「ッ!なんだ、君はッ」
「え、あ、えっと....」
私は少しだけ動揺している。
何日間かジョナサンのところにお邪魔になったけれど、きちんとお別れをしてきたはずだった。
なのに、どういうことだろうか。
私はまた見覚えのある、石像のあるお風呂場へとやってきていた。
天井から床から見回しても....ここは紛れもなく、ジョースター家のバスルームなのだ。
「ジョナサンは....?」
思わず呟いた一言に、目の前の金髪の男子は眉をひそめた。
「ジョナサンの....知り合いかい?」
「!ジョナサンを知っているの?」
「ああ知っているよ。だが、まず先にこの僕が質問したい。どうやってここに入ってきたんだ?」
「それは.....」
私は自分の超能力のことを説明した。
するとその男子は、瞳の奥をギラギラとさせながらさらにさらにと私の話を詳しく聞いてきた。
わたしはなんとなく怖くなり、途中で体が冷えたと嘘をついてその男子と一緒にお風呂場を出た。
「ン....興味深いな。」
その男子はタオルを巻くのも忘れて考え込んでいる。皮肉なことにこちらがウッとなるくらいの美しい体をしていた。
「あの、もういい?それと、この話はジョナサン以外にはしないで欲しい。もし分かってくれたら、後ろを向いてくれる?」
「オーケーオーケー。このディオ、君との約束は守ろう。そしてジョナサンにも会わせてやろう。」
「ありがとう...。」
後ろを向いてくれたディオ、という男子にひと安心できて、わたしもディオに背を向ける。
ジョナサンに会うとなると、このバスタオルは取って着替えないといけないからまた面倒だが。
「ほう、なかなかイイ香りがするじゃあないかァ....」
「っ、!?ひぃ!」
気がつくと、後ろを向いてくれていたはずのディオが私のすぐそばまで来ていた。耳元で囁かれ、ゾワァッとする。
「こうやって風呂場でジョナサンに会ったんだろう?なぁ、ジョナサンとはもうヤったのか?」
「はぁ!?」
なんだこいつは。信じられない。
ちょっと顔が美しいからって調子に乗っているに違いない。
私も浴槽で襲われなかったから信用していたけれど、なんてゲスいやつ!
「僕のほうがきっと上手に君を悦ばせてあげられるよ?」
わざとらしく、でもどこか切なく聞こえるような、骨までとろけるほど甘い声で私を誘ってくる。
(こいつ....私を落とそうとしてやがるな)
ちゃっかりと腰に回ってきた手に、私はそっと手を重ねた。
するとそのままいい気になったディオが、私の首筋に噛み付いた。
「ん、ぁっ」
私の漏らした女の声に、さらに気分を良くしたらしいディオの股間をまさぐる。
「....っ、おっと随分積極的なレディじゃ、ッ!?アアアアアアア!!!」
そして思いっきり握ってやった。
悲鳴をあげるディオをそのままにして、私は一目散に風呂場へ戻る。
「シャンプー!リンス!」
こうして間一髪で私は、ジョースター家のお風呂場から逃げられた。
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