24
なまえは静かだった。
目をぎゅっ、と閉じ、露伴からぶつけられる感情にただただ耐えていた。
そんななまえに、露伴はふっ、と何かが弛んだ。悲しかった。
「違う....違うんだ。」
露伴は力の抜けたようになまえを繋ぎ止めていた手をゆるめる。
「そうだ。謝るのはぼくのほうだ。」
露伴がポツリ、ポツリと自信なさげに呟くのを、なまえはうっすらと目を開きながらその耳に聞いた。
「ぼくはいつも君のせいにしていた。
ごめん、なまえ。
ぼくが悪いんだ。」
なまえを見つめる顔。
露伴は、目に涙を浮かべていた。
なまえは、そんな露伴に驚きを隠せず、一気に目を見開く。
「ぼくはなまえのことが好きなんだ...........」
弱々しく、だけどハッキリと聞こえた露伴の告白。それはまるで叱られている小さな子供のようで、なまえはおそるおそる露伴の側へと近寄った。
頭を垂れた露伴の表情を覗き込もうとする。
すると露伴が言った。
「今までおそろしくて言えなかったが、......どうかお願いだ。ぼくを君の恋人にしてくれ。
なまえ.......もう一度、このぼくを好きになってくれ。」
苦しそうだった。
.......ぜんぜん露伴先生らしくない、なのに、それなのにこんな露伴先生を見られるのは私だけなんだ、と思うと心臓が鷲掴みにされるのを感じる。
私も苦しい。
同じ苦しみを味わっているんです、私も、私も露伴先生と同じなんです。
「露伴先生が、好きです......。ずっと、前から......私は、露伴先生じゃなきゃ、ダメです」
そう露伴先生の耳元にゆっくりと伝えた。そして私は、自分の苦しみを打ち明けたあとに、疲れて、意識を失くし、眠ってしまったんだと思う。
不思議なことに、私にはこの後の記憶があまり定かではない。
ただ目が覚めた時には隣に露伴先生が居て、幸せだった。
それだけは覚えている。
to be continue....
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