「名前は、酒を飲んでも飲まれるなっつう言葉を知らねェのか?」
「なんの事ですかぁ?」
鼻唄でも歌いそうな彼女の言葉に鼻で笑いながらも、その口角は上がり向ける眼差しは愛しさそのものだった。
二人はこの日、仕事もそこそこに、この島は夜がないが深夜近い時間久しぶりに空いた時間を共に過ごしていた。そして仕事終わりというのもあるのか、部屋へ入って来てからのアルコールはグラスを空ける速度が速くなっていた。
「スパンダムももっと飲んだらいいのにー!」
半ば呆れながらも「飲んでる、飲んでるよ」と言い聞かせて、彼女の持っているお酒を水に入れ換えた。
「うそだぁ。……! これなんか薄いよ」
気付かれないよう入れ換えたつもりが、やはり味では誤魔化せなかった。
「……。そうかァ、普通だろ? やっぱり名前飲み過ぎたんじゃねェのか?」
わざとらしく心配そうに聞いてみたら、彼女は少々呂律が回らない様子で「大丈夫、大丈夫」とやや語尾を伸ばして言った。
「それでよく大丈夫って言えるな」
頭が重いのか彼女は、机に肩肘を付きそれでだらり下がる頭を支えていた。
「ほら、これ飲んどけ。水だ」
彼女の手からお酒だと思わせた水を取り、今度は正真正銘の水を渡した。
「んーん」
瞼を重そうに開け閉めしながらそれを受け取り、中身の水を口に含んだ。
するとそれを含んだ彼女が一瞬目の前の彼にパチリと目を合わせると、含んだそれをそのままに、目の前の彼に近づき唇を押し付けた。
「!! ん……ふ……ん」
いきなりの事で彼は少し口を開いた。
するとそこにさっきまで彼女が含んでいた水が流れ込んできた。彼はそれを反射的に喉に流し込んだ。だが、口内から溢れ出たそれは彼の顎から首に伝った。
「ん……っふ……ぁ……ん」
「ふ……ん……」
それらを全て流し終わった後も、粘着質のある水音を響かせキスを続けていた。
「ん……っふ。……っいきなり何してんだよ」
やっと終わりを告げたキスに続いて彼がそう言うと、彼女は心地良さそうに瞳を閉じクスリと笑うと、また彼の唇にひとつ軽くキスを落とした。
そしてそのまま彼の首筋に顔を埋めた。
「……寝んじゃねェぞ」
彼が優しくそう言うが、返事は返ってこなかった。
「……。おいおい、嘘だろ」
ギョッとして彼女の方を見ると、子供のような表情で寝ていた。
「勘弁してくれよ。いらねェっつうの、ンなベタなオチ」
頭を抱えたくなった彼だが、いつも気の張った仕事をしているから、今日ぐらいは多目に見てやるか、と自分の膝に乗りすやすやと寝息を立てている彼女をそのままにしておくことにした。
-END-
Crash!様お題