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隼人とは高校時代から付き合っている。高校二年生のときに隼人から告白されて、それからもう四年になる。私も隼人も大学に進学して、それぞれが一人暮らしとなった。隼人とは大学も違うし、隼人はまだ自転車を続けているからなかなか会う時間がなくてごめんな、と隼人は言うけれど、隼人が自転車を大事にしているのは高校時代からだし、それにお互いが一人暮らしになって、随分と時間に融通がきくようになった。隼人が寮だったときはもっと会えなかったのだから。それに私は自転車に乗っているときの隼人が大好きだし、たまにちょっと申し訳なさそうにケーキを買ってくるときの顔も大好きだから、謝ってもらうほどの不満はなかった。
「これでいいかな…」
私が鍋の火を止めるのと同時に玄関の鍵があく音がした。隼人には合鍵を渡してあるから、おそらく隼人が来たのだろう。玄関まで向かうと、玄関のドアをあけて隼人がひょこりと顔をのぞかせた。
「隼人、練習お疲れ様」
「あぁ、ありがとな」
そう言いながら隼人は玄関に入ってくる。隼人から袋を受け取ると、そこからいい匂いがした。隼人の大学の近くにおいしいパン屋があるらしい、今日の夕食はそこのパンとビーフシチューがいいというのが隼人のリクエストだった。
「ん、うまそうなにおいしてる」
「もうすぐできるからそのへん座ってて」
私がそう言っても隼人は私が鍋の中身を確認しているところをじっと見つめている。なに?と聞こうとすると同時に隼人がそっと近づいてきて、私の耳たぶにそっと触れた。
「ピアス、あけたのか」
「え?あぁ、うん。先週ね」
私がそういうと、隼人は私の耳たぶに触れながらじっとピアスを見つめる。ピンクの石がついただけの、シンプルなファーストピアスだ。隼人はピアスや、そのまわりの部分を撫でる。ふにふにと感覚を確かめるかのように私の耳たぶをさわり、そのままするりと耳の後ろをそっと撫でた。
「……隼人、ピアスとか嫌いだっけ」
何も言わずにピアスを見つめている隼人に不安になって、呟くと隼人は首を振った。一度ピアスから外れた視線が、また私の耳のピアスへと戻る。私の髪の毛を隼人の大きな手が、そっと耳にかけると、耳とピアスが外気にさらされた。
「いや、嫌いじゃないぜ。ただ」
隼人はじっと私のピアスを見つめている。そして、そのまま耳たぶごとピアスを口に含んだ。思わず私は握っていたおたまを手放す。飴を舐めるように隼人はピアスをぺろりと舐め、そしてそのまま耳に舌を差し込む。濡れた音があたまの中に響き、足の力が抜けそうになって隼人の服を掴む。
「ちょ、な、なに」
「いやぁ、すげえうまそうに見えたから」
それは、ピアスが、それともなにが。それを聞けずに私は自分の耳たぶをおさえて、とにかく顔の熱が収まるのを待つしかなかった。
「でもすごいまずかった」
「く、薬塗ってるんだから当たり前でしょ!」
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