Wed.

「キリが良いから授業はここまでだ。……貴様らには、学長のお達しで明日までに提出の宿題がある。」


長宗我部先生の現代文の授業は五分早くに終了し、授業とは関係のないプリントが配られた。明日まで、と聞いて、生徒からブーイングが出たが、彼の

「抗うなら上等。その魂、認めよう。……但し成績は保証しない。」

という言葉により、自然と消えた。プリントには『日の本歌壇』と書かれている。


「学長の提案で国語科の催し物をすることになった。短歌を詠め。優秀作には学食の一食無料券がでる。」


学食無料券と聞いて男子が沸いたが、三成はそんな気分になれなかった。


「テーマは『夏』または……『懸想』、か。……やつの好きそうな話だ。……『懸想』、意味がわからんやつはいるか?」


「最近の高校生は語彙が少なくて困る」という先生の呟きも耳に入らない。その上、昨日の北条先生とのやりとりが思い出されて、三成は不快な気分になった。


「やれるとこまてやれ、か……」

「ああ、三成、氏康がお前に……だそうだが。」


まるで思考を読んだかのように長宗我部先生が北条先生の名前を出したので、三成は吃驚して今しがた配られたばかりのプリントをぐしゃりと変に握ってしまった。


「――え、え!?」

「…焦っているな?面白い。」


先生から手渡されたのは折り畳まれた紙であった。中を開くと――





『歌壇のテーマ、お前は強制で懸想だ。』





あの強面が、にやりとするのが容易に想像出来る。
ぐしゃ、とまたもや三成の手の中で音がした。但し、今度は故意であるが。

それを見た長宗我部先生は「上等。」と笑った。


 




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