02

「何だって?」

朝っぱらからぼくが耳を疑うような言葉が向こうから飛んできた。
露伴がもう一度聞き返すと、なまえはだから...と間を置いてから口を開ける。

「遊園地、男女のカップルで割引があるんですけど、もしよければ一緒に行ってもらえませんか?
.........って、露伴先生!?露伴先生!大丈夫ですか?コーヒー溢れてます!」
「だだだっ、黙れ!近づくんじゃない!」
「えっでも!」

ガシャン!という音を立てながら露伴のカップが倒れる。慌てたように近付いてくるなまえを露伴は片手で制して、もう片方の手でよごれてしまった口を拭く。

「(今コイツ....確かにカップルって言ったよな...)」

珈琲が結構こぼれちまったがなまえがとんでもないことを言ったほうがぼくにとっては事件だ。

遊園地だって?

しかもカップルで割引?

所詮は、恋人だなんだと言って盛り上げておいてどうせワンコイン程度のくだらない割引なんだろうな。

それにこのぼくがなまえとカップル?
なんだそれ。腹の底から笑いしかこみ上げてこない。


だが答えはイエスだ。
行くに決まってる。


「まあ、仕方ないな....
君がそこまでどうしてもと泣きわめくのなら取材だと思って着いていってやってもいい。
だがいいな?ぼくからは半径1メートルは離れろよ?」
「露伴先生?....あの」
「なに?半径1メートルも離れたら露伴先生とカップルに見られないじゃないですかぁ、だなんて生意気でふざけたことを抜かすなッ!
だいたいぼくはね.....」
「露伴先生!!!!聞いてください!!」
「........何だよ」

話を中断された露伴が、不機嫌そうに目を細める。
なまえはあわあわ、と目を泳がせながら焦ったようにこちらを指差した。


「あ、あの、先生!!原稿にも滴り落ちてますッ!!!」
「な、ッ、何だってェェ!?」





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