ペラペラと音をたてページを捲る私は、上品な品質の良いソファーにだらしなく腰掛け通販雑誌を見ていた。
「お前いい加減に自分の部屋に帰れよ! おれが仕事してんの見えねェのか?!」
「へ?」
丁度、私好みのファッションページを見ていた為、話し掛けられた内容がよく理解出来なかった。
「へ?じゃねェよ! いい加減戻れって言ってんだ!」
机をバンバン叩きながら言う彼に、少しムッとした。
「もう、煩いなぁ。いいでしょ? 仕事の邪魔してないし」
「ふざけんな! バカかお前は! 大体長官のおれが仕事してて、部下である名前が休んでんのがおかしいだろ!」
彼の言ってる事は正論だが、仕事云々は彼自身が私に命令する事で、今日の休暇も自分で「名前は昨日まで長期任務だったろ? 明日はしっかり休め」って珍しく優しく言ったから、こうして休みを有意義に使っているのに。何故怒られるなければならない。
「部下とか言ってるけど、私は今あなたの恋人としてここにいるんだけど、それでも出て行かなきゃダメなの?」
「っ! ダァァァ!」
私は卑怯だなぁ。
彼は私がこう言ったら何も言い返せないのを分かっていて聞くのだから。
「……それに私好きなのよ。スパンダムの近く、落ち着くから」
「っお前は! ……おれが早死にしたら名前のせいだからな!」
「はぁ? 何言ってるの?」
ガタリと乱暴に椅子に座るとそう言った。
どういう意味だ?
「うるせェ!」
何故かまた怒られてしまった私をほったらかしにして、机に無造作に並べられている資料へと視線を戻し、仕事を再開した。
羽ペンにインクを浸けている時、ポツリと「名前と居たら心臓が幾つあってもたんねェよ」という呟きが聞こえた。
「っ!」
その時につい先ほど彼が何を言いたかったか、分かってしまった。
でもそれはお互い様だと思ったのは秘密だ。
私達は後何れ程で、20億回目の鼓動を刻むのだろう。
-END-
JUKE BOX.様お題