それを見るのはとても久しぶりでした。
恐らく、私が元いた星の者が血を絶やさないようにとこれを残したのでしょう。
あの飛行船とも宇宙船ともとれないものはきっとこれを他の星に運ぶためのもの。
言わば種のようなものです。
しかし、どうやって命をこんな薄い皮膜で守ってきたのか、数百年間あの星から離れていた私には不思議で仕方がありません。
きっと私がいない間に科学が発展し、こうしてここまでやってきたのでしょう。
これはもはや私が知っているそれではありません。
しかしながらこれを孵化させる義務が私にはあると思うのです。


up:20171005
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