さいしょのしょくじはみんなで
短刀たちからのリクエストがあった為、もう一振りだけ、とall60で炉を回した。
00:30と出た表示に、特に粟田口がわあっと喜んだ。
これは、と思いながらも、先に食事の準備を済ませてしまおうと皆を厨へ促す。
今日は皆で料理をしようと思った。これは初日に来た者の特権だ。
皆で今日の夕食、カレーとわかめサラダを用意する。
この献立は、私の小学校でよく出た組み合わせだった。
わかめが大好きでひたすら食べていた記憶がある。懐かしい。
カレーはあと焦げないように煮込むだけ、ご飯が炊けるのを
待つだけという状態になって、時計を見た。40分ほど経っていた。
いけない、と思って慌ただしく割烹着を脱いで襷を外せば
粟田口の子たちが付いていきたいとねだった。
もちろん、あなたたちの兄弟だもの。
主に陸奥守と加州にカレーを任せ、ご飯のお釜は開けるなと言って
『はじめちょろちょろ中ぱっぱ〜赤子泣くともふた取るな』を教え込み
厨は土間なので靴はそのまま正面玄関から鍛刀炉へと向かった。
炉には既に一振りの短刀。
どちらかだな、と思いながらそれを手に取れば、
浅い黄色の柄をもつ短刀へと形を変えるそれ。
厚だ!と口々にいう三振りの顔を見回して、鞘から抜いた。
「よっ……と。オレは、厚藤四郎。兄弟の中だと鎧通しに分類されるんだ」
彼がそう言った途端、わあっと抱きつく三振り。あのそれもはやタックル。
何が起こった!?と戸惑う彼に、私は自己紹介と挨拶をした。
彼からのよろしくという挨拶を聞き、じゃあ、と言って私は彼らを促した。
うん、もうあまり泣かなくなってきた。良かった。
そうだ!といった様子で厚を促す三振りに少し笑みが溢れた。
正面玄関のある洋館を見た厚の反応はやはり驚きとワクワクが
混ざっていて、やっぱり子ども型だな、と私に思わせた。
皆を大広間へ案内すれば、もうカレーが並んでいた。
ありがとう、と残っていた四振りにお礼を言って席につく。
私の席は本来は上席、まあつまりお誕生日席に座るべきなの
だけれど、場所が広過ぎるのと人数が少ないのとで皆と同じように座った。
私がいただきます、と言えば、皆それに従った。
バラバラなのが微笑ましい。
人がものを食べるところを見たことがない者もいた様だけれど、
私が食べるのを見て真似していた。
太郎太刀などは表情こそ変わらないが、目が分かりやすく輝くのが可愛い。
「ねぇ厚、これ、ボクたちが作ったんだよ」
「へぇ! 旨いぜこれ」
「でしょ?」
皆で作ったカレーを食べ終え、皆にそのまま待っていてと言って
乱から話を聞きつつ少し羨ましそうにしていた厚を連れて厨へ向かう。
「厚には、食後のデザート、甘味を用意するのを手伝ってもらおうかな」
「えっ、良いのか?」
「勿論。ちょっと羨ましそうにしてたし、仲間外れみたいで嫌だもの」
「うわっ、バレてたのかよ恥ずかしいな……」
そうは言うもののその表情はやはり嬉しそうで、
私たちは蜜柑や桃、パイナップルなどを可愛く切っていく。
そしてそれをそれぞれお皿に盛って、
ついでに白玉をちょちょっと作ってそれもお皿に盛った。
それらをお盆に乗せると、厚に託した。
大広間へ向かう彼のあとを2L入りのサイダーを持って追う。
待っている皆のもとに着けば、既に厚のお盆の中を
それぞれ何だ何だと覗き込んでいた。
「これは、フルーツポンチっていうの。果物と白玉を好きなだけ
自分のお皿に取ってこのシュワシュワする飲み物をかけて出来上がり。
果物を切ってくれたのは厚だよ」
そう言えば、短刀たちの目がキラキラと輝いた。
厚すごい!という言葉に彼は少し照れた様子だった。
それぞれ好きなだけ盛り付けると、サイダーをかける。
いただきます、と一口食べた彼らの反応は面白かった。
陸奥守や短刀は目を輝かせながら驚き、
太郎太刀や加州はえっと驚いてお皿を覗き込んだ。
それでもやはり皆美味しいと言ってくれて、
作った甲斐があったとすごく感じた。
やったね、と厚に言うと、嬉しそうなその顔が可愛かった。
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