
06
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起きろ、と身体が揺らされて、意識がゆうるりと浮き上がっていく。なにかなつかしい夢を見ていた気がするけれど、夢の内容はぼんやりと霞がかかったようにぼやけてしまって思い出せなかった。
「……なに、ユウ。どうしたの」
「ゴズがいない。探すぞ」
そう言われてベッドの脇の、彼が休んでいたところに目をやると、そこには見事に毛布だけが残っていて、あの大柄な姿がどこにもなかった。
ユウはもうすでにコートを来ていて、六幻も背負っていた。
わたしも急いでコートをはおり、イノセンスを手に取る。
もしかしたら。いえ、もしかしなくても、何かがあったのだ。そしてそれは、アクマが関係している。
「行くぞ」
気を張った様子のユウの声に頷いてわたしたちは部屋を出た。
かなり慌ただしく階段を駆け下りて家の中を走り抜けてから気がついた。家の中には、わたしとユウ以外の人の気配がない。
ソフィアさんや彼女の父親である男性の姿もどこにもなかった。
「……急いだほうがいいかも」
「わかってる」
家の中には、人がいないということ以外に変わった様子は見られない。と、なると家の外。
ソフィアさんたち親子から聞いた、村外れにある偏屈なおばあさんの住んでいた家というのが気になった。
けれどその、偏屈なおばあさんの家というのがどこにあるのか、わたしたちは村外れという曖昧な情報程度のことしか知らない。
「……これは、」
ユウが小さな声で呟いた。何事かと思って足元を見ると、暗い夜道にはそぐわない、黄色のゼリービーンズがぽつりと落ちている。
ゴズさんが、ソフィアさんからもらっていた、あれだ。
「これを追っていけばいいんだね、きっと」
わたしが言うと、ユウは返事の代わりに小さく頷き、さっさと歩き出してしまった。
雑貨店を出て、ゼリービーンズを追っていく途中に、人影を見つけた。村人だと思って近づいていくと、すぐに彼がただの人間ではないことに気がつく。
青白い顔色に焦点のあっていない目つき。わたしに気づくと目を見開いてこちらを睨む。めきめきと音を立てて肌が軋み始めたところで、わたしは慌ててその場を飛び退いた。
彼はもう人間ではない。アクマだ。
「イノセンス発動!」
冷たいガラスのグラスを握りしめて、イノセンスを発動する。
ぶわりと湧き出した水は悪魔を包み込んで、ピシ、と音を立てて凍りつく。
ふっとわたしが息をつく頃にはそのアクマは切り刻まれていて、ユウが六幻を収めていた。
「村中変な雰囲気。急いだほうが良いみたいね」
「わかってるんなら早く行くぞ」
神妙な面持ちのわたしを奮い立たせるようにユウは言って、わたしの手を引く。
けれどやっぱり緊張が募っていって、ゴズさんや、店主さん、ソフィアさんの行方が気になった。
街から帰ってきたばかりだというソフィアさんは人間、だろう。だとしたらやっぱりアクマは店主さんなのかもしれない。
ゼリービーンズの道はまだ続いている。