷なんかも操ることができる。
走るときに自分の体を後押ししたり、短距離かつ低空ならば飛ぶことだってできる。結構、汎用性が高いのだ。
わたし自身はどん臭くて力も体力もないものの、この能力のおかげでユウやリナリーたちと同じような動きができるというわけなのだ。
森の中でわたしたちは、行方不明になっていたファインダーのうち一人と無事に合流した。
けれどその近辺にはレベル1の悪魔が彷徨いていたばかりで、「魔女の住む森」という噂の大元については、なんの手がかりもなかった。
程なくして小さな村に到着したが、そこは異様な空気に包まれていた。
道という道に人気がなく、夜もさほど遅い時間ではないというのに灯りがついている家もない。村全体から、人の気配が全くしないのだ。
建物や道はあまり荒廃した雰囲気ではないけれど、まるで廃村に迷い込んでしまったかのようなどんよりとした重い空気が、辺りを包み込んでいた。
鬱蒼と生い茂る深い緑色の木々や、灰色をそのまま黒と混ぜ込んだような暗い色をした空のせいで更に気が滅入ってしまう。
わたしたちはそこで、唯一とも思われる村人を見つけた。この村で雑貨屋を営んでいるという初老の男性と、彼の娘のソフィアさんだ。
兎にも角にも情報を集めなければいけないけれど、夜ということもあって他の村人は出歩いていないのだろう。わたしたちはそう結論づけて、夜が明けるのを待つことにした。
「一部屋しかないのですが……」と怯えたような声とともに案内された部屋はいかにも、娘の部屋でした、とでも言わんばかりの雰囲気だった。可愛らしい布がかけられた机や、花が飾ってあったと思われる空の花瓶。貧しい村だからか、装飾は控えめだったけれど、壁際の棚には可愛らしい小物なんかも飾られている。
もしかしたらここのうちの娘だというソフィアさんには、妹か、それとも姉がいたのかもしれない。
「ねぇユウ。ここで素直に寝てていいと思う?」
「そんなわけねぇだろ。お前の寝起きの悪さは、お前が一番よくわかってるだろ」
「やっぱり、そっか」
ちょうど私くらいの女の子が座るのにぴったりな木の椅子に腰掛けながら、ユウに話しかける。
ユウは当然、とても気を張っていて、(当然、もしこの場にいたらだけど)今にもアクマに切りかかっていきそうだった。
ユウとは打って変わって、森で合流したファインダーのゴズさんはすっかりリラックスした様子で、ソフィアさんのことばかりを話題にしていた。どうやら彼女の外見に惚れ込んでしまったらしい。
ソフィアさん、たしかにとても美人で、それこそ人形のようだった。月の光のような金髪に澄んだ湖面のような碧眼。全く羨ましい限りだ。
彼の話を聞きながらつい、ふぁ、と大きな欠伸をしたら一つしかないベッドを勧められた。
「ナノさんは女の子なんですから、ゆっくりしててください!」
「そ、そうですか? じゃあ、失礼します」
面と向かって「女の子」なんて言われると思っていなかったから、なんだか照れてしまう。ちょっと目を逸らしながら、わたしはベッドに横たわった。ユウは何も言わなかった。もしかしたら、ちょっとは気遣ってくれたのかもしれない。
一応、あんまり眠るつもりはなかったのだけれど、今朝の早起きが影響していたのか、わたしの意識はすっと眠りに落ちていった。