28


晴天。いい気分だ。
なまえは普段なら大学へ行ってるが、急遽、休講になったとか言って真っ直ぐに家へ帰ってきた。
こういうところが可愛い。


「なまえの家にそろそろ挨拶に行こうと思うんだが」


ぼくの資料を全てあ、い、う、え、お
と分ける作業に目覚めたなまえに後ろから話しかける。なまえのこれはまったく謎な行動だ。(おそらくはヒマなんだろうが.....)

「え?なんの挨拶?」
「何って、娘さんと結婚に向けて同棲します、って挨拶だよ。」
「同棲するんですか?!」

バッ!と振り向かれた。
なまえと同棲、なんていい響きだろう。楽しみで仕方がないよ。今より幸せな生活になるに決まってるからな。

「君の家からよりも、ぼくの家から大学へ通った方がずっといい。駅からも近いし....」
「それ本気で言ってます?」

露伴が言うのに対して、なまえは小馬鹿にした態度で返した。
そんな彼女に露伴は思わずムッとする。

「本気だよ。」

露伴が言えば言うほどに、訝しげに視線を合わせてくるなまえにさらに心がえぐられてくる。嬉しい〜なんてふにゃふにゃ笑って欲しかったのに。
こんなはずではなかったと若干、後悔の念が湧き上がった。

そして露伴は計画を考え直すために、一度、自分の机へと退散する。
するとなまえが後を追ってきた。


「露伴、拗ねないで...」
「..........ふん。別に拗ねてなんかいないさ。ぼくはただ今よりいい形を提案しただけだよ。ぼく達にとっていい形をさ。ぼくが年中漫画のことだけ考えてると思ってるんだろうが、それは違うね。なまえ、君のことを考えてるんだぜ。ぼくは24時間365日ずっと漫画のこととなまえのことを考えてる。」
「......!」

なまえの目が開かれた。
ぱちぱち、と瞬きを繰り返す。
また、少しだけ頬を染める露伴につられて、なまえも顔を赤くした。

「い、一緒に、住みたいです!ぜひ!」

興奮したように自分に必死にそう言ってくるなまえに、露伴はすっかり機嫌を直していた。


「フフン、そうだろうと思ったよ」




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